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明星生12名が他校生とともに英語セミナーに参加!

中学校ニュース
9年生の青木拓真くん、浅田うみさん、天野彪大くん、磯貝努くん、近藤陽菜さんの5人と10・11年生7人が、10月3日、大手町の読売新聞本社で行われた英語の講演会に参加してきました。このセミナーは、講演はもちろん質疑応答を含め、すべて英語で行われます。昨年度に引き続き、世界規模で問題となっていることに対し第一線で活躍する方のお話を聞くセミナーで、今年度は国連食糧・農業機関(FAO)の駐日連絡事務所長であるM・チャールズ・ボリコ氏のお話を伺いました。都内の12校から100名以上の中高生が参加する中、明星の中高生は最前列と2列目に座り、真剣に話を聞いていました。当日の様子は10月5日付の英字新聞「The Japan News」にも掲載されています。

FAOとは、世界中の人々の食料安全保障が保証されることを目的に、さまざまな活動をしている国際機関です。紛争や災害時、またそうした事象に備えるための活動に加え、貧困地域に入ったプロジェクト活動や政策サポートも行っています。ボリコ氏の出身はコンゴ民主共和国ですが、日本の滞在が長いこともあり、非常に日本語が堪能です。時には日本語のユーモアを交えながらのわかりやすくエネルギッシュなトークで、あっという間の1時間半でした。

「みなさんに質問です。いま世界には、すべての人々が食べるのに十分な食糧があるでしょうか」とボリコ氏。「ある」「ない」どちらにも手が挙がりましたが、答えは「ある」です。現在食糧が不足している人の数は8億2000万にも上り、実に9人に1人の割合です。しかし、世界の食べ物が足りないのではなく、こうした人々に食糧へのアクセスがないことが問題、といいます。飢えている人がいる一方で肥満の人の数は1975年から3倍に増えていること、世界で生産される食糧のなんと3分の1は捨てられていることなどからも、いかに食糧の分配が偏っているかがわかります。この捨てられる食糧を生産するのに使っている土地の広さは、中国よりも広いそうです。また、食べられずに廃棄される3分の1の食糧のうち、たったの25%で8億2000万人を栄養失調から救うことができるという内容は、私たちの日々の暮らしを考え直すきっかけにもなりました。

こうした食品ロスが地球温暖化やエネルギー問題、紛争や労働問題などさまざまな地球規模の課題と深く結びついていることに話は及びましたが、最後は賢い消費者になること、食品の「賞味期限」の意味を正しく知ることなど、私たちにできることはたくさんある、とボリコ氏は締めくくりました。



質疑応答の時間では、多くの手が挙がる中、9年生の天野くんが「ファーストフードの大企業がマーケティングを通して売り上げを伸ばそうとしている中、どのように肥満の問題に立ち向かえるのか」という内容の質問を英語でしました。ボリコ氏の答えは、貧困ゆえにそれしか選択肢のない人を貧困状態から脱却させる必要性、また何をどう食べることが健康につながるかという教育(食育)の重要性を再認識する必要がある、というものでした。

難しい単語もたくさん飛び出し、決して易しい英語とは言えないセミナーでしたが、中高生たちは自分たちの暮らしとも結びつく話の内容にしっかりと耳を傾け、考えていました。言語の枠を越え、こうした機会を糧にさらに考えを深めていくことでしょう。

(英語科 高山)