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9年生3人が他校の中高生とともに英語セミナーに参加!

中学校ニュース
10月16日、大手町の読売新聞本社ビルにて開催された英語の講演会に9年生の中川向日葵さん、ポーター絵子さん、柳萌果さんの3人が参加してきました。「世界の紛争地で活動する赤十字国際委員会とは」というタイトルの講演会でお話したのは赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表のリン・シュレーダーさん。都内の中高生60名ほどが参加する中、明星の9年生3名も話を聞き、英語で質疑応答も行ってきました。

シュレーダーさんはICRCの活動をアルメニア、ウクライナ、セルビア、ルワンダ、シエラレオネなどかつての紛争当事国にて行ってきました。ICRCは戦争や紛争が起こってしまった際に国際人道法が遵守され、とりわけ弱い立場にいる人たちが守られるよう重要な活動を何十年も行っている国際組織です。中でもシュレーダーさんは収容所内での被拘束者の処遇確認などを行っていました。



シュレーダーさんのお話は、彼女がなぜICRCの仕事をするようになったかというところから始まりました。激しい戦争のあったベトナムで生まれ、幸運なことにスイスに家族で渡って質の高い教育を受けることができたこと。父親の仕事で世界各地を回り、色々な言語を身につけたこと。「一番得意なのはフランス語。スイスで育ったからドイツ語も学んだし、スペイン語はコロンビア駐在中に覚えました。母語はベトナム語です、そんなに上手じゃないけどね」と流ちょうな英語で語ってくれました。

いまだ世界からは紛争がなくなっておらず、いつの時代も弱い立場の人たちが最も苦しめられる、とシュレーダーさん。単純に国と国が争っていた昔とは違い、最近は一口に紛争といっても武装グループやゲリラ兵などのさまざまなアクターがいて複雑化しており、また難民や子ども兵などその当事国だけでなく世界中の人たちが取り組まなくてはならない問題も多くなっています。病院や救急車を攻撃のターゲットにしてはならないなど戦争にもルールがあることなどビデオを交えながらのお話の最後は、私たち一人ひとりが世界各地で起きていることに関心を持ち、知り、伝えていくことが大切であるということで締めくくられました。

事前に渡された英語の資料を読み込み、しっかりと予習をしていった9年生たち。難しい用語も多く出てくる講演会でしたが、最後までしっかりと真剣に話を聞いていました。質疑応答の時間、ポーターさんが緊張しながらした質問はこういうものでした。
「戦時における『均衡性(= proportionality)※』についてお話がありましたが、それが守られなかった具体例を教えてください」。
この質問に対し、シュレーダーさんは「まあ、未来の法律家ね」と驚きつつ、守秘義務があるため具体例は出すことはできないが、実際にはそのような例も多くあり、特に近年の紛争は市街地で起きることも多く、また一般市民に戦闘員が紛れていることも多いために区別することが難しいということをお話してくださいました。

最後に記念撮影をして約2時間の講演会はおしまい。紛争の現場で活躍されていた方のお話を英語で聞くというまたとない機会となりました。

※均衡性 (proportionality)とは、国際人道法における原則の一つで、紛争や戦争などあらゆる敵対行為の行われる際、一般市民や民用物に甚大な被害を与えるものを軍事目標にしないこと、また、攻撃を実行する前に一般市民に生じうる影響が予想される軍事的利益と比べて過大なものでないかを見極める義務がある、という考え方です。

(英語科 高山)