明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

継承・発展および創造②

校長だより
ビオトープの池

今から約20年前、小学校の校舎は新しく建て替えられました。建て替え前の木造平屋建てジグザグ校舎は、学園の教育理念を反映した本当に素晴らしい校舎でしたが、老朽化に伴い泣く泣く建て替えざるを得ませんでした。
立て替えに伴い、低学年用の庭も、子どもたちが色々な生き物に出会える楽しい場所とする事にしました。この考えは学校の教育理念でもある「知りたがり・やりたがり・話したがり・つながりたがり」を大切にし、感性と知性と社会性をバランスよく育てるという考えに沿ったものでした。子どもたちが生き物を見つけ、手にとって、生き物が動く様子を体で感じられるような環境作りです。いってみれば、低学年の庭全体を生き物の住みか、つまりビオトープにしてしまう計画でした。
低学年用の庭では、ジグザグに並んだ教室に沿うようにしてクスノキが4本植えられています。このクスノキがあることで、アオスジアゲハが卵を産み、幼虫が育つのです。クスノキの先には池があり、その向こうには土山が作られ、どんぐりから育てたコナラとクヌギが植えられています。フェンス沿いはカラタチの並木となっており、このカラタチにアゲハチョウが卵を産み、幼虫が育ちます。
中でも力を注いだのが池です。土山のふもとから湧き出た水が、三段の小さな流れとなって池に注がれるような作りになっています。ポンプを利用して、池の水が地下をくぐり、わき水のところまで回るようにしたのです。
ビオトープというのは生き物の住める環境ということです。もっといえば、生き物が自然のおきてにしたがって生活し、繁殖できる環境となります。池のビオトープを作る場合、食物連鎖の頂点に位置する動物、つまり、肉食動物を何にするか決めて作る必要があります。明星の場合は、ヤゴを頂点としてビオトープの池が作られました。ヤゴの食べ物としてメダカとモエビ、メダカの産卵場所、えさとなる微生物の住みかとしてカナダモ、エビモが入れられました。その他、トンボの休憩場所や羽化場所を考え、太い茎を持つガマを植えたり、成虫のえさ狩場として池の周囲にクヌギやヤナギなどが植えられました。 
その池では毎年、ショウジョウトンボやヤンマが羽化し、周囲の景観もビオトープらしい雰囲気が生まれています。メダカが群れをなして泳ぎ、夏にはトンボが水草で休み、春にはカエルが産卵にやってきます。トンボはアシにつかまって羽化します。羽化の準備ができたヤゴはアシの茎につかまり、水面に出ます。その後、少し上まで登り、そこで羽化するのです。
どんな生き物も本来、増えよう、増えようとしています。それは植物でも変わりがありません。ですから、日ごろから適当な間引きをしないと、必要以上に増えてしまいます。また池には、落ち葉や校庭の砂や土などが降ってきます。そのため池の底にはヘドロがたまり、年々浅くなっています。人工的な自然は管理してはじめて、その生態系を保つことができます。ビオトープの池は、そろそろ掻い掘りに着手する時期を迎えています。掻い掘りに詳しい方がいらっしゃいましたら、剛力までお声がけ下さい。