明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

紫陽花

校長だより
1.紫陽花

 6月に入りいよいよ暑さが増してきました。コロナの感染予防も大切ですが、熱中症にも十分注意しなければなりません。
 学校は子ども達の人間的成長・発達を保障する場です。そのベースには命を守り・育てることが位置づきます。夏本番を迎えるにあたっては、子ども達の様子を注意深く読み取ると共に、子ども達との対話を大切にし、コロナ禍の教育実践を展開して参ります。子ども達の様子を把握する上では、各ご家庭ともより綿密に連絡をとる必要がありますので、ご理解・ご協力の程宜しくお願い致します。
 悩みがつきない中、風物詩である紫陽花が目を楽しませてくれています。小さな喜びは至る所にあります。大切なのはそれを見逃さないことです。苦しい時ほどそれを心がけていくことが必要です。
 学校は幸せの宝庫です。子ども達と会えるからです。原石である子ども達は磨けば磨くほど光り輝きます。日々豊かに育っていく姿は実に圧巻です。成長には大きな成長も小さな成長もあります。中には目に見えない成長もあります。大切なのはそれらを見落とさないことです。一点に留まっていると、折角の喜びを見逃してしまいます。また、感性も鈍くなってしまいます。だから私は校長室を飛び出し、校内をうろうろするようにしています。うろうろしていると、様々な場面で子ども・子ども達の素晴らしさに出会うことができます。時には喧嘩をしている場面に出会うこともありますが、喧嘩を乗り越え、今まで以上に仲良くなっていく姿は実に圧巻です。
 ビオトープの池ではメダカが群れなして泳いでいます。よく見ると生まれたばかりのメダカもいます。小さな池の中でさえ生命誕生の素晴らしさ・生命が育まれることの大切さを学ぶことができます。池には沢山のヤゴも潜んでいます。6月に入ってからは羽化もみられるようになりました。時にはトンボとアゲハのコラボもみられます。藻海老の活動も活発で、池を覗くと沢山の藻海老が泳ぎ回っています。池の生き物が活発化するのに伴い、池の周りには子どもの花が咲きました。「〇〇捕まえたー」と一喜一憂する姿に思わず笑みがこぼれます。捕まえることに夢中になりすぎるとついつい捕り方が乱雑になります。そんな時には、池の生き物がいるからこそ自分たちが楽しめる事、命を守り育てることの大切さは全ての生き物に共通していること、ビオトープの池では私たちがそれを守り・育てていることを確認する中で、自分達の在り様について見直してもらっています。
 学校では良いことばかりではなく、色々な課題も生じます。しかしそれらは子ども達が人間的成長・発達をする上で欠かせない課題ですから、皆で知恵を出し合い、皆で力を合わせる中で解決していく事が必要です。苦労を伴うこともありますが、その過程は正に生きるが楽しい過程であり、その過程が豊かになればなるほど適切に課題が解決され、その後にも繋がるものとなります。 
 昨年の今頃は、やっと学校を再開することができ、子ども達との再会を果たすことができました。そしてその中では改めて「子ども達に会えるだけで幸せ」なことを深く認識しました。子ども達のいない学校は静寂そのものです。その日々は辛く苦しいものであり、無感動の中、どんどん枯れ果てていく自分を感じました。
 学校で生起する全てのものには意味があります。その一つひとつを宝とし、人間力を開花させながら、その宝を輝かせていくことが必要です。臨時休校という未曾有の事態を経て、学校の価値を再認識できたことに改めて感謝したいと思います。

2.響き合い

 昨年度まで中止していた木登りを再開しました。全ての木に登れるようにしたわけではなく、グラウンドの一角(学園資料室・売店の前)にあるモッコクの木に落下時の安全対策を施した上で、その木のみ木登り可としました。
 木登りに興味を持ち、木登りを楽しめるのは、木登りができる子ども達です。しかし、モッコクの木は、足を掛ける枝までが高すぎ、木登りが得意な子どもでも苦労していたので、一番低い枝までの足場としてタイヤを設置し、アシストすることにしました。
 木登りを再開して暫くすると、一人の女の子から次のような手紙を貰いました。
「剛ちゃんが、木登り用のタイヤをすぐ付けてくれたおかげで木登りが楽しくてしかたありません!!もっと上まで登れるようになりたいです。ありがとうございます」
 予想外の出来事だったので、深く感動し、「このお手紙は家宝にするね!!」とその子に伝えました。木登りを再開したこと。木登りがしやすいようにアシストしたことは「幸せの種を蒔いたこと」になりますが、その種が実るか実らないかは子ども達次第ですから、子どもの反応を待たなければなりません。今回のように手紙を貰えたことからは、しっかり種が実ったことがわかり、響育・共育が成立したことを嬉しく感じています。
 新しい世界と出会い、新しい世界にチャレンジし、その中で自分の可能性を開花させて行くときの子どもの表情は本当に輝いています。たかが木登りですがされど木登りです。
 再開までに随分時間がかかってしまいましたが、木登りを再開して本当に良かったと感じています。ご意見を頂いた全ての方に心より感謝申し上げます。