
『授業づくりの根幹』
~わたしたちが授業づくりする上で大切にすべきこと〜
現在、教育界では「探究」という言葉がさかんに用いられています。2022年からの高校の学習指導要領においても「日本史探究」「地理探究」「理数探究」などさまざまな探究学習が始まります。
本校において「探究」とは創立以来の授業づくりの共通のテーマでもありました。「なぜ?」という問いの芽を大切にしながら自分の仮説を発表しあいます。自分と違う意見がたくさん出てきます。再び「なぜそう思うんだろう?」という問いが生まれます。仮説には必ず理由・根拠が必要です。他の生徒の発言に納得したときは自分の意見を変える勇気が求められます。和やかな学びの集団が形成されていきます。
正解に早くたどり着くことを第一に考えるなら、このような学びは必要ないでしょう。思考のプロセスこそが「探究」の神髄であると思うのです。ただ、長きにわたり「探究」を考えてきた我々にとって危惧することがあります。たとえ本来の目標は子どもたちにとって良いものだとしても、それが一斉に教育現場に求められ、結果を出さなければならない時に起こる弊害です。最も大切なプロセスがなおざりにされ、一つの形式に落とし込むことでさも全員が主体的に学習しているように見せかけることです。教師が結果を出すことを求められる時、児童生徒の主体性などなくなってしまうのではないでしょうか。今まさに本当の「探究の学び」とはどういうことなのか、今回のテーマを「授業づくりの根幹」とした所以です。
本来、子どもは探究の名人です。でもその探究の芽を押しつぶしてきたのが学校だなどと言ったら暴論でしょうか。その学校がいかに変われるか、あるいは変わらずに表面の体裁を整えるだけで終わるか、真価が問われています。児童生徒の思考のプロセスを大切にする明星学園の「授業づくり」から参考にしていただける部分があればうれしく思います。
コロナ禍の中の公開研究会、オンラインという形となりますが、皆様とともに研究をできる場があることの喜びを感じます。どうかそれぞれの分科会では、忌憚のないご意見を頂戴できればと存じます。
明星学園中学校副校長 堀内雅人