明星学園創立100周年、おめでとうございます。
私は小学校から高校までを明星学園で過ごした、いわゆるスーパー内部生の卒業生です。今回、創立100周年記念リレーエッセイに参加させていただけるということで、何を書いていこうか悩みましたが、先ずは軽く私の経歴を話していこうと思います。
私は幼稚園生の頃からバレエを習っており、将来は何となくプロのバレリーナになりたいと思っていました。中学校に上がると、コンクールなども出場するようになり、国際コンクールで優勝をきっかけに海外への留学も視野に入れるようになりました。当時は全く考えてもいなかったことですが、プロのバレエダンサーのキャリアはとても短いです。普通の日本の感覚だと、社会人として仕事を始めるのが大学を卒業した22歳から60歳を過ぎての定年退職が普通だと思いますが、バレエの世界は仕事を始めるのが10代後半からというのが普通で、バレエダンサーは体をかなり酷使するので、30代半ばから40歳前に現役ダンサーを引退するのが一般的です。
私はコンクールで奨学金をいただいたのをきっかけに、17歳の時にイタリアのミラノ・スカラ座附属のバレエ学校に2年間の留学をしました。高校3年生の途中で留学することになり、私は帰って来てから浪人して足りない単位を取って卒業するのか、卒業できないまま中退をするのか、先生方と話し合いました。私のことを小学生の頃から応援してくれていた当時の明星学園の先生方は全力で高校でも支えてくださり、特別に交換留学生として扱い、イタリアでの経験を日本語とイタリア語のエッセイにまとめて提出することを条件に卒業できました。臨機応変に対応し、全力でサポートしてくださった先生方には本当に感謝しています。さすが、明星学園です。
ミラノ・スカラ座のバレエ学校を卒業した後は、いろいろな国のバレエ団のオーディションを受けた結果、アメリカのワシントンバレエ団から契約をいただいたので、今はそこでバレエダンサーとして働いています。日本でバレエダンサーとして働くということは私の視野にはありませんでした。日本のバレエ団ではバレエだけを踊っていて生活ができるのはごく一部のダンサーだけで、殆どのダンサーが教えの仕事をしていたり、自分が踊る以外にも仕事をしないと生活できないのが現状です。
私のいるバレエ団ではトゥシューズやバレエシューズ、本番用のタイツなどはバレエ団から支給されます。トゥシューズは1足1万円前後し、人によっては1日で履き潰すダンサーもいます。日々のスケジュールは朝9時半からウォームアップのクラスが始まり、その後は公演に向けてのリハーサルを午後6時15分までというのが月曜日から金曜日まであります。公演のある週は週の初めに劇場に入り、水曜日から日曜日までが本番というのが普段のスケジュールです。土日は昼と夜の2回公演があります。12月には冬の風物詩のくるみ割り人形が毎年上演され、11月の半ばから12月の終わりまで殆ど毎日上演されます。劇場には子ども連れの家族が毎年たくさん足を運びます。子どもたちが子ども向けのものではなく、本物を見に行く機会がこの様に身近にあります。