国際交流クルーズ 航海レポート5
中学校ニュース
【7日目】8月23日(金)
今日は、天気も良く、穏やかな海上でした。
毎日、船内新聞(その日、どこでどんなイベントが開催されるのかなどのお知らせがA3両面1枚にまとめられたもの。)がそれぞれのキャビンに配布されています。そこに書かれているその日の日の出と日の入りの時間を見て早起きして日の出を楽しんだり、日の入りの時間に間に合うように夕方のH R後急いでデッキに向かったり、ある企画のタイトルが日によって「ウケる」と「うける」の時があることを見つけたり(指摘されて見直してみたら確かに!)と、船内新聞を読むのも楽しみの一つです。参加したいイベントが重なったり、遅い時間で参加できないものがあると悲しんでいる子もちらほら出てきました。
さて、今日の朝H Rのゲストは、ピースボートを立ち上げた吉岡さん。中学生の時に歴史の授業を通して「みんなの見る目」を作る!と語ってくれた歴史の先生と出会ったことが自分の原点になっているそう。大学生のときに仲間に声をかけて、ピースボートを立ち上げたそうです。きっと1人ではここまでできなかった。大切なのは、冒険と友達(仲間)というメッセージが心に響きました。
朝H R後は、明星の中学生対象に特別にブリッジ(船の中でもとても重要な場所である操舵室)を見学させていただきました!なかなか一般の人は入れない場所ということもあり、みんなあちこち興味津々!どんな体制でどのように船を動かしているのか、汽笛の音の長さや回数にはどんな意味があるのかなどを教えていただきました。ブリッジの中には、たくさんの国の国旗が置かれている棚があり、何に使うのかなと思っていたら入港する国に敬意を示すために船の上に掲げているとか。景色も最高で、絶好のブリッジツアー日和でした。
次の予定まで時間があったので、1時間ほどプールで水遊びを楽しんだ子もいました。プールの水は、運航している海域の水を利用しているそうで、ちょっと舐めてみたらとても塩辛いと大騒ぎ。大海原のプールも格別だったようです。
午後は、深津高子さんの水先案内人企画「平和は子どもから始まる」を聞いてきました。インドシナ難民の支援に関わってきたお話もしてくださったのですが、講座終了後に、深津さんのお話に刺激を受けた9年生たちが集まってきて「この前の中村さんの話と繋がるところがあるよね」「日本には難民はいないの?来ないの?」「どうして、日本は難民の受け入れが厳しいの?」「難民と認められなかったらどうなるの?」「私だったら受け入れるのに!」「昔、杉原千畝さんが寝る時間を惜しんで、ビザを発行していた話を思い出した」などなど話が尽きません。とても楽しい時間でした。
夕方のH Rゲストはなんと3人の方が来てくださいました。
まずは、ピースボートスタッフでカルチャースクールを担当されているさゆりさん。さゆりさんは中高と学校に行けず、なんだか自分は生きづらいなあと悶々と悩んでいたそうです。19歳のときにピースボートを見つけ、ポスターをなんと約2100枚!貼って、費用を貯めて乗船したそうです。(ピースボートでは、ポスターを貼って船賃にするという制度があるそうです。)
そして、次のゲストは、ジャパングレイスの上野さんと田村さん。お二人は「手ぶらでも世界一周できる」をコンセプトに、食材やショップで売るものなどの仕入れを担当されているそうです。なんと出航する前に日本では、200トンの食材を仕入れて積み込んでいるそうです。「仕入れで失敗したことはありますか?」「品目で一番量が多いものはなんですか?」「廃棄する食材はあるんですか?」「毎日、新鮮な野菜が出ていますが、何か工夫していることはあるのですか?」などたくさんの質問が出ました。ホライズンやレストランを見る目が変わりそうです!
毎日が盛りだくさんで、少し体調を崩す子も出てきました。今日は、残りの船内時間を楽しめるように、いつもより夜の点呼の時間を30分早めてゆっくり休んでもらうことにしました。
【8日目】8月24日(土)
多くの子たちが元気をチャージして朝のH Rに集合してきました。
今日は、中文を話す方対象の船内ですぐに使える簡単な日本語を学ぶ「日本語ひろば」に参加してきました。参加者の簡単な自己紹介、挨拶の練習相手になってきました。「10人の人と練習してきたよ〜!」「名前の漢字を教えてもらった!」日本語の練習の時間だったはずが、気がつくと明星生たちが中文で自己紹介の言い方を参加者から教えてもらっていました。日本語で挨拶してもらえると嬉しくなって、相手の言葉を知りたくなるのでしょう。とても楽しい時間となりました。大勢の参加者に囲まれている子がいたのですが、どうやらその子は、日本で「中国で人気の髪型にしてください」とリクエストして(美容師の方が真剣に調べてくれたので、冗談だと言い出せなかったそうですが)ヘアカットをしてきたらしく、その効果かなと笑っていました。たくさんの子たちが初めましての方に対しても、こんな風に心を開ける姿にも成長を感じました。
その後は、澄子さんからシンガポールのこと、シンガポールで一緒に歩いてくれる現地の学生さんの紹介などをレクチャーしてもらいました。シンガポールには4つの公用語があり、街中も4つの言語で表記されていること、学校では英語が中心であることなどを教えてもらいました。そして、スペシャルゲスト、シンガポール出身のデリックさんも登場!なんと彼は、昨年の12月から日本語を学び始めたそうですが、とても流暢に話していることにみんなびっくり!すでに4000語くらいの単語を覚えているそうです。
午後は、水先案内人である岡真理さんによる「平和って、なんだろう?」の講座です。岡さんから最初にアラビア語での挨拶の言葉を教えてもらいました。「アッサラーム アライクム」は、「おはよう、こんにちは、ただいま、さようなら」全てに使えると聞いて、みんな「便利〜!」「すご〜い」と感嘆の声。
さて、ここから本題です。平和の定義は何だろう?という問いから、2021年にパレスチナ・ガザ地区の子どもたちに自分の夢をインタビューした映像を見せていただきました。岡さんから印象に残ったことを聞かれると、「家に帰りたい以上の夢がある?(自分たちの当たり前が夢になっていてびっくり。)」「国をつくりたい(1人だけではなく何人もの子がそう話していたことにびっくり。)」「パイロットになりたい。(かっこいいという理由ではなく、世界旅行を楽しんで、喜んでもらいたいと思っているところ)」と次々に手が挙がります。岡さんから「平和は、暴力がないこと」、その暴力も3つに分けることができると、ヨハン・ガルトゥングが提唱した構造的暴力、文化的暴力があることを教えてもらいました。「RESPONSIBILITY(応答責任)」、何かを知った時にはそれに応える責任があるというお話に心が揺さぶられました。子どもたちからは、「そもそもなぜガザは完全封鎖されてしまったのですか?」「どうして、パレスチナの人には世界人権宣言が適用されないの?」「どうして第二次世界大戦の戦勝国が、国連安保理で拒否権を持ってしまったの?」と、またまた質問が尽きません。講座の時間が終わってからも、何人もの子たちが岡さんの周りに集まり、わからなかったこと、気になったことを聞いていました。
今日は盛りだくさんです。30分ほど休憩して、学校での事前学習会にも来てくださった野平さんと、日本がシンガポールを占領していた時のことが書かれているシンガポールの学校で使われている副教材と日本の教科書の記述を読み比べました。どちらも読んだ子どもたちからは、「シンガポールの方がとても詳しく書かれている」「日本がこんなにひどいことをしたなんて知らなかった(知りたくなかった)」「シンガポールの人は日本からの観光客が来るのをどう思っているのだろう」と様々な声が聞こえてきました。野平さんからの「日本がひどいことをしているからと言って、日本を嫌いにならないでほしい。ひどいことをしたということをちゃんと認めて、それを次にどう活かすかが大事だということを覚えておいてほしい。過去に向き合って変えていけば、今、そしてこれからの世界に貢献することができるから。」というメッセージを忘れずに、日本で一緒に歴史を学んでいけるといいなと思いました。
日に日に、水先案内人の方のレクチャーやH Rゲストからのお話に対する好奇心が高まっているように感じます。スタッフの方たちとご飯を一緒に食べるのはもちろん、話が足りない子たちが、中村さんや岡さんをつかまえて、食事も後回しにして自由時間を最大限に使って話を聞き続ける姿が見られたり。また、「すみちゃんの講座を聞きたい!」と、急遽、夕方のHRの時間を変更して澄子さんの「核兵器はなくせる」講座に参加できるように予定を変更したり。たくさんの明星生たちが自発的に参加していました。これも、船内でたくさんの人たちと出会って、そして関係を築いてきたからなのでしょう。顔が見える関係を作っていくこと、様々な人と関わること、そして話を重ねることの大切さを実感しています。
そして、夕方のH Rのゲストは、ピースボート子どもの家を担当されているあいさん。笑顔がとても素敵で物腰柔らかい印象でしたが、中学生の頃は、納得がいかないことがあると教室に入らない子どもだったとか。大人になって、パートナーのおかげでディスレクシアであることに気づいたこと。また、そのパートナーとは日本では結婚できないので、ハワイで結婚したことなどをお話してくださいました。
早いもので、船内生活も明日が最終日。そして、明日は、この8日間の集大成である発表会があります。8日間の中で、出会ったこと(人)、感じたこと、学んだことを活かして「私たちのピースボート国際交流体験」というテーマで、グループに分かれての準備も佳境に入ってきました。船内テレビでも取り上げてもらい、宣伝もばっちり。それぞれがどんなことを発表するのか、とても楽しみです。(今夜はみんな、準備で寝不足になりそうです。)
今日は、天気も良く、穏やかな海上でした。
毎日、船内新聞(その日、どこでどんなイベントが開催されるのかなどのお知らせがA3両面1枚にまとめられたもの。)がそれぞれのキャビンに配布されています。そこに書かれているその日の日の出と日の入りの時間を見て早起きして日の出を楽しんだり、日の入りの時間に間に合うように夕方のH R後急いでデッキに向かったり、ある企画のタイトルが日によって「ウケる」と「うける」の時があることを見つけたり(指摘されて見直してみたら確かに!)と、船内新聞を読むのも楽しみの一つです。参加したいイベントが重なったり、遅い時間で参加できないものがあると悲しんでいる子もちらほら出てきました。
夕方のH Rゲストはなんと3人の方が来てくださいました。
まずは、ピースボートスタッフでカルチャースクールを担当されているさゆりさん。さゆりさんは中高と学校に行けず、なんだか自分は生きづらいなあと悶々と悩んでいたそうです。19歳のときにピースボートを見つけ、ポスターをなんと約2100枚!貼って、費用を貯めて乗船したそうです。(ピースボートでは、ポスターを貼って船賃にするという制度があるそうです。)
そして、次のゲストは、ジャパングレイスの上野さんと田村さん。お二人は「手ぶらでも世界一周できる」をコンセプトに、食材やショップで売るものなどの仕入れを担当されているそうです。なんと出航する前に日本では、200トンの食材を仕入れて積み込んでいるそうです。「仕入れで失敗したことはありますか?」「品目で一番量が多いものはなんですか?」「廃棄する食材はあるんですか?」「毎日、新鮮な野菜が出ていますが、何か工夫していることはあるのですか?」などたくさんの質問が出ました。ホライズンやレストランを見る目が変わりそうです!
【8日目】8月24日(土)
多くの子たちが元気をチャージして朝のH Rに集合してきました。
今日は、中文を話す方対象の船内ですぐに使える簡単な日本語を学ぶ「日本語ひろば」に参加してきました。参加者の簡単な自己紹介、挨拶の練習相手になってきました。「10人の人と練習してきたよ〜!」「名前の漢字を教えてもらった!」日本語の練習の時間だったはずが、気がつくと明星生たちが中文で自己紹介の言い方を参加者から教えてもらっていました。日本語で挨拶してもらえると嬉しくなって、相手の言葉を知りたくなるのでしょう。とても楽しい時間となりました。大勢の参加者に囲まれている子がいたのですが、どうやらその子は、日本で「中国で人気の髪型にしてください」とリクエストして(美容師の方が真剣に調べてくれたので、冗談だと言い出せなかったそうですが)ヘアカットをしてきたらしく、その効果かなと笑っていました。たくさんの子たちが初めましての方に対しても、こんな風に心を開ける姿にも成長を感じました。
さて、ここから本題です。平和の定義は何だろう?という問いから、2021年にパレスチナ・ガザ地区の子どもたちに自分の夢をインタビューした映像を見せていただきました。岡さんから印象に残ったことを聞かれると、「家に帰りたい以上の夢がある?(自分たちの当たり前が夢になっていてびっくり。)」「国をつくりたい(1人だけではなく何人もの子がそう話していたことにびっくり。)」「パイロットになりたい。(かっこいいという理由ではなく、世界旅行を楽しんで、喜んでもらいたいと思っているところ)」と次々に手が挙がります。岡さんから「平和は、暴力がないこと」、その暴力も3つに分けることができると、ヨハン・ガルトゥングが提唱した構造的暴力、文化的暴力があることを教えてもらいました。「RESPONSIBILITY(応答責任)」、何かを知った時にはそれに応える責任があるというお話に心が揺さぶられました。子どもたちからは、「そもそもなぜガザは完全封鎖されてしまったのですか?」「どうして、パレスチナの人には世界人権宣言が適用されないの?」「どうして第二次世界大戦の戦勝国が、国連安保理で拒否権を持ってしまったの?」と、またまた質問が尽きません。講座の時間が終わってからも、何人もの子たちが岡さんの周りに集まり、わからなかったこと、気になったことを聞いていました。
(国際交流クルーズ引率:高山・小畑)