明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

これまでを振り返って

校長だより
1. 季節の移り変わりと共に
寒暖の差が激しい今日この頃。雪国からは初雪の知らせも届きましたね。秋もあっという間に過ぎてしまいそうですね。
そのような中、紅葉が秋の深まりを告げています。自然そのものが美術です。その美しさが全ての人の心と身体を癒やしてくれます。
私が学園に勤めて間もない頃、3年生と紅葉を見に「星野温泉(軽井沢)」まで出かけました。一泊二日の小旅行です。上野駅から特急に乗り、「鬼押し出し」を見学してから宿に向かいました。宿に着くとまずはお風呂の入り方を学習し、宿自慢の温泉を楽しみます。湯船の一角には滑り台があり、子どもたちは勢いよく湯船に滑り込んでいました。その後は待ちに待った夕食。大宴会の始まりです。二日目は紅葉を見ながらオリエンテーリングを楽しみます。担任をされていた横森幸子先生が「この紅葉を見られただけで幸せ」と感嘆されていた事を今でも鮮明に覚えています。隣のクラスの担任は一瀬清先生でした。
秋が終われば冬が来る。冬が終われば春が来る。春が終われば夏が来る。そして夏が終われば秋が来る。一生はこの繰り返しです。一つ一つの季節を、一年一年をしっかり生きる中で、地に根を張った自分を確立していきたいものです。

2. 子どもたちの様子から
①登校時から
二学期の始業から10月初旬までは正門で子どもたちを出迎えていましたが、その後は井の頭公園駅からの通学路に立ち、子どもたちを出迎えてきました。そしてその中では、毎日子どもたちと会える幸せを噛みしめていました。
正門では「おはよう。よく来たね。今日も会えたね。調子はどう。良い一日を。」と声をかけました。小学生だけではなく中学生にも声をかけましたが、みんな気持ちよく挨拶を交わしてくれました。一人ひとりが大切な宝です。その宝が輝くために学園があります。
通学路に立つと、そこには高校生も加わってきます。高校生にも同様に声をかけたところ、小中学生と同じ反応が返ってきました。やはり明星学園は12年一貫の学園です。懐かしい顔も沢山見られました。外部生と内部生が織り成す中、強く・正しく・朗らかな明星生が育っていることを嬉しく感じました。勿論課題もあります。友達との会話を楽しんでいると、ついつい道一杯に広がってしまいます。そこで私は「右側通行でお願いします。」と声をかけています。一言かければ「ハッ」と気付いて正すことができます。地域に住む方にとっては、私立学校の児童・生徒が道一杯に広がって歩くことは時に恐怖ともなります。学校の中で安心・安全が保障されるのと同様に、地域との関わりにおいても安心して生活できる事を保障しなければなりません。学校と社会を往還させてこそ、学力は本物へと高められていきます。車での送迎に関してもご理解・ご協力をお願いいたします。

②休み時間や授業の様子から
子どもたちの出迎えが終わると、全ての教室を見回っています。それぞれの教室では、それぞれの営みが成されていますが、どの教室を見ても安心して生活・学習できる空間が創造されています。
6月に学校を再開した折りには、緊張して発言の少なかった子どもも、すっかり表情が柔らかくなり、安心して発言できるようになっています。その事を嬉しく見守ると共に、一人ひとりの素晴らしさを引き出し、豊かに紡いで下さっている先生方にも深く感謝しています。
職員室では子どもたちの話に花が咲いています。子どもたちの素晴らしさを語る先生方は実に嬉しそうです。その喜びが日々への最大のエネルギーになっていきます。教師の素晴らしさを引き出しているのは子どもたちです。子どもたちにも改めて感謝したいと思います。

③明星生になった1年生
ある日の休み時間、1年生の子どもたちが鉄棒で遊んでいました。本当に仲良く遊んでいました。子どもたちにとっては既に当たり前のことなのでしょうが、この関係が築かれるまでにはそれなりの時間がかかったはずです。すっかり友達に、すっかり明星生になった様子を見て改めて「明星学園に入学してくれたこと」に感謝しました。
他の子どもたちの遊びもどんどん広がっています。入学から半年を経て、未知の地であった学園はすっかり自分たちの庭になったようです。その姿も嬉しく見守っています。
私も1年生と仲良くなりました。全員の名前も覚え、一人ひとりの素晴らしさを味わいながら、日々を幸せに過ごしています。みんな違ってみんな良い。それだけでも素晴らしいことですが、一人ひとりが豊かに紡がれる中で、更に豊かな個と集団が育まれていきます。その瞬間に立ち会うことのできる教師という仕事は、本当に素晴らしい仕事です。

④修学旅行
10月21日(水)から23日(金)まで、6年生と奈良へ修学旅行に行ってきました。三日目は残念ながら雨に降られたものの、6年間一緒に過ごしてきた子どもたちと幸せな三日間を過ごすことができました。
コロナ禍に修学旅行を実施する上では、慎重な判断が求められました。受け入れ先である奈良市や宿の了解とバックアップがなければ実施することはできませんでしたが、保護者の皆様のご理解とご協力を得られた事が一番の決め手となりました。勿論、担任の先生や社会科の江口先生、学年の先生方も、修学旅行の実施に向けて全力を尽くして下さいました。沢山の方のお力添えのもと、修学旅行を実施できたことに、心より感謝申し上げます。
6年間一緒に過ごしてきた子どもたちとの修学旅行、コロナ禍で不自由な生活を送ってきた子どもたちとの修学旅行は感無量でした。感染対策も含め、全てのことを自分たちでやり遂げる子どもたち。その姿を見て「どの子も本当に素敵に育ったなあ。6年生って本当に素晴らしいなあ。」と感慨に浸りました。6年間の中では色々なことがあったはずです。今も色々なことがあるはずです。色々なことがあって当たり前なのです。大切なことは、批判や否定をすることではなく、お互いをありのままに受け入れ、創造的に前進することです。6年間を共に過ごした子どもたちは、お互いのことを知り尽くしています。だからこそ安心して自分を曝け出し、友達に受け入れて貰い、時には支えて貰い、時には支える側に回って、より良く生きられる社会を創造しています。互いの依存関係によって自立した生活を築くことができるからこそ、必要以上に先生に頼ることもないのでしょう。その姿を修学旅行で目の当たりにすることができたように思います。
6年生との関わりはこの先も続きます。解散場所である東京駅で私は「20歳になったら一緒に飲もうね」と約束しました。でもその前に、今ここを生きる子どもたちとしっかり向き合うことが必要です。なかなか6年生と時を共にすることができない私にとっては、6年生とじっくり過ごすことができた修学旅行が掛け替えのない宝となりました。
3月に卒業を控え、6年生の子どもたちと過ごせる時間も少なくなっています。これまでに感謝すると共に、これからの時間を大切に大切に過ごしたいと思います。
(旅行行程)
【初 日】東京駅―京都駅―平城宮跡(資料館・遺構覆屋・大極殿跡・朱雀門)―宿舎
【二日目】宿舎―法隆寺―キトラ古墳・高松塚古墳―橘寺―石舞台古墳―酒船石―亀形石造物―飛鳥寺―(甘樫丘)―宿舎
【三日目】宿舎―奈良公園(二月堂・三月堂・大仏殿)―興福寺―近鉄奈良駅―京都駅―東京駅

3. 入学試験
今年はコロナ禍におかれ、説明会の開催や入学試験への応募が心配されましたが、皆様のお陰で昨年よりも多いご家庭に受験頂く事ができました。ご支援下さった全ての方に心より感謝申し上げます。
試験当日も、コロナとの関わりによっては実施できなくなることを懸念しましたが、A入試もB入試も無事に終えることができ「ホッ」と胸をなで下ろしております。来年の4月にはまた、明星の教育をご理解下さり、大きな期待を寄せて下さっているご家庭をお迎えすることができます。新たな出会いを大切にし、共に明星の教育を創造する中で「個性尊重・自主自立・自由平等」という教育理念を、より確かなものに高めて参ります。
今年は、コロナ禍で何かと不自由な状況におかれていますが、それでも学校は豊かな空間として機能しています。通常であればここに、これまで当たり前に実施されてきた「授業参観」や「運動会」、「各種発表会」や「バザー」、P.T.A.主催の各種イベントなどが加わります。学校は今よりも遙かに豊かな空間なのです。
当たり前を失う中では、改めて当たり前の大切さを痛感します。明星の宝は明星の教育に関わって下さる全ての方々であり、歴史的に生み出され、継承・発展及び創造を遂げてきた文化です。コロナ禍の先には素晴らしい出会いと素晴らしい時・空間が待っています。第三波の兆しが全国規模で見え始めていますが、再度感染予防と感染拡大防止に務め、皆の力で1日も早くコロナを終息させましょう。