明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

創立記念日に寄せて

校長だより
1.5月15日は明星学園の誕生日
 新年度が始まり約1ヶ月が経ちました。4月に入学した1年生も、だいぶ学校に慣れたようです。慣れたと同時に明星生の証「池ぽちゃ」も増えてきたように感じます。高学年は4月の行事の中心的存在となり、始業式、入学式、クラブ紹介、新入生歓迎会と立て続けに行われた行事のリーダーシップをとってくれました。われわれはいつも感じているのですが、こういった行事の運営を通しても、子どもたちは成長していきます。明星学園は教科教育を大切にしてきた学校ですが、もちろんそれだけでは十分とは言えず、教科外教育も教育の一つの柱としています。子どもたちにはいろいろな経験をしてもらい、バランス良く育ってほしいですね。
 みなさんもご存知のように、明星学園は1924年にこの井の頭の地に誕生しました。98年前のこの井の頭キャンパス周辺は、麦畑だったそうです。まだ民家も少なく、井の頭線も存在していない時代です。吉祥寺にはその頃の国鉄が通っていたので、明星学園に通う児童は、吉祥寺駅で降りうっそうとした井の頭公園の森の中を抜けて学校へ通っていました。杉並木の中を歩いている児童の白黒写真を観た方は多いのではないでしょうか。当然、雨や雪が降れば通学路はぐちゃぐちゃにぬかるみます。当時も「池ぽちゃ」ならぬいろいろなドラマがあったでしょうね。
 創立同人の4人はこの地を学園の建設地と決めましたが、校舎を建てるには麦畑をつぶさなければなりません。今のように飽食の時代ではない中、農家の方が大切に育てた麦の代わりに校舎を建てるのですから、相当な覚悟が必要だったはずです。創立者の一人、赤井先生はその時のことについて次のように語っています。「私はこれを見つつ、これは何か大きな罰がこなければすまないと感じた。そしてこれには大きな収穫をして償いをしなければならぬと思った。人々の食う糧は作れぬが糧よりももっと、大切なものを作り出さねばならぬ。」その覚悟のもと、いよいよ明星学園が開校です。1924年5月15日に入学した児童は1年生2年生3年生を合わせて21人。この21人と教職員4人でスタートし、今年で98年目に入ります。
 今の子どもたちも「いちばんぼ〜し〜、み〜つけた!」って言うのでしょうか。夕暮れ時に一際目立つ、この星こそが金星「宵の明星」です。私はこの「明星」という響きがとても好きです。でも「一番になれ」「一際目立て」と言っているわけではありません。自分が輝ける場所を見つけ、光り続けることが大切だと思います。

2.自由とは
 さて明星学園の教育理念は98年前の創立当時から変わっていません。「個性尊重」「自主自立」「自由平等」がその教育理念です。「個性尊重」は今でこそいろいろな学校で大事にされていますが、100年ほど前にこのことを理念とするのは大変なことでした。当時の尋常小学校はひとクラスに70名から80名の児童がいましたから、その中で個性を尊重するのは相当に難しいことでした。そんな中、明星学園や成城小学校はひとクラス30人程度の人数に抑え、教師の目ができる限り行き届くようにしたのです。この人数、少なければ少ないほどいいかと言えばそうではありません。いろいろな人間や考え方と出会うには、ある一定の人数が必要です。クラスの人数に関しては、今後も検討していく必要があるでしょうね。
 「自主自立」と「自由平等」は密接に関わる部分があるのですが、その中でも「自由」とは何かという問題も、創立以来重要視されてきました。「自由」が「なんでも好き勝手にできる」ことでないことは当然です。大事なのは自分が自分らしく生きるために、自由な発想をしたり、枠にとらわれたりしないことだと思います。しかしこれは自分自身の「自由」であり、その存在と同時に他者の「自由」もあります。この他者の「自由」を守ることが、なかなか難しいのです。自分が自由に生きることが、他人の迷惑になっていないか、友だちを嫌な気持ちにさせてはいないか、そこに気が付かない限り明星学園の「自由」を理解したことにはなりません。これからも自分の「自由」と共に、他者の「自由」も大事にする明星っ子であってほしいと願います。

3.季節の移り変わり
 本格的な春を迎え、学校の生き物の世界もたいへん賑やかになってきました。特に今年は昨年確認できなかったオタマジャクシがビオトープに戻ってきました。3月中からちょこちょことビオトープを見に行って卵を探していたのですが、確認することができていませんでした。「今年もダメかな…」と思っていた矢先だったので、とても嬉しいですね。あれだけ目立つ卵を見かけなかったことは不思議としか言いようがありませんが…。
 前庭では春型のアゲハチョウが飛び回っていますし、これからモンシロチョウなども出てくるでしょうね。花もたくさん咲いていて、中学校校舎の前にあるホウノキも大きな花を咲かせました。この季節の移り変わりをいろいろな部分で感じることが大切だと思っています。そしてよく観察していると自分のイメージが若干ずれていることにも気づきます。ツバメは5月中旬ぐらいから飛び回り始めると思っていたのですが、連休の前半、4月の末にすでに井の頭公園の池の上を飛んでいました。思っていたより早くから現れるのですね。自然の変化に敏感な自分でありたいと思いました。

4.ほんのちょっとの紹介
 担任時代から常に思ってきたことですが、子どもたちにはどんどん絵本や本の世界を広げていってほしいと思っています。世の中にはこれだけたくさんの素晴らしい絵本や本があるのですから、まずは手に取って、ページをめくってほしいのです。  
 そこでこの学校だよりで少しずつ本の紹介をしていくことにしました。(ほんのちょっとですが…)
 その最初はリンドグレーンにしました。『長くつ下のピッピ』や『名探偵カッレくん』など名作がたくさんある中で私のイチオシは『さすらいの孤児ラスムス』です。孤児院を抜け出したラスムスがいろいろな経験をするのですが、そこにはハラハラドキドキも。でも読んだ後はあったかくてとても幸せな気持ちになれます。4年生ぐらいに自分で読んでもらいたいですね。(アストリッド・リンドグレーン作・尾崎 義訳・岩波書店)