1年間のまとめの時期です
校長だより
1.学習発表会まであと少し
早いもので、新学期が始まって1ヶ月が過ぎました。私にとっては今年もまたあっという間に時間が過ぎていっています。どうやって時間を作るのか。これからも自分の課題となりそうです。
担任の先生にとっても、それは同じではないでしょうか。学習発表会に向けて台本を完成させ、役を決め、イチョウのホールや体育館での練習を組織しなくてはなりません。と同時に衣装のことや大道具小道具についても準備をしていかなくてはなりません。職員室には背景に使う塗料や大道具に使う角材などがところ狭しと並び、出番を待っているようです。
さて、この学習発表会ですが、今まで学習してきたことの発表の場ですので、劇に限った話ではありません。時には朗読だったり、マット運動であったり、合唱だってあり得ることだと思います。どれも表現活動ということでは共通していますね。しかしここ最近学習発表会で劇が中心になっているのは、国語という授業の中で「表現」ということも大切にしているからではないでしょうか。国語の授業の中心は文章の読み取りです。描かれている文字から、登場人物が何を考えているのかなどといったことを文字を通して掴んでいきます。文字だけで難しい時には絵も頼りにしながら読み取ります。そして読み取ったことをさらに確かなものにするため、声に出してみるといった表現読みにもつなげます。そしてその最終段階として、音声だけではなく身体を使った表現活動とするのが学習発表会の段階です。国語の時間に培ってきたものをさらに進化させての発表となるのです。だからこそ国語という枠にとらわれない総合的な活動となります。
また子どもたちの中には、演技をすることに楽しさを見出した子どももいて、その子どもたちはこの学習発表会で演技することをとても楽しみにしています。また高学年になると役者としてだけではなく、台本を書いたり、演出を考えたり、音響や照明といった表には出にくい仕事に楽しみを見出している子どももいます。どんな関わり方だとしても、それは自分を表現するための一つの手段ですね。そしてそれらがうまく混ざり合って、クラスや学年としての一つのまとまった世界になるのだと思います。
残すところあと2週間。それぞれが自分の力を発揮できる場所でがんばってもらいたいと思っています。
2.季節の移り変わり
先日ひさしぶりに東京に雪が積もりました。降り始めてからの子どもたちの興奮はなかなかのものでした。学校で雪合戦とかかまくら作ったら面白いだろうなって考えているのでしょうね。残念ながら東京の雪はベシャベシャで、次の日のグラウンドもあまり良い状態ではなかったのですが、それでも休み時間に外に出た子どもたちは、手を真っ赤にしながら遊んでいました。
その数日後に東京にある私立小学校の校長研修会があったのですが、そこで他校の様子を聞くことができました。
グラウンドが人工芝になっている学校では泥のつかない雪だるまを作ることができたそうです。人工芝のメリットがそこにあるとは思いもしませんでした。また通学路で雪を投げていて通りがかった方に当ててしまいお叱りを受けた学校や、積もった雪を子どもたちが味見がてら食べていてご近所の方から連絡が入った学校などなどいろいろです。
また雪とは関係ありませんが、東京の西の方にある私立小学校では、タヌキなんかは当たり前。時にはクマが出るということで先生が付いての集団下校となる学校もあるそうです。56校中40校程度の参加でしたが、それぞれの学校の特色がうかがえてためになる研修会でした。
3.ほんのちょっとの紹介
私は時間があると吉祥寺のジュンク堂という書店に行き、児童書のコーナーを見て回るのですが、まだまだ読んだことのない本がたくさんあり、読んでみたい本もたくさんあります。冊数はなかなか多く、定番の古典から最新作まで取り揃えていて、幅広い層に手に取ってもらえるよう工夫をしているようです。お客さんとしては子どもを連れたお母さんが多いのですが、中にはお父さんが一生懸命に子どものための本を探していて、その光景を見るたびに、「時にはお父さん目線も大事だよなぁ」と思っています。そしてよく聞こえてくるのは、「この本、お母さんも子どもの頃に読んだ」というセリフです。親子二代、いやもしかしたら親子三代で読み継がれている作品もたくさんあると思います。そんな作品をこれからも大切にしていきたいですね。これから紹介する本も何代にもわたって読み継がれてきた作品だと思います。
一つは『ぞうのババール』。この作品は作者のブリュノフの妻が子どもたちを寝かせる時に聞かせたお話を絵にしていくことから始まりました。ブリュノフは子どもたちからのリクエストをどんどん自分の作品に取り入れていき、その結果としてこの作品がシリーズ化されていきました。残念ながら37歳の若さでブリュノフは亡くなってしまいますが、そこからは息子のロランが後を引き継ぎ、20作以上のシリーズになったとのことです。このように親子で同じお話を引き継ぐというのは大変珍しいそうです。さらに挿入されている文章もブリュノフ自身が描いていて、日本語版は訳者の矢川さんの直筆です。こんなところも珍しいですね。(ジャン・ド・ブリュノフ作・矢川澄子訳・評論社)
もう一つはこれも有名な作家さん。『おさるのジョージ』の作者の本を紹介します。作者のH•A•.レイは第一次世界大戦に兵士として従軍しますが、戦争が嫌いでいつも絵を描いていたそうです。ユダヤ人であるレイは第二次世界大戦の時に、ドイツ軍から逃げるために自転車の荷台に絵本の原画をくくりつけ、スペインへと渡りました。その後、ブラジルからアメリカへと移住しますが、新しい町に行くと真っ先に動物園に行ったという、大の動物好きだったそうです。そんなところからジョージのシリーズが生まれたのでしょうね。ジョージのシリーズは子どもたちにも人気ですが、私が知らなかった作品が一つ。それがここに紹介した星座の本です。レイがなぜ星座の本を出したのでしょう。それは戦場でいつも夜空を見上げていたことがきっかけになっているということでした。(H•A•レイ作・草下英明訳・福音館書店)
早いもので、新学期が始まって1ヶ月が過ぎました。私にとっては今年もまたあっという間に時間が過ぎていっています。どうやって時間を作るのか。これからも自分の課題となりそうです。
担任の先生にとっても、それは同じではないでしょうか。学習発表会に向けて台本を完成させ、役を決め、イチョウのホールや体育館での練習を組織しなくてはなりません。と同時に衣装のことや大道具小道具についても準備をしていかなくてはなりません。職員室には背景に使う塗料や大道具に使う角材などがところ狭しと並び、出番を待っているようです。
さて、この学習発表会ですが、今まで学習してきたことの発表の場ですので、劇に限った話ではありません。時には朗読だったり、マット運動であったり、合唱だってあり得ることだと思います。どれも表現活動ということでは共通していますね。しかしここ最近学習発表会で劇が中心になっているのは、国語という授業の中で「表現」ということも大切にしているからではないでしょうか。国語の授業の中心は文章の読み取りです。描かれている文字から、登場人物が何を考えているのかなどといったことを文字を通して掴んでいきます。文字だけで難しい時には絵も頼りにしながら読み取ります。そして読み取ったことをさらに確かなものにするため、声に出してみるといった表現読みにもつなげます。そしてその最終段階として、音声だけではなく身体を使った表現活動とするのが学習発表会の段階です。国語の時間に培ってきたものをさらに進化させての発表となるのです。だからこそ国語という枠にとらわれない総合的な活動となります。
また子どもたちの中には、演技をすることに楽しさを見出した子どももいて、その子どもたちはこの学習発表会で演技することをとても楽しみにしています。また高学年になると役者としてだけではなく、台本を書いたり、演出を考えたり、音響や照明といった表には出にくい仕事に楽しみを見出している子どももいます。どんな関わり方だとしても、それは自分を表現するための一つの手段ですね。そしてそれらがうまく混ざり合って、クラスや学年としての一つのまとまった世界になるのだと思います。
残すところあと2週間。それぞれが自分の力を発揮できる場所でがんばってもらいたいと思っています。
2.季節の移り変わり
先日ひさしぶりに東京に雪が積もりました。降り始めてからの子どもたちの興奮はなかなかのものでした。学校で雪合戦とかかまくら作ったら面白いだろうなって考えているのでしょうね。残念ながら東京の雪はベシャベシャで、次の日のグラウンドもあまり良い状態ではなかったのですが、それでも休み時間に外に出た子どもたちは、手を真っ赤にしながら遊んでいました。
その数日後に東京にある私立小学校の校長研修会があったのですが、そこで他校の様子を聞くことができました。
グラウンドが人工芝になっている学校では泥のつかない雪だるまを作ることができたそうです。人工芝のメリットがそこにあるとは思いもしませんでした。また通学路で雪を投げていて通りがかった方に当ててしまいお叱りを受けた学校や、積もった雪を子どもたちが味見がてら食べていてご近所の方から連絡が入った学校などなどいろいろです。
また雪とは関係ありませんが、東京の西の方にある私立小学校では、タヌキなんかは当たり前。時にはクマが出るということで先生が付いての集団下校となる学校もあるそうです。56校中40校程度の参加でしたが、それぞれの学校の特色がうかがえてためになる研修会でした。
3.ほんのちょっとの紹介
私は時間があると吉祥寺のジュンク堂という書店に行き、児童書のコーナーを見て回るのですが、まだまだ読んだことのない本がたくさんあり、読んでみたい本もたくさんあります。冊数はなかなか多く、定番の古典から最新作まで取り揃えていて、幅広い層に手に取ってもらえるよう工夫をしているようです。お客さんとしては子どもを連れたお母さんが多いのですが、中にはお父さんが一生懸命に子どものための本を探していて、その光景を見るたびに、「時にはお父さん目線も大事だよなぁ」と思っています。そしてよく聞こえてくるのは、「この本、お母さんも子どもの頃に読んだ」というセリフです。親子二代、いやもしかしたら親子三代で読み継がれている作品もたくさんあると思います。そんな作品をこれからも大切にしていきたいですね。これから紹介する本も何代にもわたって読み継がれてきた作品だと思います。
一つは『ぞうのババール』。この作品は作者のブリュノフの妻が子どもたちを寝かせる時に聞かせたお話を絵にしていくことから始まりました。ブリュノフは子どもたちからのリクエストをどんどん自分の作品に取り入れていき、その結果としてこの作品がシリーズ化されていきました。残念ながら37歳の若さでブリュノフは亡くなってしまいますが、そこからは息子のロランが後を引き継ぎ、20作以上のシリーズになったとのことです。このように親子で同じお話を引き継ぐというのは大変珍しいそうです。さらに挿入されている文章もブリュノフ自身が描いていて、日本語版は訳者の矢川さんの直筆です。こんなところも珍しいですね。(ジャン・ド・ブリュノフ作・矢川澄子訳・評論社)
もう一つはこれも有名な作家さん。『おさるのジョージ』の作者の本を紹介します。作者のH•A•.レイは第一次世界大戦に兵士として従軍しますが、戦争が嫌いでいつも絵を描いていたそうです。ユダヤ人であるレイは第二次世界大戦の時に、ドイツ軍から逃げるために自転車の荷台に絵本の原画をくくりつけ、スペインへと渡りました。その後、ブラジルからアメリカへと移住しますが、新しい町に行くと真っ先に動物園に行ったという、大の動物好きだったそうです。そんなところからジョージのシリーズが生まれたのでしょうね。ジョージのシリーズは子どもたちにも人気ですが、私が知らなかった作品が一つ。それがここに紹介した星座の本です。レイがなぜ星座の本を出したのでしょう。それは戦場でいつも夜空を見上げていたことがきっかけになっているということでした。(H•A•レイ作・草下英明訳・福音館書店)