創立記念日に寄せて
校長だより
1.5月15日は明星学園の誕生日
新年度が始まり約1ヶ月が経ちました。4月に入学した1年生は、連休前に少し疲れが見えていた様ですが、この連休でエネルギーチャージができ、また元気な姿を見せてくれました。1年生に限らず、それぞれ連休中のお話がたっぷりとあることでしょうね。日記や「みいつけた」など、発表する場はたくさんあるので、ぜひクラスなどで伝え広げていってほしいですね。
そして今年で明星学園は創立99年目。来年で創立100年です。そこで今年から来年にかけ、いろいろな場面で100周年を意識した行事やイベントが行われます。また卒業生にも現在の明星学園の行事やイベントを見に来ていただけるよう、アナウンスしていく予定です。児童生徒・保護者・卒業生・後援者・教職員が協力して、これからの2年間を素敵な時間にしていきたいと思います。
さて、昨年も「創立記念日に寄せて」の中で創立時の学校の様子を書きました。当時の学校周辺の様子や建設地を井の頭に決めた時の決意など、忘れてはならないものだと思います。
今回はその100年前から引き継がれている遠足や見学旅行についてお話ししたいと思います。
明星学園では創立以来、見学・旅行・登山・宿泊行事を教室での学習を補完・充実させるために欠くことのできないものとして位置付けてきました。見学学習では、ものつくりの現場(生産)、できたものがどのように人々に届くのか(流通)、どのように売られ、買われ、利用されるのか(消費)、などの経済活動を学ぶことはもちろん、歴史・文化的な背景や、地理的な特徴を考察することにも重点がおかれました。生産・流通・消費の流れを理解する必要については吉野源三郎の書いた『君たちはどう生きるか』にも通じるところがあります。
また校外へ出かけることによって社会道徳を学ぶ機会も得ます。したがって見学学習は総合的に学び、かつ体を鍛えることもできる行事なのです。特にこの体を鍛えるという部分に関しては、保護者からお預かりしている子どもたちを「都会のもやしっ子」にしてはいけないという意識がかなりあったようです。
では具体的に創立初期の行事はどのようになっていたのか、少し紹介してみましょう。ここで紹介するのは1935年の各学年の行事内容の一部です。
まず1年生。4月には井の頭動物園に行っています。少し前までは新入生歓迎会の後、1年生と6年生で井の頭動物園に行っていましたので、これはかなり長い間続いてきたことなのでしょうね。二学期にはアイスクリーム工場や製菓工場(森永・明治!)、上野動物園にも行っています。その他2年生は高尾山、3年生は大山、4年生は筑波山に行き登山をしています。ではその頃の夏季行事はどうなっていたでしょうか。1935年にはまだ千倉には行っておらず、3年生が学校で、4年生と5年生が神奈川県の城ヶ島と三戸浜、6年生が沓掛(軽井沢)に行って夏季行事を行っていました。そしてこの1935年からなんと5年生が大島へと行っています。今でも5年生が5月におこなっている大島見学旅行は、噴火のため実施できなかった期間はあるものの、90年近く前からおこなわれていた行事なんですね。それだけ学ぶべきものがたくさんあるのだと思います。今年もあと10日ちょっとで5年生が大島に向けて出発です。学ぶべきことをしっかりと学んできてほしいと思います。そして美しく壮大で、時には荒れ狂う大自然をしっかりと肌で感じてほしいと思います。食事も美味しいですし、景色の良い露天風呂などもありますので、5年生のみなさんは見学旅行を楽しみにしていてくださいね。そして東京都である大島を満喫してきてください。
2.季節の移り変わり
今年は桜の開花が早く、季節が1週間ほど早く進んでいるようです。このまま行くと夏の暑さが心配になります…。
本格的な春を迎え、学校の生き物たちの世界をのぞくと、少し異変があります。まず残念なことに今年は池にオタマジャクシが現れませんでした。オタマジャクシからカエルになる過程を見せたかったのですが、こればかりは仕方がないですね。さらに注意をして見てみると、昨年の春よりメダカの数が減っている気もします。光の加減などで見えにくかったり、落ち葉の影に隠れたりしているのかもしれませんので、もう少し様子を見守っていきたいと思っています。
前庭では春型のアゲハチョウが飛び回っていますし、連休初日には池の周りをアオスジアゲハが飛んでいました。前庭に植わっているクスノキにいた幼虫が成長したのでしょうか。学校の植栽には元校長の和田先生がチョウやトンボが集まるようにと考えて、23年前に新しく植えたものもあります。それらの木も随分と大きく成長しました。これからも明星を見守り続けてくれる木であってほしいですね。
3.ほんのちょっとの紹介
自分の中にそれほど紹介する本のストックがなく、毎回苦労はしているものの、「その本読みました!」とお声かけいただくと、そんな苦労も吹き飛びます。
今回は新しい1年生にも読んでもらいたく、絵本を紹介していこうと思います。作者は全てワンダ・ガアグです。以前『100まんびきのねこ』を紹介しましたが、その本の作者です。とにかくイラストがとても素敵で、お話としてもとても面白い作品が多いのですが、残念ながらその多くは現在のところ出版社で品切れ中。重版が決まっていません。明星の図書室や、公共図書館で借りるしかない本が多いのです。
そんなガアグはそれ以後の絵本作家に技法や印刷などの点で大きな影響を与えたそうです。その後の作家さんたちが印刷の時に使うインクを「ガアグの黒」と指定するほど、黒一色のイラストには味わいがあります。
『へんなどうつぶ』(「動物」ではないですよ。) (ワンダ・ガーグ文・絵・渡辺茂男訳・岩波書店または瑞雲舎)もその一つです。
またこのガアグの家族はヨーロッパからの移民で、ガアグ自身は祖父母などからドイツ語で昔話を聞いていたようです。そこで昔話を再話として出版している作品もあります。それが『すんだことはすんだこと』(ワンダ・ガアグ再話・絵・佐々木マキ訳・福音館)と『しらゆきひめと七人の小人たち』(ワンダ・ガアグ再話・絵・内田莉莎子訳・福音館)です。特に『しらゆきひめと七人の小人たち』はディズニーのそれとは違い、高学年の人や大人が読んでも面白いと思います。
これらガアグの本がお近くの図書館にあると良いのですが…。
新年度が始まり約1ヶ月が経ちました。4月に入学した1年生は、連休前に少し疲れが見えていた様ですが、この連休でエネルギーチャージができ、また元気な姿を見せてくれました。1年生に限らず、それぞれ連休中のお話がたっぷりとあることでしょうね。日記や「みいつけた」など、発表する場はたくさんあるので、ぜひクラスなどで伝え広げていってほしいですね。
そして今年で明星学園は創立99年目。来年で創立100年です。そこで今年から来年にかけ、いろいろな場面で100周年を意識した行事やイベントが行われます。また卒業生にも現在の明星学園の行事やイベントを見に来ていただけるよう、アナウンスしていく予定です。児童生徒・保護者・卒業生・後援者・教職員が協力して、これからの2年間を素敵な時間にしていきたいと思います。
さて、昨年も「創立記念日に寄せて」の中で創立時の学校の様子を書きました。当時の学校周辺の様子や建設地を井の頭に決めた時の決意など、忘れてはならないものだと思います。
今回はその100年前から引き継がれている遠足や見学旅行についてお話ししたいと思います。
明星学園では創立以来、見学・旅行・登山・宿泊行事を教室での学習を補完・充実させるために欠くことのできないものとして位置付けてきました。見学学習では、ものつくりの現場(生産)、できたものがどのように人々に届くのか(流通)、どのように売られ、買われ、利用されるのか(消費)、などの経済活動を学ぶことはもちろん、歴史・文化的な背景や、地理的な特徴を考察することにも重点がおかれました。生産・流通・消費の流れを理解する必要については吉野源三郎の書いた『君たちはどう生きるか』にも通じるところがあります。
また校外へ出かけることによって社会道徳を学ぶ機会も得ます。したがって見学学習は総合的に学び、かつ体を鍛えることもできる行事なのです。特にこの体を鍛えるという部分に関しては、保護者からお預かりしている子どもたちを「都会のもやしっ子」にしてはいけないという意識がかなりあったようです。
では具体的に創立初期の行事はどのようになっていたのか、少し紹介してみましょう。ここで紹介するのは1935年の各学年の行事内容の一部です。
まず1年生。4月には井の頭動物園に行っています。少し前までは新入生歓迎会の後、1年生と6年生で井の頭動物園に行っていましたので、これはかなり長い間続いてきたことなのでしょうね。二学期にはアイスクリーム工場や製菓工場(森永・明治!)、上野動物園にも行っています。その他2年生は高尾山、3年生は大山、4年生は筑波山に行き登山をしています。ではその頃の夏季行事はどうなっていたでしょうか。1935年にはまだ千倉には行っておらず、3年生が学校で、4年生と5年生が神奈川県の城ヶ島と三戸浜、6年生が沓掛(軽井沢)に行って夏季行事を行っていました。そしてこの1935年からなんと5年生が大島へと行っています。今でも5年生が5月におこなっている大島見学旅行は、噴火のため実施できなかった期間はあるものの、90年近く前からおこなわれていた行事なんですね。それだけ学ぶべきものがたくさんあるのだと思います。今年もあと10日ちょっとで5年生が大島に向けて出発です。学ぶべきことをしっかりと学んできてほしいと思います。そして美しく壮大で、時には荒れ狂う大自然をしっかりと肌で感じてほしいと思います。食事も美味しいですし、景色の良い露天風呂などもありますので、5年生のみなさんは見学旅行を楽しみにしていてくださいね。そして東京都である大島を満喫してきてください。
2.季節の移り変わり
今年は桜の開花が早く、季節が1週間ほど早く進んでいるようです。このまま行くと夏の暑さが心配になります…。
本格的な春を迎え、学校の生き物たちの世界をのぞくと、少し異変があります。まず残念なことに今年は池にオタマジャクシが現れませんでした。オタマジャクシからカエルになる過程を見せたかったのですが、こればかりは仕方がないですね。さらに注意をして見てみると、昨年の春よりメダカの数が減っている気もします。光の加減などで見えにくかったり、落ち葉の影に隠れたりしているのかもしれませんので、もう少し様子を見守っていきたいと思っています。
前庭では春型のアゲハチョウが飛び回っていますし、連休初日には池の周りをアオスジアゲハが飛んでいました。前庭に植わっているクスノキにいた幼虫が成長したのでしょうか。学校の植栽には元校長の和田先生がチョウやトンボが集まるようにと考えて、23年前に新しく植えたものもあります。それらの木も随分と大きく成長しました。これからも明星を見守り続けてくれる木であってほしいですね。
3.ほんのちょっとの紹介
自分の中にそれほど紹介する本のストックがなく、毎回苦労はしているものの、「その本読みました!」とお声かけいただくと、そんな苦労も吹き飛びます。
今回は新しい1年生にも読んでもらいたく、絵本を紹介していこうと思います。作者は全てワンダ・ガアグです。以前『100まんびきのねこ』を紹介しましたが、その本の作者です。とにかくイラストがとても素敵で、お話としてもとても面白い作品が多いのですが、残念ながらその多くは現在のところ出版社で品切れ中。重版が決まっていません。明星の図書室や、公共図書館で借りるしかない本が多いのです。
そんなガアグはそれ以後の絵本作家に技法や印刷などの点で大きな影響を与えたそうです。その後の作家さんたちが印刷の時に使うインクを「ガアグの黒」と指定するほど、黒一色のイラストには味わいがあります。
『へんなどうつぶ』(「動物」ではないですよ。) (ワンダ・ガーグ文・絵・渡辺茂男訳・岩波書店または瑞雲舎)もその一つです。
またこのガアグの家族はヨーロッパからの移民で、ガアグ自身は祖父母などからドイツ語で昔話を聞いていたようです。そこで昔話を再話として出版している作品もあります。それが『すんだことはすんだこと』(ワンダ・ガアグ再話・絵・佐々木マキ訳・福音館)と『しらゆきひめと七人の小人たち』(ワンダ・ガアグ再話・絵・内田莉莎子訳・福音館)です。特に『しらゆきひめと七人の小人たち』はディズニーのそれとは違い、高学年の人や大人が読んでも面白いと思います。
これらガアグの本がお近くの図書館にあると良いのですが…。