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【美術】中3卒業制作『都市の暮らし』

中学校ニュース
明星学園中学校の卒業式では、会場に全卒業生の木工・工芸・美術の卒業制作を展示します。
生徒たちは3年間の美術の授業で、技法だけでなく、対象を見つめる視点、テーマに沿った演出を加える表現力を身につけてきました。そして少しずつ自分の思い描く世界を「自由」に描けるようになってきました。その集大成として、卒業制作では「都市の現実」「人の暮らし」をテーマに、約半年間かけて『都市の暮らし』を描きました。


2020年は新型コロナウィルスの影響で私たちの暮らしは大きく変化しました。誰もが今までの暮らしやこれからの生活について考えさせられた年でした。例年は、G Wにまちに出て私たちの暮らしや都市の様子を観察し、写真を撮って資料を集めることからテーマ探しをスタートしていましたが、今年度は新型コロナウィルス感染拡大防止のため外出自粛が求められました。そこで、休校中の4、5月にはその時の自分の気持ちや人々の行動について考えたことを書き留めてもらいました。また、自分が好きなもの、カッコいいな、綺麗だなと思うものをスクラップブックに貼り貯めてもらいました。一人ひとりの生徒の興味関心を知り、生徒たちの関心事であるゲームやアニメ、SNS、アイドル、ファッションなど都市の暮らしに関わるものを共有することができ、テーマ探しのヒントとなりました。
6月に学校が再開し、1学期の末からいよいよ卒業制作に取り掛かりました。導入として絵画の歴史やカメラの誕生が絵画に与えた影響の話をし、“リアル”とは何か(写実表現だけが“リアル”なのか?)、今の時代に絵を描く意味とは何かを問題提起しました。また、いい卒業制作とはどんなものなのかについても考えを出し合いました。生徒たちからは、「作者の伝えたいものがあり、それが伝わる(そのために技術が必要)」「内容がいい・着眼点がいい」「綺麗・美しいだけがいい絵じゃない」「その時に考えていたことが伝わる」「自分の中から描きたいものを見つけて表現できた絵」などの考えをもらいました。自分らしい視点で自分の暮らしを切り取り、自分が心から描きたいものを見つけて欲しい、リアルに感じていることを描き切って欲しい、そのような思いで指導にあたりました。
今年度の卒業制作は、コロナ禍の外出制限や事前課題の影響で写真資料をもとにした写実的な表現は減りましたが、その分“心の内面”の現実、真実を描いた作品が増え、新しい「都市の暮らし」の表現になったと感じました。きちんと自分の目で見て、自分の心で感じたことを自分の手で表現して卒業していくことができました。一緒に制作ができてとても楽しかったです。卒業おめでとう!

美術科 吉野


「コロナと政府」
今、パンデミックを起こしているコロナ。でも死者数はインフルより少ない。他にアメリカ大統領選挙など報道できるものがあるのに、なぜしないのか。そして大衆心理操作ツールと呼ばれるものとは。

「"幸せ”の裏側」
私が普段日常の中で感じ取っている幸せの裏側には、残酷な現状があります。私はその1つとして児童労働を取り上げました。過酷な状況の中、幼い頃からカカオを取る為に働かされている彼らは、1度もチョコレートを口にしたことがありません。


「集団」
この絵は、人の黒い部分を描きました。人を引きずり落とそうとする手、人を気にする目、1人では何もできなく集団で強がっている人々…人目を気にしたり、誰かと行動する必要はないと私は思います。


「帰る」
振り返って欲しかった背中を諦める決意。別れ道で家に帰る決意。何かが終わることや決意することのさみしさを、いつかの夏の終わりの放課後の記憶に重ねて表現した。


「朝の高架下」
私が描いたのは、私の通学路の中でベスト10に入るほどには好きな場所だ。汚れていて、少しくさい。けれども天気の良い朝には壁や道路が光を吸ってとてもいきいきとしてきれいに見えることがあるのだ。


「If」
日頃、若者の殆どが何故か口にしてしまう、傷つける言葉が「もしも」本当に起きてしまったら、どうなってしまうのか。街中やネット上で見られる罵声の「もしも(if)」をこの絵に表した。


「♡都合よく見たもん勝ち♡」
私は秋葉原という街が好きで、知らないアニメのポスターも灰色のビルも全部大好きで、秋葉原というだけで何でもキラキラしてて可愛く感じるので、それを私の考える「可愛い」に当てはめて描きました。


「個性」
服は個性だと思う。明星の生徒はパーカー、シャツやつなぎなど、様々なファッションを楽しんでいる。私の個性の1つは、春夏はセーラー服、秋冬はブレザーと決めていた3年間着続けた制服だった。