明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

年度末にあたって

校長だより
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、明星学園でも3月2日より臨時休校に入らせて頂きました。
この臨時休校は、子どもたちの大切な時間を奪うものにもなってしまいました。はじめに、一年間の締め括りをクラスの友達や先生と過ごせなかった在校生、そして小学校生活最後の日々を友達や先生と過ごせなかった卒業生に心からお詫びします。
次に、不要不急の外出を控えて頂いた事により、多大なご苦労とご不便をお掛けした保護者の皆様にも心よりお詫び申し上げます。ここまでのご理解とご協力、本当にありがとうございます。
残念ながら、新型コロナウイルスの感染に終息の目処は立っておりません。先行きの見えない日々に、困惑と疲労を隠せませんが、相手がウイルスだけに、人間・社会が一丸となって取り組んで行く事が必要です。「失って初めてわかる」という言葉が示す通り、日常を失った私たちは、いかに日常が大切か素晴らしいかを思い知らされています。そしてその日常を取り戻すためには何が必要かも真剣に考え始めています。子どもの姿を失い、器だけが取り残された学校は、すっかり精気を失っています。そしてその事は改めて、学校の宝は子どもたちであり、子どもたちのために学校がある事を教えてくれています。学校の大切さと素晴らしさについては、教員である私たちだけでなく、子ども自身にも改めて認識する機会となったことでしょう。臨時休校という苦渋の決断をせざるを得なかった年度末ですが、失ってみて初めてわかるという観点から、もう一度学校の在り方を見つめ直し、学校再開の折にはまた子どもたちと日々会える喜びを噛みしめながら、豊かな教育活動を創造していきたいと思います。
臨時休校に伴い、学校での教育活動は休止したままですが、この学校便りを4月再開への契機としたく、2月23日に行われた学習発表会と、3月17日に行われた卒業式について、報告させて頂きます。


1、役者揃いの学習発表会
前回の学校便りでもお伝えしましたが、学習発表会では今年も、沢山の名役者が現れました。その様子は「明星一座」と旗揚げし、全国行脚に出かけてはと思うほどのものでした。
私は最前列を陣取り、全ての学年・クラスの劇を鑑賞しました。演技を通じて一人ひとりやクラス・学年の成長を感じることができ、とても嬉しく思いました。中には号泣させられてしまった劇もありました。
1年生「ほんとうの宝もの」        
2年生「音楽の好きな動物たち」
3年生 「天の笛」           
4年生「魔法をすてたマジョリン」
5年1組「モモ」            
5年2組「The Monkey & Crabs」
6年1組「6年1組同窓会」       
6年2組「1時間の未来」
劇は総合芸術であり、学習発表会に相応しい中身が秘められています。一度劇が始まれば、たとえ一年生であろうと、自分達の力で劇を演じきらねばなりません。そして子どもたちはそれを見事にやってのけるのです。練習の過程においても、本番においても、舞台上では様々なドラマが繰り広げられます。それを乗り越え一つの劇を創り上げたとき、他では味わえない達成感を得ることが出来、子どもたちは大きく成長してくのです。演劇の大切さと素晴らしさについては、開会の挨拶の中でもでも述べさせて頂きましたが、子どもたちと劇を創り上げることは、並大抵のことではありません。そこには毎年、先生方の一方ならぬ苦労があります。作品選びや台本の作成。役割決めと演技指導。朝に夕に体育館から響くピアノの音。夜遅くまで響く金槌の音。休みの日に背景の絵を描いている先生もいらっしゃいました。劇を作ることが大変な事は重々承知の上で、先生方は粉骨砕身努めて下さるのです。その先生方に感謝の気持ちを込めて、大きな拍手を送りたいと思います。保護者の皆様も、裏方に徹して頂きました。ご協力本当にありがとうございました。

2、卒業式
 3月17日に、6年生が小学校を巣立っていきました。一生に一度の晴れ舞台にもかかわらず、新型コロナウイルス対策で規模を縮小せざるを得なかったこと、マスク着用で行わざるを得なかったことを大変申し訳なく思いました。規模縮小で在校生は出席する事が出来ませんでしたが、在校生も卒業生に対する尊敬と感謝の念を抱いて、卒業生を送り出したかった筈です。特に一年生は、入学式の時にエスコートして貰い、1年間掛けて大切に育てて貰いました。卒業式には人一倍出席したかった筈です。卒業生も在校生に出席して貰い、自分達が受け継いてきた小学校の襷を、しっかり渡したかった筈です。私はその想いを一身に背負い、卒業生に式辞を述べさせて貰いました。
【式辞】
卒業生のみんな、卒業おめでとう。ついにこの日がやってきましたね。
六年前、今と同じように雛壇に座ったみんなと出会いました。本当に小さかったみんな。学校のことも、友達の事もまだわからず、ワクワクと同時にドキドキしていたみんな。自分の事は自分でやるしかなかったので、一人一人が自分の事で精一杯で、本当に色々な事が起こりました。喧嘩も沢山ありましたね。そんな皆を、先生方と保護者の皆様が、六年間掛けて「ゆっくり、じっくり、しっかり」育てて下さいました。そのお陰もあってみんなは、「強く」「正しく」「朗らかな」卒業生に育ってくれました。そんな皆の事を先生達は誇りに思っています。
今ここには61名の卒業生が座っています。でも入学式の時にここに座っていたのは47名の新入生でした。つまりこの六年間で14名の新しい仲間が加わったことになります。 
最初に転入してきたのは「○○さん」でしたね。転入試験の時は体調が悪く、高熱を出して、保健室で介抱したことを今でも鮮明に覚えています。転入してきた人達は、夢と希望を抱いて明星に転入してきたわけですが、それでもみんなと初めて出会う始業式では、「ワクワク」と同時に「ドキドキ」もしていた筈です。その新しい仲間を、先にいた人達がしっかりと受け入れ、新しい仲間も先にいた人達をしっかり受け入れる中で、そこには今までなかった新しいハーモニーが作られ、その中で一人一人の持つ本当の素晴らしさが引き出され、更に高められて行きました。そしてそのことが、今までよりも素晴らしいクラスや学年作りに繋がって行ったのです。卒業式を迎えた今、ここに座っている全ての仲間が宝であり、その掛け替えのない仲間と明星学園で出会えたこと、大切な時を一緒に過ごせたことに、心から感謝することができているのではないでしょうか。
さて、この卒業式が終わると、いよいよ皆は中学へと巣立っていきます。当たり前のように過ごしてきたこの幸せな時間が途切れてしまうことは、とても寂しく思いますが、私たちは未来へと向かって進んでいかなければなりません。新しい出会いが皆の事を待っています。明星学園以外の小学校で6年間を過ごしてきた友達との出会いは、時に皆にとって厳しいものになるかも知れません。でもそんなときにこそ、個性尊重・自主自立・自由平等を教育理念とした明星学園小学校で育った力を発揮して、また今と同じように、皆が皆で幸せになる世界を、築いて欲しいと思います。その為にも最後にもう一度、この言葉を卒業生の皆に贈っておきます。「強く・正しく・朗らかに」。
2020年3月17日、明星学園で皆と奇跡的に出会う事ができ、大切な時間を一緒に過ごすことができた、世界一幸せな校長より。
みんなと会えて本当に良かった。そして本当にありがとう。

今年の卒業生が残してくれた一番の宝は「優しさ」だったと思います。「みんなちがってみんな良い」「みんながみんなで幸せになる」。この二つを大切にする中で、卒業生は「強く」「正しく」「朗らかに」育ち、最高の仲間と、最高の小学校生活を送ることが出来たのです。
保護者の皆様にも感謝しなければなりません。数ある学校の中から明星学園を選び、大切なお子様を託して下さいました。6年間を振り返れば、決して平らな道ではありませんでしたが、保護者の皆様は常にそばにいて下さり、苦しいときほど共に歩んで下さいました。
4月からは、新しい出会いの中で新しい世界を創造する事が求められるわけですが、卒業生や保護者の皆様と出会えた事、一つの世界を確立できたことを宝にし、また皆がみんなで幸せになる世界を築き上げていきたいと思います。


3、2020年度に向けて
臨時休校を続ける中、特別な対応として卒業式を行いました。色々な制約はあったものの、子どもたちと久々に会うことが出来、幸せな時間を過ごすことができました。リハーサルの時間も短く、不安を覚える中での卒業式でしたが、子どもたちは立派に式をやり遂げ、胸を張って卒業していきました。私は一人一人に卒業証書を手渡しながら、この子とはこんな事があったなあ、そしてこれだけのことをやれたなあと、感慨にひたりながら卒業証書を手渡していきました。
六年間を振り返って改めて思うことはやはり「一人一人を大切にする」ということだと思います。個性尊重・自主自立・平等です。個性を尊重し、個性を可能な限り開花させていくこと、個性と個性の響き合いの中で集団が築かれ、その集団の中で自分一人では達することの出来ない新たな境地に出会い、その中で更に自分の個性に磨きをかけていくことが大なのです。その道は決して楽なものではなく、むしろ苦しい道のりですが、今年の卒業生は見事にそれをやり遂げてくれました。そして一人一人が自分の素晴らしさと友達の素晴らしさに大きな拍手を送りながら小学校を巣立っていきました。
個性尊重・自主自立・自由平等は、普遍的な理念であり、その理念に息吹を吹き込むのは一人一人の子どもたちです。2020年度はまた新たな風が吹きます。その風の中でまた、新たな世界を創造し、子どもたち一人一人の素晴らしさと出会って行きたいと思います。
教育の事を語ると心が温かくなります。新型コロナウイルスの感染が1日も早く終息し、新年度からはまた子どもたちと思いっきり学校生活を楽しめることを切に願います。現状は未だ不要不急の外出を控えて頂く状況にあり、引き続きご苦労とご不便をお掛けしますが、ご理解とご協力の程宜しくお願い申し上げます。