明星学園

トピックス(小学校)

お知らせ

富士のあなたへ

校長だより
 桜のつぼみが開花の時を今か今かと待っています。桜は入学式ではなく卒業式の時に咲くものとなりましたね。

 さて、2021年度が終わろうとしています。今日は卒業式のリハーサルを行いました。明日はいよいよ卒業式です。そして金曜日に終業式を迎えます。
 苦悩続きの一年間でしたが、皆様にご理解・ご協力頂く中でここまで来ることが出来ました。深く感謝申し上げます。
 一年間を振り返ると、一年前の子どもたちは、「あんなだったなあ」「こんなだったなあ」と思い返されます。そしてふと淋しくもなります。一年間の成長はそれだけ著しいものがありますね。

 6年生は明日卒業式を迎えます。本当に素敵な6年生に育ってくれました。その6年生のそばで1年生が、今を懸命に生きています。その1年生がより愛しく思えます。
 個性尊重・自主自立・自由平等は当たり前の事ですが、それを具現化するのは難しい事です。6年生が歩んできた道は決して平坦なものではなく、寧ろ険しく苦しい道であったはずです。その道を時には一人で、時には友だちや先生の力を借りながら歩み続け、一人ひとりと皆が「強く・正しく・朗らかに」育つ中で、個性尊重・自主自立・自由平等を具現化できるようになりました。
 「みんな違って皆良い」「みんながみんなで幸せになる」。その事の素晴らしさと大切さに気付き、自分達の手でその世界を創造することができるようになった卒業生を誇りに思います。

 卒業論文も仕上がりました。力作ばかりで驚きました。私たちはもっともっと子どもたちの力を信じ、子どもたちに敬意を払い、子どもたちと共に未来を創っていくことが必要です。卒業論文の指導をされた小関先生・岩橋先生(6年生担任)は、卒業論文集の「あとがき」で、以下のよう記されています。

 「世の中が新型コロナウイルスの感染拡大に揺れ動く中、小学校の教育環境も大きな影響を受けました。休校処置や在宅型学習期間としてオンライン授業の時もありました。今年の六年生の子どもたちは、そんな社会の非常事態の煽りをもろに受けた学年だといえます。そのような落ち着かない環境下でも、健気に一文字一文字綴り切った今回の卒業論文は、いつにも増して価値ある『十二才の主張』であると感じています。
 運動会、奈良修学旅行、大島見学旅行という、大きな三つの学校行事を実施する前例のない忙しい二学期となり、今までにない苦労がありました。そのような中で、絞り出すように作り出した論文作りの時間。非常に限られた時間と条件の中で、この六年生は精一杯自分たちの主張を綴りました。お読み頂いた一人ひとりの個性あふれる文字から、一生に一度しかない小学校六年生、そして十二歳という時を、命を輝かせながら全力で生きている子どもたちの姿が感じ取れるのではないでしょうか。書き上げた六年生を心から誇りに思います。
 新型コロナウイルス感染拡大の終止符がいつ打たれるのか先が見えない世の中ですが、この卒業論文を小脇に抱え六年生は明星学園小学校を卒業します。出来ないことを嘆いて泣き顔になるより、できることでたくさんの喜びを創ってきたこの子たちは、どの世界に飛び出して行っても、必ず素晴らしい笑顔と意思、主張を持ち、輝いていくと確信しています。そんな彼らの思いの詰まった『十二才の主張』をゆっくり読み返していただけたら幸いです。
 子どもたちが与えてくれた、たくさんの幸せに感謝を込めて。」

 学習は生涯にわたる基本的人権です。教育の最終目標は、「自分を見つめ、自分の人生、実感を生き生きと鍛えていく事にあります。本来の子ども、子どもの持っている素地、人間としての素地から表現を促し、開花させる。それぞれの人間がそれぞれの持ち味を活かして社会的に働ける。そのような社会の実現こそが自由・平等の保障された世界であり、人間の生活を明朗にし、人類に永遠の平和を与えます。その前提となるのが「個性尊重・自主自立・自由平等」「正しい人格」であり、強く鍛えられた意思に基づく不断の努力なのです。

 創立者の一人である赤井先生は、初めての卒業生へ向けた祝辞を次のように締めくくっています。
 「然(しか)しそれから後、春来る毎に他の畑には麦が青々と生じ、夏来る毎に黄色く実ったが私共の学園には実りがなかった。私はいつも淋しい気持ちで私共の収穫は何時かと今日の日を待ちに待った。然し終(つい)にその日が来た。私の心は今漸(ようや)く平らになった。慶び限りない。然しこの実りは如何であろうか。豊作か不作か。それは君たちの今後の生活如何にある。どうか大きな実りであって欲しい。」

 1924年に始まった明星の教育は、97年という歴史の中でより確かで豊かなものへと高められてきました。1924年という時代に、「個性尊重・自主自立・自由平等」という教育理念を掲げ、独自に教育課程を編成し、子どもの示す事実に基づいてそれらをより確かで豊かなもの高め続けてきた事は本当に凄い事です。これからの時代は「地球市民としての力」が求められますが、その地球市民としての力に於いても、明星の教育は益々必要とされ、その具現化の中で更に輝きを増していきます。世の中が明星からの発信を待っているのです。
 教育の本質として、個性尊重・自主自立・自由平等を掲げた創立者たちの慧眼に改めて感謝すると共に、これからも明星の教育をしっかり継承・発展および創造して参ります。

 「幸あれ 朗らなり 常に磨けり 思え、遠きかがやき はなて目をば富士のあなたへ 
  明星、 明星 明星 学園 (明星学園行進歌 作詞:北原白秋より)」

 6年生は明日、明星学園小学校を巣立っていきます。明星学園小学校で出会えたこと、大切な時を共に過ごすことができたことに改めて感謝したいと思います。

 「学校だよりも書いて下さっていますから!」という一言に押されて、月一回のペースで学校だよりを書かせて頂きました。書く中味が決まらない時もありました。特に子どもたちが不在の時は文面が浮かんできませんでした。
 中味は決まってもそれを上手く表現できないときもありました。苦労はありましたが、読んで下さる方がいらっしゃることは本当に有り難く、最大のエネルギーとなりました。微力ながらも書き続けてきた学校だよりが、明星の教育を維持・発展および創造する上での一助となったのであれば幸いです。
 「学校だより読みました」と、お声がけ頂いたときは嬉しかったです。本当にありがとうございました。