明星学園

理事長挨拶



ごあいさつ

学校法人明星学園 理事長 渡辺 京



 2024年5月15日、明星学園は創立100周年を迎えました。
 5月7日に「誕生祭」として、武蔵野の森スポーツプラザで、小・中・高の在校生と教職員、保護者、卒業生、ご来賓や関係者、約4,000人が参加して、盛大に式典を催しました。
 21人の小学生と4人の創立同人から始まった明星学園が100年の時を経て、多くの方々と共に一堂に会して創立記念日を祝うことができたことに感謝いたします。

 明星学園が生まれた1924年という年を考えると、前年に関東大震災が、そして翌1925年には普通選挙法と同時に治安維持法が成立した年です。大正デモクラシーの動きが実を結びかけた世の流れが、それを押しとどめようとする大きな力と対峙し始めた、時代の転換期でした。
 創立者赤井米吉・照井猪一郎・照井げん・山本徳行の4人は、東京の成城小学校で出会いました。力も資金も無い若き教育者たちでしたが、「子ども中心主義・男女共学・小規模校」という理想をかかげ、都心から離れた自然豊かな武蔵野の地に、自由な教育の場として明星学園を創設しました。夕闇に輝く一番星をみて名付けられた「明星」という名は、戦争へ向けて転換していく暗闇の時代への思いを象徴するものだったと感じます。

 明星学園は「個性尊重・自主自立・自由平等」の理念をかかげ、多様な個性を生かし、自由な校風のもと、児童生徒がのびのびと楽しく学べる学園をめざしてきました。そのためには、「出来合いの教材等に頼らず、独自教材をつくり、実践する取り組み」が求められます。また、子どもたちを取り巻く状況の変化に柔軟に対応する「しなやかさ」も求められます。
 
 世界は今、新たな混乱期・転換期を迎えようとしています。気候変動、経済格差の拡大、宗教や民族をめぐる新たな対立、更にはAI技術の発展をめぐり、人間の存在意義をも問われる時代を迎えています。大きな時代の変化・価値観の変化の中で、教育に何が求められているのかをあらためて考えなければなりません。
 明星学園では、教科の枠を超え、生活の中から興味や関心のあるテーマを自分で発見し表現する「総合(科)」の取り組みを、小・中・高それぞれの段階に応じて推進しています。

 100周年を迎えた今、過去の歴史から学びつつ、現代の課題を受け止め、目の前の児童生徒としっかり向き合い、学ぶ楽しさを伝えられるよう研究と工夫を続けてまいります。
 次の100年へ向けて新しいスタートを切った明星学園を、これまで同様見守り支えてくださいますよう、心からお願いいたします。