明星学園

トピックス(中学校)

お知らせ

タンザニア在住マサイ族のレボイ君

中学校ニュース
6月27日(水)の5時間目に、8年生を対象にタンザニア在住マサイ族のレボイ君と国際協力団体の「フリー・ザ・チルドレン」のスタッフのみなさんが明星学園にきてくださいました。

 レボイくんは、「世界一大きい授業」(教育の機会を与えられなかった人の厳しい現実などを知り、教育の大切さを地球規模で考えようというイベント)というキャンペーンの一環で、ゲストスピーカーとして来日しました。レボイくんは、タンザニア北部にある水道も電気も通っていない小さな村の出身だそうですが、たまたま出会ったスペイン人の学生から教育支援を受けて、初等教育を受け、現在は高校で学ぶことができているのだそうです。

 せっかくの機会なので、有志の8年生を募り、レボイくんとランチ。それぞれドキドキしながら英語で自己紹介をして、お昼ごはんを楽しみました。さらに、事前にバスケが好きというレボイ君のプロフィールを見て、バスケ好き8年生がレボイ君を誘って、昼休みはバスケで気持ちのいい汗を流しました。真剣に楽しみすぎて、みんな汗びっしょり!

当初はレボイ君のスピーチから始める予定でしたが、少し休憩が必要な様子。予定を変更して最初にフリー・ザ・チルドレンのスタッフの伊藤さんから世界の現状とどうして教育が大切なのかをクイズなどを通して教えていただきました。「文字が読めないということはどういうことだろう」と投げかけられて見せられた1枚。
「この3つの中で水と書かれているものはどれですか?」それはヒンディー語で書かれていたもので、もちろん誰も読めません。みんな直感で手を挙げてみたのですが、そこに書かれていたのは「水」「毒!」「牛乳」。「毒!」と書かれていたものに手を挙げた子どもたちからは正解がわかると、「え~!」と驚きの声。
私たちはびっくりして終わりますが、実際にインドでは、文字が読めない若いお母さんが、自分の赤ちゃんに水を買うつもが間違って農薬を買って子どもに飲ませてしまい、亡くしてしまうということがあったそうです。そのことを聞き、さらに驚きました。このような負のサイクルを終わらせるために大事なのが教育なのだということを様々な事例を通して教えてもらいました。
 後半は、レボイ君のスピーチ。レボイくんが最初に見せてくれたのは、大きな木の写真と地面の写真。「これは何だと思いますか?」と聞かれて、最初は何を聞かれているのかピンとこなかった私たち。
話を聞いていくと、写真の大きな木のまわりがなんとレボイくんが最初に通った学校だったのです。しかも地面はノートの代わり。地面に指で文字を書いて練習していたそうです。これには本当にびっくり!それから現在通っている全寮制の高校のこと、レボイくんが好きな教科や苦手な教科、将来の夢などを話してくれました。
そして、マサイ族の生活や習慣のことも。マサイ族の男性は赤い服を身に着けることが多いそうです。赤は襲ってくる動物を驚かすことができる色だと信じられているのだそうです。実際にマサイ族の服を試着させてくれるという場面も。なんと3枚の布を合わせて着るのだそうです。
レボイくんの話を聞いた8年生からは質問が続々。「マサイ族の服を着ていて暑くないんですか?」「視力はどのくらいですか?」「50メートル走のタイムはどのくらいですか?」「日本に来ていちばん驚いたことは?」「村の人たちの平均身長は?」「日本に勧めたいことはありますか?」などなど、たくさんの質問が寄せらせました。

最後には、伊藤さんからこういう世界の現状を知っても、子どもには何もできないと思っているかもしれないけれど、自分が好きなことを通してできることがたくさんあると、ご自身が取り組んできたことを話していただきました。
演劇が好きだった伊藤さんは、世界の子どもたちの現状を劇にして上映会を開いたそうです。また、ほかにもサッカーが好きな福井さんは、チャリティーサッカー大会を主催して、インドに学校をひとつ建てたそうです。8年生には、そんな風に自分の好きなことを生かして、楽しみながらできることがたくさんあるとわかったことがとても新鮮だったようです。何よりも英語でスピーチをしてくれてレボイ君の通訳をしてくれていた藤井さんが、15歳であるということも8年生にとっては大きな刺激になったようです。

とても短い時間でしたが、伊藤さんが、学校に通えない子どもたちや過酷な労働を強いられている子どもたちのことをかわいそうだなと思ってほしいわけではない。そんな生活の中でも自分を認めたいと思っていること、みんな私たちと同じ人間であるということを知ってほしいと話してくださったこともとても心に残りました。どうもありがとうございました。

≪8年生の感想より≫
★「マサイ族」と聞くと、すごく遠い感じがするけど、実はそんなことなくて、「ダンスを踊ってみて」と言われても、恥ずかしがってて、そこは私たちと変わらないと思った。
★レボイくんの住んでいる村には電気も水道も通っていないと聞いて、どうやって生活しているのだろうと疑問に思ったけど、彼らにとってはそれふだんがふつうなんだな~と思った。私は普段、水も電気もあたりまえのように使っていたけど、レボイくんの話をきいて、もっと大切にしようと思った。UGALIという食べ物やロショロとかすごいおいしそうだなって思った!!
★字を習わなかったことで、「水」を買いたくても毒を買ってしまったり、命の問題になってしまうのに、わからないから命を落としたり。学校に行ける現状があるからイメージもできないけど、勉強できるってすごいなって思った。
★児童労働の問題って、どこか「自分では解決できない…」「ちがう世界の問題と思っていたけど、私と同年代、もしくはもっと小さい子どもたちが活動していることを知って、ぐっと身近に感じました。私にはまだ難しいけれど、募金などに協力して、何かできたらいいと思いました。
★12歳の男の子の話をきいておどろいた。児童労働について語り、その現状を知ってもらおうとして世界の人に伝えた結果、殺されてしまったのはかわいそう。それを知ったもう1人の12歳の男の子の行動もすごいと思った。自分だったら“かわいそう”で済ませてしまいそう。男の子の行動は正しくて、すごいことだということがわかった。

(8年社会担当 小畑)