明星の自慢 小学校【国語の授業】の巻  文学作品を絵本で学ぶ

SPECIAL FEATURE 明星の自慢 小学校【国語の授業】の巻  文学作品を絵本で学ぶ

今回の「明星の自慢」は【小学校・国語の授業】です。
現役、OGの先生が自慢のために集まってくださいました。
国語の授業の中でも低学年の「文学作品」の授業は、絵本を教材にして授業をすることがあります。
皆さんも明星の小学校で、絵本を使って授業をしているイメージはあるかと思いますが、先生が絵本を読み聞かせているとか、思っていませんか?(わたしはそうでした…)
全然違うのです!
聞けば聞くほど、奥の深い、楽しいお話が聞けました。

Profile

なほっち(3-1担任 北村 奈穂先生)
なほっち(3-1担任 北村 奈穂先生)
山形から来た5年目の新世代先生。
学生の時「新教育」の研究をしていて明星学園を知ったそうです。無着先生が実家の裏山に住んでいたという縁もあっての明星の先生。
まあちゃん(2-1担任 菅野 将希先生)
まあちゃん(2-1担任 菅野 将希先生)
小、中、高と明星生、小学校の先生になって5年目の超スーパー内部生の先生。
1年生に入学したときの隣のクラスの担任はおおせん! 新しい世代が育っています。
ねぎし先生(1-1担任 根岸 あずさ先生)
ねぎし先生(1-1担任 根岸 あずさ先生)
明星の先生になろうと思ったのは、小学校の校舎を見たとき「この学校に勤めたい!」と思ったから。
そのときから約30年。その直感は、ズバリ正解だったようです。
おおせん(大野 映子先生)
おおせん(大野 映子先生)
明星学園小学校で長く教えられた元教諭。
国語の教科教育研究にも熱心に取り組まれた。
「絵本で授業」と言えば、おおせん!
絵本の授業ではないんです!
― それでは早速、絵本の授業についてお話を…。
おおせん違います! 絵本〝〟授業! 絵本〝〟授業ではないんです!
― 「絵本の…」「絵本で…」はて?どう違うの?具体的にその「絵本で授業」は、どのような授業なのでしょうか?
一人一冊ずつ自分の絵本を持っています
― まずビックリしたのは「絵本で授業」は、クラス全員、同じ絵本を一人一冊ずつ持っているということ。先生だけでなく子どもたちもそれぞれの机に絵本を準備しています。なぜ先生が一冊持つだけではダメなのでしょうか?
北村 奈穂先生
なほっち絵本のページをめくる、というのが大事なんです。文字が読めなくても、ページをめくる楽しさ、次のページの色が見えた瞬間の驚き、感動を味わうことができます。
― 確かに先生が子どもたちの前で読み聞かせながらページをめくるのと、自分の絵本のページをドキドキしながら自分でめくるのでは、感動が違いますよね。
まあちゃん一人一冊手にすることで、その絵本の世界に深く入ることが出来ると思うんです」。36人が一斉に同じものを見て、同じ時間を過ごせることにも、大切な意味があるそうです。
― 他にも一人一冊には意味があり、子どもたちには自分の絵本を持って帰って、お家の方と一緒に読む、順番に読むなど、一度授業でやったことをお家の人に届ける宿題が出ます。お家の人が書いてくれるコメントカードも、「絵を見ながら早起きはだれか、寝ぼすけはだれか、と言ってました」「かめくんとかばくんの仲の良さが伝わってきました」など、とても素敵だそうですね。
ねぎし先生授業でその日学んだことを、ここ、こうなんだよ、ってもう一回お家の人に展開していることがよくわかるんです。
― 先生と子どもと親御さん、三者のコミュニケーションにも絵本は大切なツールのようですね。
ひとつの見開きに一時間!
― 具体的に一年生、一学期の授業の様子を先生方に教えてください。写真はそのときに子どもたちが開く「かばくん」です。
かばくん
かばくん(岸田 衿子 作/中谷 千代子 絵/福音館書店)
ねぎし先生一学期だから、まだ文字を読めない前提でやってるんです。でもこの絵本ってすごく短いし、とってもリズムがいい詩みたいなんです。だから、子どもたちはすぐ覚えちゃう。まず私が読んで、みんなも読んでみようって言ったら、読める子読めない子には差はあるんだけど、みんなで唱えることで、読めた気になったり…。
菅野 将希先生
まあちゃん最初僕が読んで、次みんなで声に出して読んでみて、じゃ、なんか絵から気づいたことある? みたいな感じで、最初、絵から気づいたことをどんどん言ってもらいます。その後、文章にも書いてあるじゃん…みたいに、絵と文を行ったり来たりをくり返し何度もやります。そうしているとあっという間の45分です。
なんか五感を通して読めるかなってすごく思っていて。なので、僕は結構音とか聞きます。たとえばみんな一番のねぼすけは、かばくんって、わかってるんですよ。だからかばくんのいびきが聞こえるとか、そう、風の音が聞こえるとかたくさん言ってくれますね。
絵を読む 絵と語り合う
おおせん文学教材を選ぶ時、その作品の形態を選びます。原作の文章だけの作品にするか、さし絵のある作品にするか、絵本にするか、その教材を学ぶ子どもたちにとって一番良いものを選ぶんです。素晴らしい絵本になって出版されている作品であっても対象の学年によっては、あえて原作の文章だけの本を作って授業に使うこともあります。ですから検討した結果、この作品は絵本じゃなきゃダメということで絵本を選びます。作者が絵も文章も書いている場合などは特に、その作者は、絵でも語ってるんですよ。それを子どもがね、見つける。文字が読めない子どもは特に見つけるんです。私は〝子どもたちは絵と語り合うんです〟という言い方をするのですが、ページを繰りながら、展開する絵を本当に楽しんで、語り合います。
― 絵と語り合う…とても豊かな時間ですね。確かにあっという間に45分がたってしまうのも、よくわかります。
授業で扱う絵本は文学作品!
― 「絵本で授業」は国語の授業の一つです。国語の授業はおおまかに、文字指導、図書、文学作品や説明文などの読み物の三つに分かれていますが、その文学作品の時間に「絵本で授業」をしているのです。文学作品?
ねぎし先生文学作品を読むということは、お話を楽しむっていうことが一つと、もう一つ、文学作品をどう読んでいくのかということも一緒に学んでいるのです。子どもたちは、お話をたっぷり楽しむということを味わうのだけど、こちら側としては、物語に描かれていることをどう読み取っていくのかを伝えたいのです。
根岸 あずさ先生
文で書かれていることだけではなくて、絵に描かれていることもいっぱい読む。どこから見た絵なのか(視点)、描かれていることからどんなことがわかるのか(情景)、お友達が見つけたことを聞いて、あ、ほんとだって気づく。そしてまた自分も見つける。そんなふうにして、作者は何を伝えようとしているのか、物語を深く読み込んで、理解していくということを繰り返します。これが、今後、高学年になったときに、絵も何もない、文字だけで文学作品を読むスタートになっているのです。
― 子どもたちは純粋に絵本を楽しみながら、物語の読み解き方を学んでいくのですね!
ねぎし先生人にとって大事なことであったり、生き方であったり、人の本質みたいなことが、どの作品にも描かれているんだから、文学作品を読むということは、子どもたちにとって大事なんです。
受け取ったものを表現する
― 小学校の保護者さんはご存じでしょうが、学期の終わりなどに「朗読発表会」があります。これは、一学期に学んだ作品の中から一つだけ選んで、お家の方の前で〝表現する〟場です。一つの作品を二クラスそれぞれ発表するそうです。
取材に参加の保護者舞台に子どもたちが上がって、ひとりで言ったり、ちょっと何人かで言ったり、全員で言ったり、こっちから聞こえたり、あっちから聞こえたり、掛け合いがあったり、いろいろ工夫されているんですよ。
― 朗読が終わると、クラス同士お互いに感想を言い合います。
ねぎし先生子どもたちってね、お隣のクラスのいいところを言うの。
おおせんその感想は言葉も選んで言っているのかと思うほど上手でしかも鋭い。
― 〝表現する〟というのは、以前、高校の「オペミ」(オペラミュージカル)[公孫樹だより10号参照]でも紹介したように明星学園が創立当初から大切にしていることです。
大野 映子先生
おおせん子どもたちは受け取ったものを、今度は表出するんですよ。表現するということはすごく明星学園では大事にされていて、学んだ後に必ず表現をしますね。
― 受け取ってそれを自分たちで考えて表現する、そこまでやって小学校の国語、文学作品の授業は完成するのでしょう。素敵です!
先生方も自分で考える
― お話を聞いていて先生方からよく出てくる言葉がありました。「皆さんがどうしているかしらないのですが…」「これもそれぞれのやり方があると思うのですが…」「わたしの場合はですが…」というような言葉です。自分で考えて、授業を組み立てているのが、とても伝わってくるのです。明星の先生がよくおっしゃる「自分で考えることのできる大人になりなさい」を、まず大人が、先生が実践してくださっているということなのですね。
お話を聞いているうちに、先生方はなぜ明星の先生に? という話題にもなりました。皆さん共通していたのは、明星学園ならば自由に自分の思う授業(教育)ができると思ったということでした。
おおせんそこが大事なんですよ。やらされてるんじゃないっていうことが、子どもたちにもちゃんと生きてくるから」。子どもたちもそれをちゃんと感じながら大人になって行くということなのですね。きっと。
百年、ずっと繋がっている
― 今回お話をしてくださったのは、先生として50年以上、生徒時代を足したら60年明星に関わっているおおせんと、後輩先生たちです。おおせんが「私が口出して申し訳ないけど…」と話し出すと、他の先生方が身を乗り出して「教えて! 教えて!」とお話を夢中で聞いているのが、印象的でした。
まあちゃんやっぱり先人が土台を作って、しっかり材料まで用意してくださっていて、僕たちはその上で料理を作ってる感じなので。
― 創立時からこの学園が大切にしてきたことを、それぞれの先生が引き継ぎ、自分で子どもたちと向き合いながら、授業を作っているのを、感じることができました。今回は国語の「絵本で授業」でしたが、もちろん他のすべての科目が、建学の精神を引き継ぎ、そして進化しながら、百年続いて、これからも繋がっていくと思うと、頼もしくて、誇らしい気持ちになりました。これこそ、「明星の自慢」です。
後援会編集部 今回の〝絵本で授業〟のお話は、小学校の松園先生に設定していただきました。実はこちらの都合で二回もお話を聞く機会をキャンセルしてしまい、三度目の正直で実現できました。が、今度は当日松園先生が急遽ご都合がつかなくなってしまい、松園先生お休みでお話を聞きました。きっとこれを松園先生が読んでくださったら、あの話もしたかった!と思われることでしょう。次の機会にはまたいろいろな自慢を伺いたいと思っています。よろしくお願いします。そして、たくさんご協力いただき、ありがとうございました。

文学作品

かばくん(岸田 衿子 作/中谷 千代子 絵/福音館書店)
50年前から1年生1学期の国語は
「かばくん」で始まります。
かばくん
ピーターのいす(エズラ・ジャック・キーツ 作・絵/
木島 始 訳/偕成社)
作者のキーツさんの色感がさえまくっています。
最後のページを繰ったときは、
大人もびっくり!
これは、教室が盛り上がるだろうなあ!
ピーターのいす
スーホの白い馬(大塚 勇三 再話/ 赤羽 末吉 画/福音館書店)
モンゴルの草原を表現するための横長の見開き。
ページを繰るたびにため息が出てしまいます。
スーホの白い馬

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