明星学園

2024年度

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『繋いでいくもの、創り上げていくもの』


ご挨拶 ~2024年度公開研究会にあたって
 本校は今年の5月15日で創立100周年を迎えました。そして創立以来、常に教育の「研究」と「実践」を大切にしてきました。
 創立された当時、日本の各学校で行われていたのは、国家権力によって統制され、訓練・練習を主体とした画一的な知識注入の教育でした。それを批判していくことは、並大抵のことではありません。しかし明星学園の創立同人である赤井米吉は、「その新たなる教科課程は従来のそれの如き厳格なる鐵鎖(てっさ)であってはならぬ。土地に応じ、学校に応じ、又児童個人に応じても可柔性あらねばならぬ。」と、それまでの教育とは違った道を模索し始めました。
 我々が重要視しなくてはならないのは教育の「内容」と「方法」です。
 教育の「内容」は、目の前の子どもたちの現状に即して考えるべきものです。そして、明星学園では創立当時から子どもたちが主体的に思考できるように、その「方法」を考えてきました。「内容」についても、「方法」についても、重要なのは、科学的研究であります。そしてその「研究」は実際に授業を行い、そこから立ち表れる課題を見出すことによって深まる研究であるはずです。
 今年度は公開研究会のテーマを「繋いでいくもの、創り上げていくもの」としました。これまで実践してきた時代の流れに左右されない本質的な実践研究を見つめ直し、さらに磨きをかけることを目指します。
 明星学園では1960年代から自らの研究を客観視するためにも、「公開研究会」を開催してきました。コロナ禍ゆえにオンラインでの開催となった年もあり、今年度のように実際に授業を公開し、皆様とともに研究できる場があることにいっそう喜びを感じるようになりました。どうかそれぞれの分科会では、忌憚のないご意見を頂戴できればと存じます。

明星学園小学校 校長 照井伸也

期日

2024年11月23日(土)8:45〜16:30
【受付】 8:00〜
【1校時公開授業】小 8:50~9:35 / 中 8:45~9:35
【2校時公開授業】小 9:50~10:35 / 中 9:45~10:35
【全体会】 10:50〜12:30  場所:いちょうのホール
【分科会】 13:30~16:30

※昼食は各自ご持参ください。学校周辺にはコンビニが1軒ある程度です。

参加費・参加方法

◇参加費:
1,000円(後日、報告集をお届けいたします。)

◇参加方法:
・下記URL(peatix)からお申込み下さい。
注意:当日、受付にてお申し込みも可能ですが、全体会の会場は座席数に限りがありますので、人数制限をかけさせて頂く可能性があります。何卒ご承知おきください。
https://myojogakuen2024.peatix.com/

・参加費は当日受付にて現金でお支払いいただくこともできます。

公開授業(時間割)

当日の時間割

全体会


     
全体会講演

平田 オリザ 氏

[講師プロフィール]
劇作家、演出家。劇団「青年団」主宰。芸術文化観光専門職大学学長。江原河畔劇場芸術総監督。主な著書に『演劇入門』『わかりあえないことから』(いずれも講談社現代新書)、『演劇のことば』(岩波現代文庫)、『ともに生きるための演劇』(NHK出版)、『名著入門』(朝日新書)、小説『幕が上がる』(講談社文庫、2015年映画化)など。

分科会

① 小学校 総合「ものをさぐる」
単元:「空気さがし(2年)」「音(3年)」
講師:堀雅敏(科学教育研究協議会中央沿線理科サークル)
司会:林義人(本校教員)
 1年生の子どもが、磁石を持って学校の中で「鉄さがし」をした時のこと。銀色のドアの取手が鉄と見当をつけたのに、磁石はくっつかず、その周りの白色のドア全体に磁石がくっついたことに驚き、報告した子どもがいます。見ただけでは分からない事実との出会いでした。
 総合の「ものをさぐる」の分野で扱う、鉄 空気 金属 音 磁石は、子ども達の身近にあるものですが、これらを意識する機会はあまりないように思います。上記の例のように、見て分かるものばかりではないからです。
 授業で、これらへの働きかけ方を学ぶと、子ども達には、それまで見えなかったものが見え、子ども達の世界が広がります。 子ども達が見つけたことは、自然の本質につながる、具体の事実です。このことを、子ども達が自力で見つけることに、大きな意義があると考え、「ものをさぐる」の授業を提案します。

② 小学校 国語科「宮沢賢治の世界」
教材:「やまなし」(6年)
共同研究者:上西信夫(文芸教育研究協議会)
司会:伊藤駿(本校教員)
 宮澤賢治の「やまなし」は有名な作品です。しかし、その難解さ故、あえて明星学園では授業化しないでいました。今年度は、この難解な世界を作者である賢治の人間観・世界観につなげながら読むことで、「やまなし」の世界をより深く読むことができるのではないかと考えました。そのため、今回は「宮沢賢治の世界」をテーマに、複数の作品を〈つづけよみ〉する中で、新たな「ものの見方・考え方」を獲得する授業を展開します。
 また、明星学園では5年生で古くから読み継がれている「注文の多い料理店」。これも作品のみを扱うのではなく、賢治という作者も軸に物語を読み進めていきます。
 明星学園で初めて授業化される「やまなし」の授業。そして、今回、新たな授業展開をする「注文の多い料理店」。ぜひ、ご参加ください。

③小/中学校 理科「子どもたちに酸化をどこまで捉えさせるか」
単元:「酸化(ものの燃え方)」(6年)
講師:田中篤司(東京都立大学助教)
司会:阿久津嘉孝(東京都立拝島高等学校教諭)
 本校では一貫して理科を「自然科学を学ぶ教科」として位置づけてきました。自然科学を学ぶためには、粒子論的な物質観の基礎に立ち、小学校段階からカリキュラムを編成することが有効です。それは、自然(=物質界)が粒子によって構成されていること、そして自然現象を個別の事象でなく、相互に関連した現象として、子どもたちが体系的に学ぶことができるからです。
 本単元の目標は、酸素原子が結びつく「酸化」を理解することです。ものが燃えるという現象を、酸素原子が、他の原子と結合するというように具体的に捉えることで、子どもたちがより豊かに学ぶことができると考えます。状態変化は、粒子の集まり方と運動の様子で理解することが大切ですが、燃焼に伴う化学変化、つまりは物質の変化を理解するためには、これまで学んだ粒子モデルを「原子」にまで拡張することが不可欠です。酸化がおこると、必ず発熱することも学びながら、自然現象を観察する粒子の視点を子どもたちに獲得してほしいと考えています。今後の授業に活かすべく、是非忌憚のないご意見を頂けると幸いです。

④小/中学校 社会科「近現代史を通じて学習する公民的分野」
講師:繁田真爾(東北大学研究員)
司会:小田切拓(ジャーナリスト)
 社会科の教科目標は大きく2つ。現代社会についての広い知識と深い理解を身につけることと、民主主義の担い手である主権者として成長することである。科目で言えば、前者は地理・歴史的分野が、後者は公民的分野が主に担当するが、明星学園中学では、歴史学習を柱とした3科目横断的な独自のカリキュラムが組まれてきた。今回研究授業を行う9年生(中3)は現代の政治や経済に直接的につながる内容を多く含む近現代史学習が中心となる。幕末から明治維新にかけて欧米から流入した近代的な「資本主義」・「民主主義」等のしくみを日本人がどのように取り込み、制度化していったか、またどのような選択をし、結果はどうなったのか、概念レンズとして「帝国主義」をキーワードとして分析していきたい。

⑤中学校 数学科「平面図形の対称性の課題系列について」
単元:「平面図形」(7年/中1)
講師:正田良(本校講師)
司会:小寺隆幸(元本校講師)
 中学校数学における平面図形では、垂直二等分線や角の二等分線などの作図を学ぶ。作図の知識の問題は全国学力・学習状況調査でも出題されているが、その性質上、活用に関しての問題は出題されにくい。そのため、作図の知識の問題に意識が向いてしまいがちである。作図の手順を知識として会得することは大切なことであるが、何のための作図なのか、どのように活用するかを考えることも重要である。作図を学習するのであれば、学習した作図を活用できないかと思い、本分科会では、図形の対称性をメインに平面図形の学習の提案を考えている。そこでは、作図の方法の会得というよりも、生徒が必要を感じて垂直二等分線や角の二等分線の作図を活用して新たな発見ができるような課題系列について、皆様と一緒に検討できればと考えている。

⑥中学校 保健体育科「保健のカリキュラムの現状と課題②」
単元:「免疫のしくみ」(9年/中3)
共同研究者:高橋幸悦(元本校教員)
司会:冨田秀和(本校教員)
 現在明星学園中学校では、8年生(中2)、9年生(中3)で、週1時間保健の授業を行っている。理科の授業から、「人の体に関わること」をもらってきたという感じで、2年間で「体のつくりとしくみ」「生殖のしくみ」「免疫のしくみ」という3つの単元に絞って学習している。週1時間で2年間という限られた授業数のなかで、浅く広くではなく、中学生にとって身近で興味関心が持てるような内容である「生殖」や「免疫」について、「しくみ」を中心に深く学習していく。2年前には、「生殖のしくみ」を中心に報告したが、今年度は「免疫のしくみ」を中心に、授業も含めて報告する予定である。明星学園中学校の保健のカリキュラムについて、実際にどんな授業を展開しているのか現状を報告し、様々な視点でご意見をいただき、今後の授業に活かしていきたい。

要項

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お問い合わせ先

公開研究会事務局:是恒鴻太(小学校)、長谷川元子(中学校)
教務事務:東れいか
TEL:0422-43-2197