今回の創立100周年記念リレーエッセイは、現在、モデル・ロック歌手・女優・バラエティーと幅広い分野で活躍されている卒業生の土屋アンナさんと、本校PTA会長や理事を務められましたお母様の土屋眞弓さんのお二人にインタビューに答えていただくという形でお届けします。
2時間にわたって、現在のお仕事のこと・明星の教育が今に活かされていること・これからの明星学園に期待することなどたくさん語っていただきました。
学生時代がよみがえってくるようなフランクで飾らない会話になっています。
*土屋アンナさん=アンナ(敬称略) 土屋眞弓さん=眞弓(敬称略) 本校教員=進行
゛今日まで、モデル・ロック歌手・女優・バラエティーと幅広い世界で活躍してきたアンナさんだけど、ここまで一生懸命頑張ってきて、仕事の上でも生きていく上でも「これだけは大事にしなければならない」って見えてきたことって、何かある?゛
アンナ: 「自分の目」かな。
例えば、ニュースとかでもいろんな情報が流れているけど、「自分の考える自分の答えを持つか持たないか」。これは大きいと思う。
イジメもそうだと思うんだけど、みんなが「あの子嫌い」っていうから、自分も「嫌なやつ」と思っちゃうんじゃなくて、みんなが嫌いって言ってても「私は彼のこういう所が好き」って堂々と言えるような、「自分の目」を持てることが大事だと思う。
それをちゃんと持っていれば自分の周りにいる人も信頼がおける人かどうかわかってくるし、自分でいろんなことを選べるようになっていくと思う。
゛世の中にいろんな情報が氾濫していて周りの人はいろんなことを言ってくるけど、ちゃんと自分の目を持って「自分の頭で最終的に判断していかないとダメだよ。」ってことかな?゛
眞 弓: 世の中を見ていて、つるまないと生きていけない人が多かったり、個というものが薄くなってるなぁと感じることはよくある。
私が明星に入らせたかったのも、アンナにそういう見方(一人一人を大事にし、自分の目を持てるようになること)ができるようになってほしかったからなの。
゛逆に、ここまで来るのに「一番苦労したこと」ってどんなこと? ゛
アンナ: もぉ~、一番苦労したのは「世の中の人の目」。これは最近まで慣れなかった。
コンビニ行っても「あ、土屋アンナが牛乳買ってる。」みたいな。「牛乳買うよ。」って、そういう人の目にいらだってた時期があった。
その当時はSNSもまだ普及していなかったから、直接声に出して言われちゃう。ちっちゃい声で。
どこにいっても誰かに見られている感じがして、「これって監視されてるのと同じじゃん!」って思ってた。ずっと、何かするとたたかれ、週刊誌がきて騒がれる、そういうのが一番つらかった時期があったな。
今は、多分獅童さん(10歳上の明星の先輩。中村獅童さん)もそうだと思うけど、「言われてなんぼ!」っていう感じになってきた。
眞 弓: 今は、だんだん言われなくなってきてるのもあるのよ。
アンナ: でも、どんな仕事でも多分マイナスなことってあると思うけど、芸能界の仕事って人目についちゃうだけで、他の仕事でも絶対的に楽しいことだけじゃなくって、つらいことや嫌なこともたくさんあると思う。でも、だからこそ「いいこと」が大きく感じられるようにもなった。
例えばライブとかやって多くの人がお金をわざわざ出して見に来てくださる。そう思うと、80%がつらいことや嫌なことであっても、お客様にいいパフォーマンスをお見せできたとき、すごくうれしさや楽しさが大きくなる。
「80%の苦しいことつらいことがあるからこそ、20%の感動が生きがいになる」、仕事ってそういうものだと思う。