明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

一つひとつからまなぶこと

校長だより
一つひとつから学ぶこと
                    校長 剛力正和
1、当たり前から
3月2日に臨時休校に突入してからこの間、子どもたちにも保護者の皆様にも大変ご苦労とご不便をお掛けしました。ご理解とご協力を頂きましたことに、心より感謝申し上げます。
6月に子どもたちと再会できた折りには本当に嬉しく思いました。また、この9月には保護者の皆様とも再会することが出来ました。本当に嬉しく感じております。
子どもたちがいてくれること、そして保護者の皆様がいらして下さることに改めて感謝いたします。本学園は、これからも子どもたちの生活・学習がより豊かなものとなるよう努力して参ります。引き続きご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

2、自然から
明星学園の創立者は、「自然の中で伸び伸びと子どもたちを育てたい」と考え、この井の頭の地に学舎を構えました。辺り一面が麦畑だった頃とはかなり様子が変わりましたが、この地にはまだまだ自然が残っています。
明星の子どもたちの学びは通学路から始まります。子どもたちは色々な「みいつけた」を楽しみながら登校してきます。私は毎朝正門に立って子どもたちを出迎えていますが、先日も一人の子どもが青虫を自慢げに見せてくれました。もちろん、子どもたちの学びは通学路に留まりません。ビオトープの池では子どもたちがヤゴやメダカ、藻、海老と親しんでいます。草むらに潜んでいた蛇を捕まえて嬉しそうに見せてくれる子どももいます。春休みに剪定し丸坊主となったドングリの木には青々とした葉が茂り強い生命力を感じます。さるすべりの木には奇麗な花が咲いています。その花は5・6年生の教室からも眺めることができ、学園全体が癒やされています。

3、夏休み作品展から
今年も夏休み作品展が行われました。一つひとつの作品と向き合いながら「この子はどうしてこの作品に取り組んだのだろうか」、「どんな気持ちでこの作品に取り組んだのだろうか」、「完成した時にはどのような気持ちだったのだろうか」と思いを寄せながら作品を写真に収めていきました。
作品からは子どもたちの新たな一面を知ることも出来ました。その感動を子どもに伝える中では新たな関係を築くこともできました。
子どもたちは本当に素敵です。学びを展開する中で自らを創造し続けています。大切なのは子どもたちひとりひとりを良く知ることです。表現がその機会を与えてくれます。子どもの力を信じ、その力を可能な限り伸ばせるよう環境を整えて行くことが大切です。
作品展が終わった数日後、6年生のある男子が「ぼくらが鳥人間になる日まで(正本ノン・丹内友香子 共著」という本を持ってきました。これから取り組む卒業論文との関わりで読んで欲しいとのことでした。この本には人力飛行機作りにかける中・高校生たちの熱い日々が描かれており、明星でもこれがやりたいとの思いから、校長である私のところにこの本を持ってきたのでした。この男の子の夢が叶えられるか否かは未知数です。でも夢に向かって自ら立ち上がり、はじめの一歩を踏み出したところに大きな価値があると思います。この本からは航空力学に関することなど沢山の知識を得ることができます。しかしその知識を活かすためには「方法」も習得しなければなりません。はじめの一歩を踏み出したこの男の子が、夢との関わりでどのように歩みを進め、それを卒業論文にまとめるかを、楽しみに見守りたいと思います。

4、体育の授業から
今週の火曜日、6年生が体育の授業でハンドボールをしていました。練習で仕組みと働を確認したあと、ゴールキーパーを入れて4人対4人のゲームが行われました。どんなゲームになるか見守っていたところ、全員にパスが回り、全員シュートすることができました。シュートが決まった瞬間は大きな歓声が起こり、ハンドボールの持つ本当の面白さを通じて子どもたちが一つになっている事も見て取ることができました。
子どもたちが大切にしていたのは、①「ともにうまくなる」 ②「ともに楽しみ競い合う」 ③「ともに意味を考える」の3つです。見ていて心が温かくなり、最後までゲームに見入ってしまいました。「一人ひとりを大切にし、みんなで力を合わせてゲームを楽しむ」それが感じられるからこそ、子どもたちはハンドボールに価値を見いだし、主体的に取り組むことができるのです。「みんながみんなで」という視点は体育だけでなく、全ての教科と教科外教育で培われていきます。ホームルームをベースに教科と教科外の活動が紡がれる中、その視点はより確かで豊かなものへと高められていきます。6年生は6年間かけて視点に磨きをかけてきました。体育の授業を通じてその事が読み取れたことを嬉しく思います。
楽しさ・幸せの追求としてコートを駆け回る姿を見て、ハンドボールはオンラインでは学ぶことのできない学校の宝であることを再認識しました。当たり前を失った今だからこそ、一つひとつの意味を問い直し、より豊かに生きられる世界を創造し続けたいと思います。(Make a better world for you and for me.)

5、おわりに
学園内や学園周辺で学べることも沢山ありますが、学園を離れなければ学べないことも沢山あります。二学期は遠足や社会科見学・修学旅行など、行動範囲を広げ、豊かな「もの・こと・ひと」と出会う中で子どもたちに必要な学びを保障して参ります。