明星学園

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コレクション

校長だより
校長 福田 純一

 1学期が終わりました。例年より2週間も早い梅雨明けでしたが、ここへ来て西日本は集中豪雨に見舞われました。被害に遭われた方たちの一日も早い復興をお祈りいたします。
 さて、明日から子どもたちが待ちに待った夏休みです。昨年も私が子どもの頃の話をご紹介しましたが、今年も作品展に関するお話をしましょう。 

 夏休みの作品展は、毎年恒例になってから10年くらいが経つでしょうか。その始まりは、和田校長(現在も昆虫同好会“わだ虫”として活躍中)時代に「コレクション展」ということで始めたものです。虫好きな当時の和田校長は、物を集めることは、博物館に通じる意味でも大切なのだ!と、始めたのです。
「収集」ですから、子どもたちは夏休み中にいろいろな物を集めていました。
 印象的だったのは、ワインのコルクをきれいに貼り付けたもの、旅行中に使った切符(各駅停車の電車でいろんな所を回った様でした)など、なるほどと思わせるコレクションがたくさん並びました。中には、イチゴパックにあふれんばかりのセミの抜け殻を集めた子もいて、これには驚かされました。

 私は、これがきっかけである物のコレクションを始めました。以前から関心はあったのですが、丁度良いきっかけでした。釣り好きな私のことですから、皆さん、予想はつきますよね。魚の「耳石」という物を集め始めたのです。また、魚の話かと言わずに、少しお付き合いください。

 魚は、水の中で地面から来る振動を感じ取っています。池の魚を見たさにそうっと近づいても、ある距離まで近づくと、突然逃げてしまいます。あれは、人の影を目で感じ取っていることもありますが、人が歩くときの振動を体の側面にある「側線」という器官で感じ取っているのです。金魚などを見ると、体の中央に
点線の様な筋が1本通っていますよね。あれが側線です。水の中は空気中よりも音が伝わりやすいので、その振動を鱗の表面に出ている神経が感じ取る仕組みになっているのです。人の耳の様な働きをしている器官です。
 さて、それでは、「耳石」という物は一体どのような役割をしているのでしょうか。「耳」と書くからには、人の耳の様な働きをしていそうですが…。
 実は、人の耳も音を聞く働きの他に、体のバランスに関わる働きをしています。内耳といわれる部分です。ここに三半規管というものがあり、体がどのように傾いているのかを感じ取る働きをしています。
 魚の「耳石」もこれと同様の働きをしています。「耳石」は、魚の頭蓋骨の中にあります。目と脳の間ぐらいの場所に小さな部屋があり、その中で耳石が動くことにより、魚は体がどのような状態にあるのかを認識します。大きさは魚の種類、体の大きさにもよりますが、皆さんの小指の爪ぐらいと表現しておきましょう。お米を大きくした様な形で、乳白色で半透明です。ちょっとギザギザしている物が多く、魚の成長とともに大きくなります。
 「イシモチ」というあだ名を持つ魚がいます。この魚は、「ニベ」というちゃんとした名前を持っているのですが、体の割に大きな「耳石」を持つことからこのあだ名が名付けられたようです。夏場にはキスなどと並んでお魚屋さんに並ぶことが多いので、見かけたことがある人も多いでしょう。
 夏によく食べるアジでも、ニベほどの大きさではありませんが、耳石を取ることができます。お刺身などで食べた後、お鍋で頭だけをグツグツ煮てください。そして、頭蓋骨をきれいに洗い、注意深く割ってみると、脳と目のそばの小さな部屋の中から、乳白色の貝殻のような物が出てきます。左右一対ですから、1匹で2枚の耳石を取ることができます。

 私が今まで集めた「耳石」は、イシモチ、クロメバル、カサゴ、アイナメ、クロダイ、マダイ、アジ、スズキなどです。旅行用のピルケースに入れてあります。何時、どこで釣った、どれくらいの大きさの魚なのかをメモして一緒に入れてあります。大きな魚が釣れたときは、一緒にあごの骨も保存しています。魚の歯の話を6年1組で少しだけお話ししたことがありますが、この話は又の機会にしましょう。
    
 夏休みの作品展で何にしようか悩むことがあったら、こんなコレクションもおすすめですよ。是非お試しあれ。
 それでは、健康に気を付けて、すてきな夏休みをお過ごしください。