高校生が小学校4年生対象に出前授業を企画・実施しました! ~ 「みいつけた」でつながる小学生と高校生、そして大学生

527日(火)、高校生にとっては定期試験予備日のため授業のなかったこの日、社会科探究同好会のメンバーと有志(大学生1人を含む)10名が、41組と2組の児童を対象に1コマずつの出前授業を行いました。

授業タイトルは「何かを『みいつけた』大人にあってみよう」。小学校前期で実践している『みいつけた』。自ら驚きをもってみつけたもの(こと)を他の人に伝え、対話する。その先にはより深く知るために調べ、観察し、それを発表していく学びが待っています。このプロセスは科学者の研究と同じです。モヤモヤがはっきりしたかと思うと、さらに大きなモヤモヤ(疑問)が見えてきます。これほどワクワクすることはありません。

中学校の「総合探究」「卒業研究」も、『みいつけた』を大切にするところから始まります。
そして、高校生が自分の進路をつかみ取る際も、この『みいつけた』が威力を発揮します。高校生にとって進路を見つける材料が、なんとなくの本人の希望と模擬テストの偏差値だけであってはとても残念です。

 自分の進路を見つけるには、学んできたことをアウトプットする場とその経験が何よりも必要です。そして大学とはどのような場で、どのような学びが行われているかをリアルに感じ取れる機会があればと思います。また、社会で活躍している人との出会いは大きな刺激を彼らに与えてくれるでしょう。真剣に自分の『みいつけた』に向き合い、探究を経験した高校生は、実は大学側が最も入学してほしい、つまり大学で大きく成長する学生であると期待されているのです。それを裏付けるように「総合型入試」といった入試制度が国立大を含め大きな割合を占めるようになってきました。認知スキルと非認知スキルのバランス、明星生にとってはこれまで大切にしてきたものをしっかり評価してもらえる時代になってきています。高校生にとって今回の取り組みは、さまざまな点で大きな意味を持っているように感じました。

今回の「環境問題」を題材とする授業は、NPO法人新宿環境活動ネット代表理事の飯田さん、株式会社ネオキャリアの高山さんの大きな支えがあって実現しました。また早稲田大学創造理工学部環境資源工学科4年で、早稲田大学公認環境サークルロドリゲス前副幹事長の自称環境オタク、矢野さんがメインとなる講義を担当してくださいました。

 高校生たちは同好会顧問の比嘉先生と何度もミーテイングを重ね、自分たちの意見を出し合いながらこれらの大人の協力者と協同で授業づくりを進めました。当日の授業で高校生はまず授業の導入を行いました。自己紹介の後、今日の授業の目的をスライド・動画・音楽等を駆使しながら子どもたちの関心を惹きつけます。授業前に教室のどこかに『みいつけた』に関するある仕込みも済ませています。相当な各自の練習とリハーサルを行っていたであろうことが予想されます。つづいて高山さんの進行に移り、矢野さんのお話が始まります。

 テーマは「レジ袋って悪者なのか?」。当然、子どもたちはエコバックを使った方がいいと教わっています。でも矢野さんは、本当?と問います。「あたりまえ」をもう一度考えてみようという問いです。エコって何だろう? 環境を悪化させる原因って何だろう? 一つだけの要因ではない。レジ袋1枚とエコバック一つを作ることを考えれば、エコバックを作る方が多くのエネルギーを使っているというのは言われてみれば当然のことです。でも、エコバックを何回使えば、レジ袋を毎回使うよりもエコだと言えるのか、矢野さんはこれを数字で示そうと大学で研究しているのだそうです。

 矢野さんのお話の後、子どもたちは9つのグループに分かれ「個人ワーク」の後、対話を始めました。各グループには対話がうまく進むよう高校生が一人ずつ入り、見守ります。全体で1コマ45分という制約の中、最後の共有の部分が時間的に足りなくはなってしまいましたが、高校生代表・担任の先生・環境の先生の熱い言葉があり、大きな拍手の中、授業は終わりました。

 あたりまえを本当にそうなの?と問い返してみること。視点を変えてみること。深く考えること。これはこの授業が子どもたちに与えたメッセージでしたが、進路を切実に考えている高校生自身が身を以て感じたことでもあったようです。授業の後の昼休み、担任の先生の計らいで高校生は子どもたちの中に入ってお弁当を食べ、その後も一緒に遊んだようです。
 そして、昼休み後の振り返りの時間。高校生たちは目を輝かせながら一人ずつ感想を語っていきました。この経験を通しての新たな気づきと達成感、さらに今後への期待。「小学生の能力って想像していたよりずっとすごかった!」「自分の意見をしっかり言える子が多かった」「明星学園小学校と中学校の教育ってすごいと改めて感じた」。するとこの春卒業した大学生が、「高校生もすごいと思うよ。みんな大学に行ったら絶対感じると思うけど、こんなふうに自分の意見をしっかり言える学生ってすごく少ないというのが分かる」。これもまた、視点を変えて「あたりまえ」をずらして深く考えようという一言。

この振り返りの場に、小学校からの生徒、中学校からの生徒、高校からの生徒、そして大学生(卒業生)、さらに小中高それぞれの現場の先生方も忙しい中、参加してくれ、共通の土俵の中で語り合えたことは私にとっても大変貴重な経験となりました。高山さんの協力を得ながら、産学民の連携の中で行われた一歩目の取り組みとなりましたが、12年一貫としての明星学園を強く感じる時間ともなりました。

なお、「小学校ページ」にもこの授業の報告が子どもたちの感想とともに掲載されています。併せてこちらよりお読みください。

(学園広報 堀内)

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