明星学園

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理科は得意ですか?

校長だより
校長 福田 純一

 1学期も半ばを迎え、4年生羽村堰見学遠足を皮切りに、各学年の遠足行事が予定されています。先週は、5年生が2泊3日の伊豆大島の見学旅行に出かけました。初日は雨に降られましたが、2日目以降は好天に恵まれ、子どもたちもすてきな体験をすることができました。
 さて、今回は、毎日新聞に出ていた精神科医の香山リカさんのコラムを話題にしてみることにします。

 香山リカさんのコラムに気になることが書かれていました。最近の若者は、周りに気を遣って、自分の意見を言わない、ということが書かれていました。例えば、大学のゼミで先生が学生さんたちに、
「おもしろいですか?難しいですか?」と、聞くと
「おもしろいです。」とか、「丁度良いです。」
などと、言ってくれはする。そこで、香山さんは重ねて、
「先生だからって、正しいことを言うとは限らないんだよ。おかしいな、と思ったらなんでも言ってね。」
と、授業中に何度も繰り返すそうです。それでも学生さんたちは、
「だいじょうぶ、とても勉強になります」
と、笑顔で言うばかりだそうです。

 このコラムを読んだ後、一人の卒業生の顔が浮かびました。19日の土曜日に昆虫クラブのフィールドワークに出かけたのですが、そこに特別ゲストで参加した一人でした。彼女は、生粋の明星生で現在大学4年生。この秋には教育実習にくることになっています。その彼女が中学校広報の取材で、3人の卒業生とインタビューに応じてくれたときの話を思い出しました。 ※ 以下、「」内は、「ココロコミュEAST」の記事より引用
「60人ぐらいの大学の授業で、理科が得意な人は○を付けてくださいと、いうアンケートがあったんです。集計したら○を付けた人は私一人しかいなかったんです。それで、隣にいた理科ができる子に○を付けなかった理由を聞いたら、その子は、化学は点数がとれるけど、あとはとれないからって言われて、点数が採れないと得意っていっちゃいけないんだ!って思ったのです。でも、私は理科が好きだから得意だと思っているし、そういう点数や知識の有無だけを基準に考えて生きているのと、好きだから取り組んで幸せな気持ちになって生きるのとでは、全然違うと思いました。」

 香山さんの話に出てくる学生さんたちもきっと、この問いに対して○を付けないでしょう。この卒業生にしてみれば、理科に関する様々な疑問を解き明かすプロセスが楽しくて仕方がないのでしょう。
 周りにいらぬ気遣いばかりして、自分の本当の考えを主張しない若者。人からどう思われようが、好きなことは好きだ!と、胸を張って言える若者。こうした違いは、一体どこから来るのでしょうか。
 
 私は、こうしたところに明星の良さがあると思っています。自分でしっかり考え、行動するその姿は、明星がゆっくりと彼女の成長を見守りながら、自分で歩ませた結果ではないかと思っています。とかく、結果を急ぐ世の中。その時間の流れの中で、子どもたちは悩んだり、考えたりする余裕がありません。ですから、自分で判断することが怖いのではないでしょうか。香山先生の学生さんたちは、きっと皆優秀なはずです。でも、どこか自信がない、自己肯定感が低いのではないでしょうか。学力観の違いとも言えます。

 私は明星で教師に成り立ての頃、「君は教えすぎだ!」と、よく先輩にしかられました。教師になりたくて仕方なかった自分にとって、なぜ、教えてはいけないのかを理解することがとても難しかったです。でも、いつの間にか、明星の教師は、教えすぎないことを大切にしているのだと思える様になりました。それは、一人ひとりを大切にするために、その子が、何を、どのように考えていて、何をしようとしてるのか、見守っていくことを大切にしているからなのだと。そして、あの卒業生と同じように、楽しくて仕方がない明星での教師生活を送ることができる様になりました。