明星学園
「使える英語力」をつける英語教育と
「多様な生き方」をつかむ国際交流

これからの社会を自分自身どう生きていくか?
「地球市民」としてこれからの世界をどうつくっていくか?

その答えを見つけさせてくれる教育がここにあります。英語教育と国際交流が絶妙なバランスで行われている学校。それが、明星学園小学校です。

ここでは、1年生の英語の授業の様子と、前英語科主任・現副校長へのインタビューを通して、「明星学園小学校の英語教育と国際交流」についてお伝えします。

英語の自然なコミュニケーションが広がる授業
英語の歌を歌っている様子

教室へやってきた先生に、「今日は何するの?」と楽しそうに聞く1年生の子どもたち。先生は、そんな子どもたちに英語で語りかけていきます。そして、みんなで英語の歌や詩に合わせてストレッチや手遊び、輪唱などを楽しみながら、英語の世界に入っていきます。

12月に入ったばかりのこの日は、『We Wish You A Merry Christmas』の歌が…。何度か繰り返し歌を歌ったところで、先生が “How many times did you hear ‘Merry Christmas’?” とクイズを出題!1年生にはちょっと難しいのでは?と心配してしまいましたが、子どもたちはそれぞれ小声で歌いながら回数を数え、いとも簡単に答えを出しました。

続いて先生が取り出したのは、クリスマスツリー! 先生は、 “Do you want a star?” “Do you want some balls?” と、一つひとつのオーナメントをツリーに飾るかどうかを子どもたちに問いかけます。続けて、 “Do you want it at the top? Do you want it in the middle? Do you want it at the bottom?” と、ツリーのどの位置に飾るかも一つひとつ子どもたちに質問しながら、飾りつけをしていきます。

オーナメントをツリーに飾るかどうか問いかける様子

先生が電飾を用意すると、子どもたちは、「カーテン閉めよう!」「電灯消そうよ!」と窓やスイッチへ。そんな中、先生は “Let’s close the curtains!” “Let’s turn off the lights!” と子どもたちの日本語を英語でサポートしていきます。 “Ten, nine, eight…” とカウントダウンしていき、いよいよツリーが点灯!教室は子どもたちの歓声に包まれました。

授業の最後は、教室の隅にみんなで集まってStory Time。表情豊かに絵本の読み聞かせをしてくれる先生の英語や動きに、子どもたちは集中します。 テキストもノートも使わず、たっぷりと英語のやりとりを楽しんだ45分間でした。

Story Time

「本当のこと」をやりとりする授業だから、コミュニケーションが生まれる

入江先生

――1年生はテキストもノートも使わずに授業をしていくのですね。それでいて、先生はほとんど日本語を使わずに英語で進めていく。そのような中、1年生にはちょっと難しいのではないかと思う言葉や文もありましたが…。

1年生ではテキストやノートは使っていません。基本的には、母語獲得の順序を意識して取り組んでいます。例えば、赤ちゃんはまず周りの大人からたくさん語りかけられるところから日本語に出会いますよね。最初から単語やフレーズをリピートさせられたり、文字を読まされたり書かされたりはしません。英語も同じで、まずは大人である教師が子どもたちに英語で語りかける。その中で子どもが何か言いたそうだったら、大人がそれを英語で表現してあげる。いわゆる親御さんがわが子と母語でやりとりする時と同じような流れで英語も身につけさせていくのです。

難しい英語の単語や文も、「そこに場面(文脈)があって意味が想像できる」という点を外さなければ、子どもはやりとりの内容が分かります。だから、一見大人にとって難しいと思えるようなやりとりも、子どもたちは問題なくやりとりを成立させ、その積み重ねでコミュニケーション力を高めていくのです。逆に、場面がない中でただ単に英語を聞かされても、それは子どもにとっては全く意味のない記号になってしまうわけです。

積極的に手を挙げる子どもたち

――「『聞きたい』『伝えたい』意思を引き出すために、どのような場面をつくるか」がとても大切なのですね。

はい。ですから、子どもの生活の中にあるような場面から、その日のテーマに必要なものを拾ってきます。今日の授業は「want」がテーマで、今、子どもたちが何を欲しがるだろうかと考えた時に、「クリスマスツリー」に「何を飾りたいか」がぴったりだった、ということなんです。

例えば「好きなものについてやりとりをする」というテーマの場合は、まず「昨日お寿司を食べに行ったんだけど…」といった話題を出します。すると、子どもたちは「好きな寿司ネタのことについて話しているんだな」ということがすぐにイメージできるので、英語だけで語りかけても「like」を用いたやりとりができる。他にも、「体の部位についてやりとりをする」というテーマであれば、教室に子どもたちが見つけてきた昆虫がいたりするので、それを取り上げたりもします。

――ツリーの飾りのように、違う要素が一つずつ出てくることで、同じ表現を反復して語りかけても、子どもたちはすごく集中して聞いていますね。

そうですね。1, 2年生では、そうやってターゲットの英語表現を繰り返し聞かせていきます。
3年生ぐらいになると、「英語をしっかり言えるようになりたい」と思う子どもが多くなります。そこでその段階では、こちらがずっと語りかけるのではなく、 “I want a candy cane.” のように自分の思いを英文で言わせたりもします。発達段階として3年生頃がそうなるからこそ、1, 2年生の時にモデルとなる英語表現にたくさん触れさせておくことが必要なんです。
3年生になると、映像や絵辞典を使ったりします。4年生からは、いわゆる「テキスト」を使い、1~3年生までに触れてきた英語を文字でも見て視覚的にも押さえていくんです。
例えば「I have a computer.」という文は、3年生までは「アイ ハバ…」と音の流れで「have」と「a」をくっついたものとして覚えていたものが、4年生で文字を見て「have」と「a」が離れたものだと気づく。そういう中で、英語という言語が整理されていきます。

――先生方お2人の役割分担は決まっているのですか?

教室にいる全員で歌う様子

ネイティブの先生と日本人の先生とで「常に決まった役割」というものはありません。なぜなら、ネイティブか日本人かに限らず、性格や得手不得手はそれぞれだからです。ただ、ティームティーチングだからこそ子どもたちに体験させられることもあるので、それは常に意識しています。例えば、実際に英語でやりとりしている場面を見せることです。2人の先生が英語でやりとりしているところを見せることで、「あ、こういう風に相槌をうつんだ」とか、「間や抑揚はこんな感じなんだ」などを感じさせることができるのです。

また、「ネイティブの先生だから」ということで言えば、ネイティブの先生は日本人よりも口の動きが大きいので、早口言葉などで子どもたちに口の動きを見せたりすると効果的です。ネイティブの先生に、声を出さずに早口言葉を言ってもらって、口の動きを見るだけで何の早口言葉かを当てさせるとか。子どもたちは、こちらが何も言わなくても、集中して口の動きを見て真似しますよ。

――授業だけでなく、短期留学やイングリッシュキャンプなど、授業外の取り組みも充実していますね。

はい。かなり充実していると思います。

オーストラリアと台湾に姉妹校があり、4、5年生は3月にオーストラリア短期留学、6年生は12月に台湾短期留学に参加することができます。オーストラリアでは12日間、台湾では5日間、参加児童全員が1人ずつ別々の家庭にホームステイをし、現地の学校に通います。引率者も交流校の先生のお宅でホームステイさせてもらうんですよ。ここまで本格的に現地の文化にどっぷりつかる学校はなかなかないと思いますよ。ちなみに、オーストラリア短期留学には、4、5年生の2年間で学年全体の約3分の1の子どもたちが参加しています。台湾留学は6年生のみとなりますが、約4分の1の子どもたちが参加します。

できるだけ多くの子どもたちに海外留学を経験してほしい気持ちはありますが、費用も掛かりますし、期間も長いのでなかなかそうはいきません。そこで、より参加しやすい国内でのEnglish Campや、全員が海外とつながれる留学生受け入れを実施しています。オーストラリア姉妹校からの留学生の受け入れでは、2週間、4、5、6年生の各クラスに留学生が入り、生活を共にします。もちろん、中にはホストファミリーとして関わる家庭もあります。小学生の段階での国際交流の機会としてはかなり充実していると思います。

――英語教育や国際交流の取り組みは、子どもたちの卒業後や将来にも大きく関わっていそうですね。

入江先生

小学校に英語教育を導入して以来、中学・高校で海外留学する生徒や、海外の大学へ進学する生徒が俄然増えています。選ぶ進路の幅がものすごく広がっていて、人生にも広がりが出ていると言えます。
最近も高校生と話をしたら「グラフィックデザインを学びたいからアメリカへ行きたい」とか「生物のことを学びたいからハワイの大学へ行きたい」といったことをサラッと言うんです。思いを持った子どもたちが、国の枠を越え、さまざまな世界で自分の生き方を実現できるようになったというのは大きいですね。 子どもたちの人生に関われていることを幸せに思うと同時に、責任も感じます。

そのようなわけで、私たち教師も、日々、実践と研究、勉強を重ねていますよ。安心してください。