明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

一学期をふりかえって

校長だより
一学期を振り返って

4月6日に始まった一学期が終わりました。一日一日の積み重ねでしたが、いかがでしたでしょうか。子どもたち一人ひとりにとって、実りある日々であったことを祈ります。
1、登校指導
私は毎朝7:45に、三鷹駅発の赤バス(この赤バスには、7:35発に小関先生、8:05発に長澤先生が乗車し、子どもたちの安全確保と、乗車マナーの指導をして下さいました)を迎え、その後、井の頭公園から学校までの通学路に立ち、子どもたちの安全確保と通学指導をしてきました。子どもたちに出会うと「おはよう。良く来たね!」と挨拶を交わし「良い一日を!」と声をかけました。毎日同じ時間に、同じ場所で子どもたちと会えるわけですが、繰り返される光景に、平和を覚えてきました。時には輝ける日光が、時には鶯の囁きが、そこに彩りを加えてくれました。
登校指導には、二つの目的があります。一つ目は、子どもたちの安全確保。もう一つは交通整理です。友達と一緒に歩くと、ついつい子どもたちは道一杯に広がってしまいます。そうなれば当然、自転車や車とぶつかる危険が生じます。また、他の通行人や地域に住む方々の迷惑になるとともに、時には恐怖心さえ与えてしまいます。明星学園も95年に亘る井の頭の住人ですが、私立学校として舎を構えているわけですから、地域の方々が安心して暮らせるようマナーを守り、地域に貢献できるよう努力していく事が必要です。

2、いつも元気で
一時間目には教室を回り、子どもたちが元気でいるかどうかも見てきました。クラスに着くと空席を確認し、空席が見られる場合は誰がお休みかを尋ねました。クラス全員が揃っている時には「黒板の一番目立つ所に花丸をつけたら!」と子どもたちに囁きました。クラス全員が揃うことほど素晴らしい事はないからです。特に一年生の教室には目を配りました。「通学」も「学校生活」も初めてだからです。でも一年生の教室で空席は見られませんでした。入野先生、永瀬先生をはじめ、学年の先生方の温かいご指導に深謝です。
明星は私立なので、殆どの子どもたちが電車やバスを使って登校してきます。そこでは、在住地域を離れた世界と遭遇し、その中で逞しく生きることが求められます。通学だけでも計り知れない力が養われているのです。学園が大切にしている「自分の頭で考え、自分の心で感じ、行動する」という力が、社会の中で実践的に鍛えられる。それを一年生から立派にやってのける。子どもたちの中にはそれだけの力が備わっていること、それが環境によって引き出されることを、確認しておきたいと思います。
3、「いつも元気」は「ニコニコ」が源
「通学」という厳しい社会で揉まれながらも、子どもたちは元気に登校してきます。その事が私の口から「良く来たね!今日も会えたね!良い1日を!」という言葉を引き出しました。時には「学校はどう?楽しい?」という問いも引き出され、「うん楽しい!」という答えに一喜一憂し、「…。」という答えに沈思黙考を迫られました。子どもたちが笑顔でいられる陰には、先生方の子どもたちに対する深い愛情があります。子どもたちの幸せを一番に考え、粛々と準備を進めているのです。その姿にいつも感動し、感謝の気持ちを伝えてきました。静寂に包まれた職員室で、先生方が集中し、自らの力を最大限に発揮されている姿は実に圧巻です。ふと時計に目をやると、針が九時を指していることも多々ありました。
先生方が準備した空間に息吹を吹き込むのは子どもたちです。ですから、その時までは、先生方の鼓動が響きます。子どもたちがその空間に息吹を吹き込み、笑顔の花が咲いたとき、先生方の顔にも笑顔の花が咲きます。その繰り返しの中で、豊かな教育実践が紡がれていくのです。「いつも元気で」の源は「ニコニコ」にあり、それは子どもたちだけの宝ではなく、全ての人の宝となっているのです。

4、音楽でしか味わえない感動
空き時間に音楽室へ足を運ぶと、雛壇に子どもたちが座っていました。その正面には笑顔でピアノを奏でる長澤先生。「一緒に歌っても良いですか?」の問いかけに、「いいよー。」と温かく受け入れてくれる子どもたち。それだけで幸せな気持ちになります。そして何よりも、自分の歌声と子どもたちの歌声が重なった瞬間、他では得ることの出来ない感動を覚え、涙が溢れそうになります。音楽には音楽でしか味わう事の出来ない本当の面白さ・素晴らしさがあり、それを通じて子どもたちが豊かに育まれていくのです。

5、本物が本物を育てる
本物が子ども達を豊かな世界に導いて行く事は、他の教科や教科外教育でも同じです。それぞれの持つ本当の面白さ(学問的・文化的価値)が、子どもたちを豊かに育むのです。算数には算数の、理科には理科の、体育には体育の本当の面白さ(学問的・文化的価値)があり、それらを通じて子どもたちは豊かに育まれていきます。ここでは、体育における本当の面白さについて、明星では指導することのない「水泳」で触れてみたいと思います。
水泳を指導する上では、「水泳の本当の面白さは何か」を明らかにしなければなりません。それを明らかにした上で、どのような順序で、どのように指導すれば良いかを考える必要があるのです。体育の場合はそこが怠られ、「教育内容=教材」となっていることが少なくありません。私は水泳の面白さを「呼吸をしながら浮き・進む」と捉えています。この「呼吸をしながら浮き・進む」を成り立たせている「基礎技術」にあたるものが「姿勢の制御を含む『呼吸と腕の協応動作』」であり、それを習得する上で最も相応しい泳法(基礎泳法)が「ドル平泳法(腕の搔きは平泳ぎ、脚の蹴りはドルフィンキック)」であると考えています。基礎技術が習得できたか否かは、ドル平泳法で200m泳げるようになったかどうかで判断し、ドル平で200m泳げるようになったら、バタフライに進み、バタフライで200m泳げるようになったら、クロールに進みます。クロールで200m泳げるようになったら、一番特殊な平泳ぎに進みます。自己流で平泳ぎをマスターする人が見られますが、平泳ぎは特殊な泳ぎなので、最初に自己流の平泳ぎをマスターしてしまうと、他の泳法への発展が難しくなってしまいます。私もそのうちの一人でした。学習の順序性はとても大切なのです。
ドル平から平泳ぎまでの発展を系統性と呼びますが、その中では「基礎が発展を保障し、発展が基礎を強化する」という関係性が貫かれています。バタフライを練習している時には、ドル平は全く練習していませんが、バタフライを習得した後にドル平で泳ぐと、ドル平が上手になっているのです。泳法は違っても、指導上のポイントは、①呼吸の確保、②リラクゼーション、③水平姿勢の三つです。この三つのポイントが習得されると、呼吸をしながら浮き・進む事ができ、サラサラと流れる水の音や、キラキラと輝く水中の光を楽しみながら、水泳でしか味わう事の出来ない世界を存分に味わうことができるようになります。生きる上で一番大切なのは心身のリラックス。だから私は、疲れた時ほど泳ぐようにしています。(武蔵野市民プールがお勧め)

6、日々のお弁当に感謝
子どもたちの一番の楽しみは、保護者の皆様が手間暇をかけて作って下さったお弁当でした。いつもは賑やかな子どもたちも、この時間だけは、幸せを噛みしめながら、ゆったりとお弁当を味わっていました。食材について調べみると、命を頂かないものは、塩と水だけのようです。他は何らかの命を頂くことで自らの命を繋いでいます。その事に対する感謝、手間暇をかけてお弁当を作って下さった保護者の皆様への感謝を込めて「頂きます」「ご馳走様」と唱和してきました。
いよいよ夏休みに突入し、保護者の皆様は暫くはお弁当作りから解放されますね。ご家族で素敵な夏休みを過ごされることをお祈り申し上げます。