明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

歯の話

校長だより
校長 福田 純一

 正門のイチョウも色づき始め、葉の落ちた枝には木の実をついばむヒヨドリの姿が目立ちます。いつの間にかすっかり冬らしくなってきました。お陰様で公開研究会では、全体会で講演してくださった梅原先生から、また各教科の分科会に参加してくださった方々から貴重な意見、視点を頂くことができました。入試業務ともども、ご理解を頂き感謝申し上げます。
 さて、今回は歯の話です。
 皆さんは、毎日いろいろなものを食べます。人間は、食べることにより消化・吸収を行い、体を作っていく動物です。植物と違い、体に必要な物質を作り出すことができないので、どうしても食べなければ生きていくことができないのです。物を食べるときに、私たちはよく噛みます。低学年の総合の授業でもリンゴを食べてみて歯のどの部分をどのように使っているのかを確かめていきます。さて、ここで1つ目の質問です。

 Q1.われわれ人間は、通常成人になると歯は何本あるでしょうか?
 A. 正解は28本です。

     
 俗にいう親知らずという臼歯がすべて生えていると4本足して、32本ということになります。現代人は、あごの形状が細長くなってきているようでこの親知らずが4本ともきれいに生えそろっている人は少ないようですが…。(ちなみに私は縄文人さながらの顎を持っているようで32本すべてが生えそろっています。)

 皆さんよくご存じのように、前歯(切歯)で噛み切り、臼歯で咀嚼するわけです。犬歯は、現代の人間にとってはあまり働きを持っているわけではないようです。名残ですかね。井の頭動物園にいたゾウの花子さん。今は吉祥寺の北口に明星の卒業生笛田亜希さんが作った像として残っていますが、動物園に展示されていた臼歯はお弁当箱ぐらいの大きさでした。かたい物をすりおろすように咀嚼するには必要な歯であったわけです。自然界では、この臼歯が抜けてしまうとゾウは生きていけないそうです。

 さて、話を別な生き物に移しましょう。そこで、第二問です。

 Q2. 魚には歯があるでしょうか?

 一瞬「?」と思われる方も多いでしょう。歯といえるのかな?と思いますよね。サメの歯などを連想された方は、迷わず「ある!」と答えたことでしょう。
 
 では、まずこの画像を見てみてください。

     

 これは、ある魚の顎の標本です。結構身近な、淡水に住む魚です。名前は分かりますか?この画像だと、ギザギザはあるけれど、歯といえるのだろうか、と思いますよね。   

 これは、ニジマスという魚の顎です。よく見ると上あご、下あごに細かいギザギザがあるのがわかります。ニジマスは、どのようなものを食べていたでしょうか?ニジマスは、貪欲な魚で、警戒心も薄く何でも食べてしまうというところですが、本来は小魚、エビ、昆虫など貧栄養淡水域にすむ魚なので、水面に落ちた虫なども捕食します。旅行先などでニジマスの釣り堀を経験された方も多いでしょう。その時、針を飲み込まれてしまうことがありませんでしたか?ニジマスという魚は、何でもパクっと丸呑みにして食べてしまうタイプなのです。    

 続いて、この画像を見てみてください。

     

 これは、ヒラメの顎の標本です。顎の形状は先程のニジマスと似ていますが、この尖ったものは…、明らかに歯ですよね。
 ヒラメは、海底に埋もれて、イワシなどの魚が近づいてくるのを砂から目だけを出して待ち構えています。そして、機をうかがって一気に襲い掛かります。当然、小魚も逃げようとするわけですから、サメのような鋭い歯で噛みついて放そうとしないわけです。食いつきタイプの魚というわけです。

 こちらの画像は、クロダイという魚の顎です。

     

 丸い突起状のものが二層に並んでいる様子がわかります。クロダイは、磯などにすみ固い貝やカニの甲羅をこの歯で噛み砕いて食べています。冬には海藻を食べたりすることもあるようですが、好物はムール貝の一種のカラス貝です。堤防などにへばりついた貝をはがして、噛み砕いて食べています。

     

 こちらの画像は、石鯛の顎の標本です。

     

 まるでオオムの口ばしのような形状をしています。この歯でウニや貝の殻などかたい物を噛み砕いて食べています。
 釣りが趣味でない方たちは、東京にいながら石鯛を食べたことはもとより、見たこともないかもしれませんね。釣り好きな人間にとってはあこがれの魚です。

 このように、魚にも歯と呼べるものがあります。そして、その歯は、その魚の食べ物にあった形状をしていることがわかります。動物というと、大型の哺乳類を考えがちですが、魚などの動物でも、その歯の構造は食性と大きくかかわっていることがわかります。