7年生「この人に会いたい」

今年度7年生初めての「この人に会いたい」企画として、11月13日(木)、大嶋悠生さんをお招きしました。大嶋さんはなでしこリーグ女子サッカー選手として活躍し、引退後に治療を経て戸籍を男性に変更しています。30歳でオーストラリアに住み、DE&Iが日常に根付く社会に触れて人生観や価値観が大きく変わり、現在は企業・自治体・学校などで講演やワークショップを行っています。実は明星学園には今年の3月に教員向けの研修としてお話しにいらしていただいており、その時からぜひ生徒向けにもお話をしていただきたいと思っていたのでした。

それがようやく実現したのが11月。しかし、なんとも残念なことに当日から7年2組は学級閉鎖…。やむなく3クラスでの実施となりました。

まずは大嶋さんの自己紹介。ご自身の経歴とともに大切にしていること、どのような想いで今このような活動をしているのかをお話ししてくださいました。その後、多様性とは何か、DE&Iとは何か、自分の持っている「思考のクセ(アンコンシャスバイアス)」にはどんなものがあるか…ご自身の話や生徒たちに考えてもらう時間を入れ込みながらお話いただきました。LGBTQ+はすでに多くの生徒が耳にしたことのある言葉ですが、あらためてそれぞれ何を指しているのかをていねいに説明してくださると子どもたちも真剣に耳を傾けます。セクシュアリティを決めるのは「性の4要素」であり(法律上の性・性自認・性表現・性的指向)、これに当てはめていけば自分を含め誰もがその人なりのセクシュアリティを持っている、という話には特に興味津々。こうしたお話を通し、「LGBTQ+の人=誰か特別な人」と「『ふつう』だから関係ない私」という構図にはならない、誰もが当事者である、ということが子どもたちにも伝わったようでした。

その後はLGBTQ+の話を越えて、意識と無意識、一人ひとりが持っているマイルール、自分の好きなところと嫌いなところ…二人組になって話し合い、発表しました。大嶋さんの巧みな問いかけやコメントもあり、子どもたち同士が自分のことも相手のことも新しく発見する時間となったようです。自分のことを良く知り、自分自身がどう在りたいのかを考えてそれを自分で理解していること。こうしたことが他者と共存する土壌となるという話に子どもたちは真摯に聞き入っていました。多様性は外からやってくるのではない、「自分と関係ない誰か」の話ではなく、自分の話。内側から広がっていく、という貴重なお話でした。最後の質疑でもたくさんの手が挙がり、大嶋さんご自身の話やLGBTQ+について、自分にできることなどさまざまな質問に答えていただき、あっという間に120分が経ってしまいました。たくさんの考える種をもらった7年生たち、これからの生活でこれらがどう芽を出していくかが楽しみです。

生徒たちの感想をいくつか紹介します。

・LGBTなど知ってるようで知らない言葉などのことが知れた。自分で思ったよりも偏見や思い込みがあったから、内側を見ることが大事だと知れた。自分が大嫌いだったけど、「自分がどう在りたいか」時々考えるのもありなのかもと思った。
・多様性とかあんまり気にしてなくてあるのは知ってる、でも自分は普通だし自分には関係ないとか思ってたけど、普通はなくて、みんながみんな多様性ということを学びました。自分のことも少し知れた気がします。
・「多様性は自分の内側からできる」という考え方がとてもすてきで、心に入れておきたいなと思いました。LGBTQは自分も知っていて、改めて詳しく知れた。でも話を聞いていると、もう一つひとつに名前をつけなくて良いんじゃないかと思った。「自分が多様性の一部である」ということは普段考えていなかったけれど、本当にそうだなと思った。
・思い込みってこんなにあったんだなと思いました。自分でのあたりまえが他人にとってはあたりまえじゃない、そういう考えに改めて気づけました。自分の考えだけで終わらせずにみんなの考えをしっかり聞ける人になりたいと思いました。
・LGBTQ+について知ることができました。様々な個性、多様性があるなか、私はどうなんだろう?とか、差別などをしていないかが少し不安にもなりましたが、今回で学べたことがたくさんあったので相手も自分も楽しく過ごせるようにしたいと思いました!
・周りを気にしたりするよりも、まずは自分はどう在りたいのかを考えることが大切だと思ったし、相手がイヤだと思ったことはやらないことが大切だと思った。周りの人にどう声をかけたらよいのか困ることも多いけれど、それも自分がどうありたいのかを考えることが大切だと思った。
・アンコンシャスバイアスにがんばって気づこうと思ってるのにほんとに無意識でおどろいた。平等と公平は一緒のものだと思ってたけど、確かにできる人にさらにやりやすくしちゃったら意味ないと思った。
・元々、多様性は知っていましたが、今日は、色々な視点からの多様性を知ることができました。たとえば、平等と公平など、同じだと思っていましたが、ちがうのもびっくりしました。あと、自分のことを良く考えるといつもとはちがう考えにたどりついてよかったなと思ったので、また良く考えたいです。

7年担当 高山瑤子

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