明星学園から180度違う宝塚への人生

元宝塚専科 女優 沙央くらま(卒業生)




「自由」、「なぜ?」に向き合った学生時代

私は明星学園小中学校を卒業後、宝塚音楽学校を経て宝塚歌劇団に入団し、現在は女優として活動しております。

明星学園、それは

いつも元気でにこにこ
個性尊重・自主自立・自由平等

を大きく掲げている学校。

その言葉にある大切なテーマの自由について
私は昔からよく考えていました。

自由は自分勝手とは違う。
自由こそ難しい。
日々の生活の中で起きる様々な出来事の中で、
規則があれば、そこに従えば楽だったりすることも、自分の考えを主張し自由の中から自分や相手を知ることを求められる。

そこにはどんな意味があるのか?

そう。そこには
「自分だからこそできること、個性を見出すこと」
という大切なテーマが隠されていました。

明星学園での授業では、とにかくみんなで

なぜそうなるのか?
なぜそうしたか?
なぜそう言ったか?
なぜそう思ったか?

についてとことん話し尽くしていました。
教科書に従い、すらすらと「これはこういうものなのだ」と伝えるだけの授業とは違い時間もかかりますが、
この "なぜ?" を語り合う授業こそ、振り返ると、
諦めずに人と向き合い、
諦めずに問題と向き合い、
諦めずに目標と向き合うチカラを持たせてもらった大切な時間だったと思います。

宝塚歌劇団に入った私は、周りから「自由人だね」と言われてきました。
また、「本当に人や物事と向き合うことを諦めないよね」と今でもよく驚かれます。

私にとって諦めないことは、仕事場、人間関係、家族関係でも活かされ、必ず理由があると信じて根元と向き合えていることは、沢山の人と繋がってゆくきっかけになり学びとなっています。
これは、本当に明星学園で培った財産ですね。

その他、一人一人の自分にしかないもの、自分だからこその魅力を知り、夢を持たせてくれたのも明星学園の先生方のおかげでした。








自分の道へ突き進むチカラをくれた明星学園

小学生の頃は、手を挙げるのも苦手だった私の横には帰国子女の子やすでに子役として活躍する子もいました。そんな同級生に刺激をもらい、役者への夢を抱き始めました。

中学生に入り宝塚歌劇団に入りたいという目標を持ってからも、職員室の先生方に
「明星学園と180度違う世界だぞ。大丈夫か?それをちゃんと理解したうえで頑張れよ」
そんな言葉を頂いたのを思い出します。

私はこの180度違うという意味は宝塚歌劇団に入り思い知りました。
どれだけ私は自由に生きてきたのかと…。

また、宝塚歌劇団に入ったあともお手紙で先生から
「どんなに辛い時間も無駄な経験はひとつもないから頑張れ!」
という一言に救われました。

こうして大切な瞬間瞬間に先生が声をかけてくださり人生を応援してくださる。

そんな明星学園にいたからこそ、宝塚歌劇団でナンバーワンよりオンリーワンを目指して18年もの間、宝塚歌劇団という素敵な世界で沙央くらまとして生きることができたんだな、と思うのです。

宝塚歌劇団卒業後も変わらず、私は私らしく私にしかできない幸せな人生を歩ませていただけています。

個性。
私にしかできない表現。
私だからこその魅力。
明星学園での生活が私のベースになっています。
明星学園は私の誇りです。

私の大好きだった先生方は、今でも学童やさまざまな場所で明星学園を支えていらっしゃるのですが、数年前宝塚歌劇団を卒業する直前にどうしても明星学園で講演会をしたくて、その夢を先生方が叶えてくださりました。

その時に、小学生や中学生の皆と楽しく熱い時間を過ごせて、先生方とも久しぶりにお会いし、『あぁ、私の大好きだった明星学園がちゃんと今でも受け継がれ続けているんだ』と幸せな気持ちになったことを忘れません。


明星学園100周年。本当におめでとうございます。

100周年という響きはとても感慨深いですね。
私が宝塚の現役時代に宝塚歌劇団も100周年を迎えたのですが、歴史を感じ先輩方や先生方が守り渡してこられた大切な瞬間を感じたのを思い出します。

明星学園がこれから先も
素敵な個性をもち、世の中で様々な彩を魅せる生徒さんたちを育てる素晴らしいそしておもしろい学校として愛され続けますように…。

また遊びに行きます。

               沙央くらま






沙央くらま

【プロフィール】

沙央くらま

2001年宝塚歌劇団に入団。
宙組「ベルサイユのばら2001」で初舞台を踏み、雪組、月組、専科に在籍。老若男女、幅広い役柄を見事に演じきる高い演技力と歌唱力を持った男役スターとして活躍。
2018年2月に惜しまれながら宝塚歌劇団を退団。LINUS ENTERTAINMENTに所属し、多才派女優として、ラジオ、映画等で活躍中。