「高等学校第1回卒業式式辞」―上田八一郎

大草美紀(資料整備委員会)

昭和23年度
  高等学校第1回卒業式式辞
   (通算16回)
上田 八一郎
純真であれ、ひねくれてはいけない。誠実であれ、ごまかしてはいけない。真実であれ、うそを言ってはいけない。真実に考え、話し、実行せよ。今の日本は何もかも不足だらけであるが、真実な人間が一番不足している。これまで君達に、
形式とか体裁というものを比較的やかましく言わなかったのも、内に純真さ真実さを失わせたくなかった
からである。今の日本はドン底にある。国破れたりと云えども私共は限りなくこの国を愛せねばならぬ。そして再建せねばならぬ。いかなる部署にあっても真実を持ち、誠実さを失わず、全身を打ち込んで努力してもらいたい。
1949年(昭和24)3月5日
『漫思凡考』より

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