明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

ジオパーク伊豆大島へ

校長だより
1、竹芝桟橋から1時間45分
「三日おくれの 便りをのせて 船が 行く行く 波浮港」ということで、5月22日(水)~24日(金)の三日間、5年生と一緒に伊豆大島へ行ってきました。天気は快晴。前日の臨時休校が嘘のようでした。
7時40分竹芝桟橋集合。8時15分にジェットフォイルが出港します。「速い・揺れない」が売りのジェットフォイルは、海の上を飛ぶように航行し、1時間45分で竹芝桟橋と伊豆大島(元町港または岡田港)を結びます。伊豆大島は本当に近くなったものです。
2002年にジェットフォイルが就航するまでは、7時に新宿駅に集合し、まずはロマンスカーで小田原へ。そこから東海道線の普通列車に乗換え「熱海」へ移動。その後貸し切りバスで「熱海港」へ向かい、そこから旅客船か高速船で伊豆大島に渡っていました。旅行らしいといえば旅行らしいのですが、旅客船は揺れが大きい上に所要時間も長く、船酔いしてしまう子供が多くみられました。大島に辿り着くだけでも、なかなかの旅だったのです。                                         
2、ジオパーク伊豆大島
人間が地球上にあらわれて間もないころ、伊豆大島のあたりの海には、三つの古い火山島がありました。それらは北の方から順に、岡田火山、行者窟(ぎょうじゃくつ)火山、筆島火山と名づけられています。古い火山島は、やがて活動を終え、次第に浸食(しんしょく)されていきました。そして、今からおよそ数万年前になると、今度はそれらの古い火山島の西側の海で海底火山が噴火しました。それが大島火山になりました。たびかさなる噴火によって成長した大島火山は、やがて古い三つの火山島と連なって、とうとう一つの大きな成層(せいそう)火山島になってしまいました。
このように伊豆大島は火山島なので、火口や溶岩流など、火山を体感する事ができます。また、上から下まで見ると、植生も含めて地球の歴史が全部あります。凄い内容を持っているのです。
島全体が山なので、地図を手がかりに等高線の学習をすることもできます。実感を伴わないと理解の難しい等高線の学習も、伊豆大島ではより確かに、より実用的にする事ができるのです。
火山島なので、地層を見学することもできます。明星の子どもたちは、4年生から地球史の学習を始めていますが、実際に地層を見るのは、伊豆大島が初めてです。化石ができる過程で、地層に関しても触れていますが、化石採集がメインなので、写真以外でしっかりした地層を見るのは、伊豆大島が初となります。一回の噴火では、三種類の地層ができあがります。まずはスコリアの重い溶岩の砕けたものが落ち、その次に火山灰が落ちてきます。次の噴火までは相当あるので、その間に風化した火山灰が一番上に堆積していきます。火山島であり、地震も多いことから、伊豆大島の地層では、断層によって逆転したり、断層が途切れているものも見ることができます。
  
3、伊豆大島での基本的な日程
伊豆大島での基本的な日程は、初日に三原山へ登り、二日目に体験学習と火山博物館の見学、三日目に地層断面及び波浮港見学、大島公園の見学と海での水遊びとなっています。伊豆大島の象徴は三原山ですから、初日に三原山に登ることによって、大島に来た実感がグッと高まります。(※)今回は天気の悪いことが予想されたため、初日に大島公園の見学と火山博物館の見学を行い、二日目に体験学習と三原山登山を行いました。
三原山は度重なる噴火により、外輪山と内輪山の構成によって成り立っています。このため、噴火口がある内輪山に登るためには、大きなカルデラへ降りていくところから始めなければなりません。大きなカルデラの中をのんびり歩いて行くと、33年前の噴火によって流れ出たスコリア丘が待ち受けています。早速子どもたちはその上に登り、33年経っても虹色に輝いている溶岩を必死に拾い上げていきます。
子どもたちの興奮が一段落したら、カルデラ内にできた内輪山の登山を始めます。内輪山の噴火口を目指して登って行くと、四方に海、その対岸に本州や伊豆七島を望める絶景ポイントが現れます。今回は御蔵島まで見え、富士山も見ることができました。大島に来て本当に良かったと実感する瞬間です。その後もパノラマに広がる絶景を見ながら、噴火口目指して歩いて行くと、ついに眼前に噴火口が現れます。最後の噴火から33年経った今でも、その広さと深さは実に圧巻です。体験しながら自然のものを学んでいき、日本列島がプレートの境目にあり、地震も多く火山も多いこと、他の国よりも災害がとても多いことを肌で感じていくと、それらに対する知識だけでなく、命の大切さも子どもが感じる様になります。
4、裏砂漠から大島温泉ホテルへ
火口見学を終えると、大島温泉ホテルまで、裏砂漠をひた歩きます。スタート地点である外輪山からホテルまでの道のりは約10キロ。決して歩きやすい道ではありません。それをやり遂げた者だけが、歩いてきた行程を一望できる露天風呂と、大島ならではの美味しい夕食にありつけるのです。夕食後は、島ならではの満天の星空。「こんなに星があるなんて!」子どもたちと見上げた星空は、一生の宝となりました。
5、最高の仲間に感謝
解散場所である竹芝桟橋に到着し校長としての一言を求められた私は「来年もまた剛力は伊豆大島に行くことができます。でもそこにないものが一つだけあります。それは何でしょう。」と問いかけました。すると子供の中から「私たち」という声が上がりました。今年の5年生・先生方とでしか味わえない最高の時間を過ごせたことに、心から感謝します。