みいつけた
子どもたちの毎日は小さな発見であふれています。通学路や校庭で、家のまわりでみつけたものに、子どもたちは心を踊らせ、楽しんでいます。そんな子どもたちの「驚き」の発表の場である「みいつけた」は、低学年の毎朝の日課です。虫や草花などを持ってきた子どもたちの顔は、輝きに満ちています。身の回りのさまざまな自然に目を向け、実際に見る、聞く、触れるなど、五感を通じて、とらえたことを、クラスの皆に伝えること。この貴重な体験を、明星学園では学習の基本と考えています。
- 「さあ、「みいつけた」の時間ですよ」
先生が声をかけると、1年1組の教室では、子どもたちがそれぞれ持ってきたビニール袋を机の上に取り出します。
「じゃ、本物持ってる人」
はい、はいと元気に手があがり、そのうちの一人の男の子が教室の前に出てきます。
「きのう、家に帰ったらメダカが死んでいて、土に埋めたんだけど、アリに食べられて骨になっちゃいました」と、ビニール袋を高く掲げる男の子。 明星学園の子どもたちの1日は、この「みいつけた」から始まります。家のまわりや学校に来る途中で見つけたもの、気がついたことを発表する時間です。
「質問」「質問」と、元気に手があがります。
「生きてるときはどのくらいの大きさのメダカだったの?」
「死んだときはどんなふうになってたの?」
子どもたちから、次々に質問が飛び出します。
発表した子は、「んっとね、これくらい」と手で大きさを示したり、「死んだときね・・・」と困惑しつつも、床に寝転がってその様子を再現したりと、ひとつひとつの質問に答えます。
そして、その実物が入ったビニール袋が全員の間を回ると、子どもたちは頭をくっつけるようにそれに見入ります。
続いて「公園で小さなバッタを見つけました」という女の子の発表がありました。
まず質問。
「公園って、どこの公園?」
「公園の中でも、草の所なのか、それとも木の上とか、道路の上とか、どこだった?」
「質問コーナー」の次は「教えてあげる」。ある男の子。「教えてあげるね。そのバッタね、ショウリョウバッタっていうんだ。小さいからまだ幼虫だよ」
先生は進行に徹し、答は出しません。
「ふ-ん」「本当?」などの声があがり、子どもたちは実物を真剣に見つめます。 - 明星学園小学校では、3年生までの低学年で自然や社会に関する基本的な事柄を「総合科」として学びます。
総合科が生まれたのは、生活科という教科が生まれる前の80年代です。教科として体系的に学習する前に、自然観察などを通し、自分で発見したり見つけたりすることが大変重要なのではないか、という考え方が基本になっています。
低学年では、身の回りのさまざまな事象や道具に目をむけ、実際に見る、聞く、触れるなど、五感を通して発見し、考えるという思考の流れを身につけることに重点を置いています。その意味で、わたしたちは「みいつけた」の時間に非常に重点を置いています。彼らは日常の発見をもとにして、自分なりの世界の理解のしかたを学んでいくのです。
理科や社会、その他の教科として体系的に学ぶのは4年生からです。
明星学園のまわりには、玉川上水や井の頭公園など、自然が多く残っています。
総合科としては、こうした自然観察を基本に、文化的遺産を伝えるための、もの作りにも力を入れています。
1年生では、遠足のときに摘んだよもぎを使い、よもぎだんごを作ります。また、織物制作では、織物を織るだけでなく、木と釘による機(はた)織り機作りも学びます。
2年生では、和紙の原科となるコウゾの木から実際に和紙を作るプロセスを学びます。また、草木染めなどにも取り組みます。
3年生になると「ナイフ作り」というユニークな課題が組まれています。一本の釘をコンロで熱し、たたいて刃を作っていくというものです。
子どもたちは3年間を通し、自然と生活と道具の関係を、実際の体験を通し五感で理解していきます。
発見の積み重ねが、世界の理解へつながる。