明星学園

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お知らせ

自然界の不思議

校長だより
校長 福田 純一

 先日は、平日にもかかわらず多くの保護者の方に運動会を参観いただきましてありがとうございました。子どもたちが力いっぱい走り抜ける姿、仲間と声を掛け合い協力している姿…。とても熱く、素敵な運動会でした。皆様のご協力に深く感謝いたします。
 さて、今回は「ヤシャブシ」の松ぼっくりについてのお話です。

 先日、雨具のポケットから小型の松ぼっくりが出てきました。どこで拾ったのか覚えていないのですが、名前を調べてみようと拾ったものでした。照井先生に聞いてみると、「ヤシャブシ」という植物の松ぼっくりだと分かりました。松ぼっくりを小さくした形をしていて、リースなどによく使われるそうです。


 高瀬先生から紹介された『ウニはすごい バッタもすごい』
本川達雄著の本の内容でも出ていた渦の話とつながり、このヤシャブシの球果にちょっといたずらをしてみました。開いた笠を一部分だけ白く塗ったのです。すると、ヤシャブシの球果に螺旋(らせん)が見えて来ました。
 この螺旋、実は数学ではとても有名なものなのです。

 辺の長さが1,1,2,3,5,8,13…となるような正方形を辺が重なり合うように描きます。

 


 辺の長さが1の正方形の重なった頂点を中心に半円を描きます。


 


 今度は、辺の長さ2の正方形に1/4円を描きます。





 同様に半径3の正方形に1/4円を描き、半径5の正方形にも1/4円を描きます。


 


 ほうら、何となく螺旋に見えてきたでしょう?この作業を続けていくと、カタツムリのような渦巻、螺旋を描くことができます。
 この「1,1,2,3,5,8,13,21…」という数列をフィボナッチ数列と呼びます。前項との和で次の項が決まる数列です。聞いたことがあると思われた保護者の方も多いでしょう。(高等学校の数学で出てきます)
 このフィボナッチ数列の螺旋は、自然界の様々なところで見ることができることが知られています。たとえば、ヒマワリの種の成り方。あの大きな花の中にできる種がこの渦を巻いて重なり合っています。また、カタツムリなどの貝殻。サザエなどを思い浮かべてもらうと分かりやすいでしょう。
 今回、私が非常に納得できたことは、先ほど紹介した本の3章「貝はなぜラセンなのか―軟体動物―」の内容で、螺旋の殻は形が変わらないということでした。先ほどの渦をもう一度見てみましょう。



   

 図のように、破線のところで切断してみると、なるほど、貝殻のどの部分をとっても相似形であることがわかります。貝が成長して殻を大きくしていくのには都合よくできているのでしょう。

 動物だけではなく、植物の世界でもたくさんの事例が知られています。葉の付き方が螺旋状になっているものが少なくありません。太陽の光を少しでもたくさん浴びるためにどうしても植物にとっては必要な仕掛けだったのでしょう。枝ぶりなどでもこの数列が当てはまるそうです。下から、枝分かれしている本数が、2,3,5…と続いているそうです。

 「数学は現象を記述するもの」と一般的にはよく言われます。このように見てみると、フィボナッチという人が発見した数列の美しさ、自然を解き明かす表現性、そして、何よりもそうしたものを創り出す自然の奥深さに驚かずにはいられませんでした。
 フィボナッチ数列については、小学生でも楽しめる絵本(高学年向き)が図書室にあります。秋の夜長、眺めてみるのもお勧めです。