明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

忙しいからこそ…

校長だより
4年ぶりの大雪でした。この寒さで学校では2ヶ所ほど水道管が破裂してしまいました。インフルエンザや草津白根山のことも心配ではありますが、異常とも思えるほどの気温の低さに驚くばかりです。そんな中、朝のグランドでは凍った地面でサッカーに興じる子どもたちの姿を見かけます。中には半袖の子もいます。子どもは風の子とはよく言った物で す。インフルエンザもそろそろ収束しそうです。

さて、先日高等学校の音楽祭を聞きに立川のRISURUホールへ出かけました。実は、明星に30年以上勤めていながら、この音楽祭を聞きに行けたのは、今回が初めてだったのです。小学校で担任をやっていると授業がありますからね。管理職になっても何かと時間が自由にならず、昨年は足を運ぶことが出来なかったのです。今年も相変わらずの忙しさでしたが、思い切って出かけてみました。

会場は、国立に住んでいたことがあるので見当は付いていて、すぐに分かりました。中へ入ると、河住校長、石井副校長はもとより顔なじみの高等学校の先生方が出迎えてくれます。フロアーには、8・9年生達が担任の先生の下に集まっています。中学のこの2学年は、毎年参加していて、9年生は第2部有志演奏の中で全員合唱することになっていました。小学校を卒業した懐かしい顔もちらほら。すっかり大きくなっていますが、面影は残っているのですぐに分かりました。

時間が来たので、2階席へ案内されました。構成は2部になっています。1部は、クラス合唱、2部は有志演奏です。クラス合唱では、それぞれのクラスが課題曲と自由曲の2曲を歌います。今年の課題曲は、「群青」「ヒカリ」「決意」「鷗」という4曲の中から選択することになっていました。これらの曲は、音楽家の間宮先生、岡戸先生が中心となり、音楽祭のメンバーも加わって決めているようです。どれも初めて聴く曲でしたが、高校生らしい、聴き応えのある曲でした。自由曲は、きっとそれぞれのクラスらしさを象徴する選択だったのでしょう。クラスの日常を知っていると、また、これ、聴こえ方が変わるのでしょう。これもまた、私の知らない曲が多かったのですが、昔懐かしい「学園天国」などをアレンジして合唱しているクラスもありました。合唱というよりもはやパフォーマンスでした。全力を出し切った感があり、聴いていて楽しくなりました。しっとりとハーモニーを響かせる曲、小道具などを用いて会場を盛り上げる曲などもあり、正に多彩でした。高校生になると自分たちでここまで構成し、練習し、仕上げていくことができる物なのかと感心しました。どこの学校でもこうなのでしょうかね。私には、明星の生徒だからこそ聞き手を意識した構成、歌声を作り上げている様に思えてなりませんでした。とにかく、伝わってくるものが強いのです。静かなメロディーでも重く深い響きが心の底まで一気に押しかけてくる。食いしん坊の私が昼も食べずに4時間夢中になって聴き入ってしまいました。課題曲が続くときもあるのですが、同じ曲に聴こえてこないほど、生徒達の歌声が、気持ちがちがって届きます。歌っている高校生の表情、歌声、歌詞がホールの空間全体に響き合い、どんどん引き込まれていきます。気づくと、心は高鳴り、胸には熱いものが湧き上がり、あふれた感情を抑えることができなくなり、目からは熱いものがあふれ出ていました。この心地よさは何なのだろうか。この心の動き方は何なのだろうか。イフルエンザで学校閉鎖になってしまい、練習時間は例年に比べようもないほど少なかったはずです。クラスで仕上げようとしても決して始めから上手く、順調に進むこともあり得ません。必ず、苦労して、諦めかけて、それでもみんなで支え合って、諦めずに自分たちらしさを追い求める。一人で出来ない合唱を通して、大勢の力で成し遂げる大きな仕事に向かうことで、一回りも二回りも大きく成長しているのでしょう。11年生は今回で最後の合唱祭。終わった後の満足感は想像を超える物に違いありません。  私は、中学・高等学校時代クラブと勉強で明け暮れた、まるで軍隊の様な毎日を送っていました。でも、その時は必死に周りについて行くことだけしか考えられませんでした。浪人時代に図書館で出会った司法試験浪人生、大学時代の山の仲間そして、何よりも明星へお世話になった頃の先輩達。今、私が高校生の歌声を聞いて感動できたのは、明星で育ててもらったお陰かも知れません。今はもう亡くなったお世話になった先輩達の顔が浮かびます。もし、時間が戻せるなら、子どもの頃にこの明星で学びたかった。こんな高校生活を送ってみたかった。高校生の歌声を聞いているうちに、いつしかそんな思いが広がっていました。

今回、初めて聞いた合唱祭。こんなにも心洗われる思いができるとは思いませんでした。高校生達からエールをもらった、そんな素敵な時間でした。忙しいときほど、足を運ぶべきですね。ホールの広ささえ許せば、小学生にも聞かせたいと思いました。

来年、お時間がありましたら是非おでかけください。お奨めです。