明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

1学期もあと1ヶ月

校長だより
1.宿泊行事の再開
 つい先日、新しい年度が始まったと思ったら、あと1ヶ月もしたら夏休みになるんですね。はやいものです。今年度は学校の生活をできる限りコロナ禍前の状態に戻そうと、教職員もいろいろと考え、最善策は何かということを検討し続けています。連休明けからは特に夏の宿泊行事である千倉をどうするかが職員会議の議題の中心になりました。結果的には事前にPCR検査をしていただくことや、宿での密をさけることで再開ということになり、少しだけ前進した気持ちでいます。しかしクラス単位で出発するということで、完全に本来の夏季行事に戻ったわけではありません。withコロナの世の中が、この先どのように変化していくのかしっかりと見極めていきましょう。
 そんな中、千倉よりも先に5年生の大島見学旅行が5/25〜5/27まで行われました。例年行なっているこの行事、学校にとっては伝統のある行事の一つですし、教科(社会や美術)にとっても学習面で大切な行事です。様子などは学園のホームページにも載っていますので、そちらの方が映像もあってわかりやすいかもしれませんね。
 この大島見学旅行、基本的には社会で学習したプレートの動きや火山の活動など、「生きている地球」を肌で感じ取ってもらうことが目的です。しかしそれ以外にも学ぶべきことはたくさんあります。同じ東京都とは言いながら、学校のある三鷹とは文化や環境が全く違うこともそうですね。多くの自然に囲まれた大島であるからこそ、その厳しさは三鷹の比ではありません。何年か前に大島は大変な土砂災害に見舞われ、多くの方が亡くなりました。また今回もそうだったのですが、海が荒れれば船が接岸できません。そうなると行くことも帰ることもできなくなってしまいます。物資の輸送だってできなくなるのです。のんびりした温暖な島のように見えて、火山の噴火や土砂災害、海のことなど厳しい一面を持つこの島全体を学んできてほしいのです。
 とは言え、やはり大島はとてもいい場所です。海と山のどちらも楽しむことができますし、食べるものも美味しいです。また御神火太鼓などの島の文化にふれることもできます。今回は最終日だけは天気が悪かったようですが、それ以外は存分に楽しむことのできた見学旅行となりました。
 さて4〜6年生は夏休みに入るとすぐに、千倉での夏季行事が始まります。今年度は1泊2日になってしまいましたが、ぜひ密度の濃い2日にしてもらいたいと思っています。

2.季節の移り変わり
 6月の花といえば、まずはアジサイを思い浮かべるでしょうか。梅雨時のお天気の悪い日でも、アジサイが咲いていると、どこか気持ちが安らぎます。この時期、美術の授業では「みて描く」課題としてアジサイをモチーフにしています。教室の後ろにたくさんのアジサイが咲くことでしょう。
 このアジサイのように存在感のある植物は、そばを通りかかる人にすぐに気がついてもらえます。しかし世の中にはなかなか気がついてもらうことのできない、気に留めてもらうことのできない生き物もたくさんいます。たとえばハルジオンやヒメジョオンといったキク科の植物などもそうでしょう。どこにでも生えているような植物なので、あまり意識されないのかもしれません。この二つ、花がとても似ていますし、開花する時期がつながっていることもあって、同じ植物と思われている方がいると思います。さらには名前も混ざって「ヒメジオン」とまちがった名前で覚えている方も。区別の方法はいくつかあるのですが、今回は名前の由来に注目します。「ハルジオン」は漢字で書くと「春紫苑」です。「紫苑」というのは秋に咲く花で、その紫苑に似ていて春に咲くので「春紫苑」となりました。一方「ヒメジョオン」は漢字で書くと「姫女苑」。中国産の野草「女苑」の小さい(姫)ものという意味です。「シ」なのか「ジョ」なのかは漢字を見た方がピンときますね。こんなことを思い浮かべながら、道端の花々を眺めていただくのも楽しいかもしれません。(少なくとも私はそんな時間が好きです。)
 さて、この「ハルジオン」の名前をつけたのは有名な植物学者、牧野富太郎博士だそうです。この牧野博士、来春から放送予定のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルになっているそうで、練馬の方に記念庭園もあります。そしてその牧野博士の曾孫さんもまた、明星生だそうです。いろいろなところでつながる「明星っ子」たちの存在を聞くと、楽しくてたまりません。

5.ほんのちょっとの紹介
 今回は小さい時に繰り返し読んだ大好きな絵本をほんのちょっと。
絵本の中にはたくさんの色を使ってその世界を表現しているものもあれば、この『100まんびきのねこ』のように表紙以外は白と黒の世界というものもあります。しかしその絵はとても細かく、お話の世界ととてもマッチしています。
 前回紹介したリンドグレーンの作品もそうですが、これら海外の作品の良さは、訳者によっても変わるものだと思います。今回の訳は石井桃子さんによるものです。石井さんの訳による名作は世の中にたくさん出ているので、例を挙げるまでもないと思います。
 この石井さんの訳の魅力、私は文章のリズム感にあると思っています。この作品では「そこにも ねこ、あそこにも ねこ、どこにも、かしこにも、ねこと こねこ、ひゃっぴきの ねこ、せんびきの ねこ、ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきの ねこ。」というフレーズが何回か繰り返されますが、このフレーズのリズムがとっても心地よいのです。こういったところに訳者の力が発揮されるのでしょうね。
 子ども心には、この一兆匹の猫がお互い「たべっこ」していなくなってしまったことにショックを受け、「猫ってこわい」って思っていました。大人になって改めて読み返してみると、その気持ちは消えていましたが…。
(ワンダ・ガアグ作・いしいももこ訳・福音館書店)