【入学式】新たな門出に寄せて―校長・学年主任・自治会長挨拶

本年度の入学式における、校長および学年主任からの新入生に向けた挨拶についてご紹介します。
新たな門出を迎えた7年生に寄り添いながら、これから始まる学校生活への期待や、学びに向かう姿勢についてのメッセージが語られました。

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

皆さんは今日、どんな気持ちで明星学園中学校の門をくぐり、この場にいるのでしょうか。思い返せば、私は中学の入学式の朝、雨が降る中を袖の合わないダブついた学生服を着て、先を歩く同級生の親子連れの足元を見つめながら、トボトボと中学校に向かって歩いていました。漢字のテストを頑張ったことがある位で、あとは日々、友達と自転車で近所を走り回って遊んでいた小学生の私は、「自分はまだ中学一年生に求められるような『成長』に到底届いていないのではないか」という気持ちで、周りの皆がしっかりしているように見えて、自分だけ取り残されたような心細さを感じた記憶が残っています。

中学入学後もしばらくは、勉強の方法もよく分からず、冴えない気分で過ごしていました。 一体自分は、どのように成長し、やっと何とか大人になったのか。

社会科の教員だった父に教わった歴史の期末テストで図らずも高い得点を挙げた事、夏休みに初めて塾に通い、英語の勉強が楽しくなった事、授業の予習復習方法が少し分かった事で定期試験をクリアできるようになった事。きっと中学生になった私は、自分なりに、周囲の協力も得ながら、皆に遅れずについて行こうと、どうにかやっと頑張ったのだと思います。

皆さんは、将来のために勉強しなければいけないと漠然と思っていたりしませんか?私は、皆さん自身の工夫や考えで、面白い事を発見し、失敗しながらも、少しずつ前に進んで行ければ良いと思います。

中学二年生の夏、いつの間にか小柄な母の身長を超えたこと。インステップにタイミングがピタリと合い、サッカーボールが自分でも驚くような勢いでゴールネットを揺らした記憶。こだわって日曜の早朝から現場にいって完成させた水彩の風景画。理科の実験中にふざけて薬品をこぼしてひどく叱られた事、自分では頑張っているはずだったのに、担任から「このまま行くと君は将来恐ろしい事になりますよ」と脅され、びっくりした事。新宿でホラー映画を見た帰りに高校生の不良に絡まれたり、友人と喧嘩になったり、今思えば危ない事も色々あったと思います。しかし、自分なりに精一杯生きる中での様々な失敗を含めて、このような「自分でもちょっと驚くような新たな経験と喜び、発見、あるいは深い反省」。そうした積み重ねこそが、自身の中に確かに感じる成長なのだと思います。  

今、世の中は、大切なことはすべて学校が教えるべきという「学校に頼り過ぎた社会」のようです。そこでは無駄なく味気ない知識を与え、テストの点数で「強さ」を競わせる「勉強を頑張る真面目ないい子を演じる競争」が行われています。 成績や出席があなたのすべてを決めてしまうかのような錯覚を与えます。その中で、生徒達は自分の「小さな失敗」や「分からない」という不安や恥ずかしさを隠したり、見栄を張ったりします。

しかし此処は、そんなふうに「格好をつける」場所ではありません。 「困っているんだ」と言えること、「協力してほしい」と伝えること、教員や友人からのアドバイスや意見に耳を傾けること。それらは、得意も苦手もある、「ありのままの自分」を土台とした、中学生となったあなたの「成長」への新たなスタート地点です。  

明星学園が大切にしてきた「自由」とは友人や教員と共に考え、試したり、失敗したり、そこから学び、行動する自由」です。私たち教員は、それぞれの教科の魅力を深く理解する専門家であると同時に、皆さんと同じように心細かったり、不安な中で、何とか自由であろうともがいている人間です。 「テストに出るから覚えなさい」というそっけない言葉ではなく、数学の美しさや歴史の面白さを、自らの「探究心」を持って語りかけるでしょう。

皆さんの前には、成長のタネが沢山隠れています。 私たち教員は、皆さんが悩み、迷い、時にはルールに抵抗しながらも、それぞれの答えを見つけようと試行錯誤する日々に寄り添って共に努力します。・「考える力」で自由をつかむこと ・自分を大切に、一歩ずつ進むこと ・お互いの弱さと違いを認め合うこと 

今日皆さんに手渡される中学校ハンドブックにもその3つのことが書いてあります。良ければ一度しっかり読んで見てください。自分の言葉で考えを述べ、それを認められる喜びを知ってください。「面白い」を、自分自身の手で見つけ出してください。

今日から始まる明星学園での日々が、あなたにとってかけがえのない「本物」の経験に満ちた成長に繋がることを心から願っています。 改めて、入学おめでとうござまいます。共に、新しい一歩を踏み出し、豊かな自立を目指しましょう。 最後になりますが、新入生の保護者、関係者の皆様、本日のご入学を心よりお祝い申し上げます。ご来賓の方々、ご臨席頂き、誠にありがとうございます。

以上、教職員を代表し、私からの祝いの言葉といたします。

2026年4月8日 明星学園中学校・高等学校長 山領直人



ここに集まった新入生、そして保護者のみなさまはこれまで多くの人から「入学おめでとうございます」という祝いの言葉を受け取ったことでしょう。ただ、私がこの場でその言葉を贈ることには、なぜだか躊躇をしてしまいます。

先ほど学年のスタッフの紹介がありましたが、私の担当する教科は何か覚えていますか? そうです。国語です。よく覚えていましたね。そこで、さっそく「おめでとう」という言葉について考えてみましょう。この言葉は昔「めでたし」と使われていました。昔話で「めでたし、めでたし」という物語の終わりの言葉を聞いたことがある人も居るでしょう。昔の人たちは「めでたし」を「立派だ、素晴らしい、喜ばしい」などの意味で使っていました。元来の意味から考えるとみなさんの入学を祝う言葉としては間違っていないように思えます。となると私の違和感の正体はいったい何なのでしょうか。

私にとって今日という日は、これからこの明星学園中学校で一緒に生活をしていく新しい仲間との出会いの日で、そしてその新しい仲間達が初めてお互いに顔を合わせるのがこの場なのだという気持ちが強くあります。私はそんなみなさんを迎え入れる側の人間です。ここまで考えて、誰かを迎え入れるときに「おめでとう」と言うことに対して違和感を抱いているのだと思い至りました。例えばこれから生活を共にする結婚相手に対して、「結婚おめでとう」と言わないのに似ているかもしれません。

みなさんに贈る、今の私の気持ちにふさわしい表現は次の言葉です。「ようこそ、明星学園中学校へ。そしてこれから共に学校生活を送っていく仲間としてよろしくお願いします」という「初めまして」の挨拶のようなものです。もしかしたら私の言語感覚は一般的な感覚からは、ずれているのかもしれません。しかし、今の気持ちに出来るだけ近い言葉を見つけて伝えられたときに、その言葉は力強いものになるのだと思います。みなさんもぜひ自分の気持ちに耳を澄ませて、本当にこの言葉でいいのだろうか。もっと自分の気持ちにふさわしい言葉があるのではないか。とじっくりと探りながら、自身の言語感覚を磨いていってほしいと願います。

さて、春は出会いの季節でもありますが、別れの季節でもあります。約1ヶ月前には、この体育館で、今日と同じようにここにひな壇をセッティングし、卒業式が行われました。明星学園中学校では毎年卒業生が何曲か合唱をするのですが、最近はそのうちの一曲に「Climb Ev’ry Mountain」という曲を歌っています。タイトルは「すべての山に登れ」という意味です。

明星学園中学校は山とも縁が深く、かつては各学年で登山行事がありました。最近は昨年度まで7年生全員が参加する八ヶ岳登山行事がありました。今年度からは少し形態を変え、八ヶ岳登山は夏休みの有志行事となります。では7年生の宿泊行事はどうなっちゃうの?と思う人もいるでしょう。今年度は、6月に2泊3日の自然教室を計画しています。そこでは今までの本格的な登山とまではいきませんが、宿泊施設の近くの山をハイキングで登頂する予定です。

ところで、なぜ人は山に登るのでしょうか。そこには様々な理由があり、人によってそれは変わってくるでしょうが、1つ私が考えたことがあります。それは単純ですが、頂上に辿り着きそこから見える景色を全身で感じるためです。仮に、今ここにどこでもドアがあったとして、みなさんとどこかの山頂に行ったとします。そこには美しい景色が広がっていることでしょう。しかし、実際に自分の足で歩いて辿り着いたときに見る景色とは全く異なった景色が見えるはずです。先ほど8、9年生の和太鼓部による演奏がありました。彼らの姿を初めて見たみなさんの中にも、迫力と巧みさが入りまじったパフォーマンスに感動した人もいるでしょう。私は昨年度、7年生の担任として現8年生と1年間を過ごしてきました。その中ではすべてが上手くいったこと、楽しかったこと、苦しかったこと、悲しかったことなど様々なことを共に乗り越えてきました。今日のパフォーマンスには、そうした1年間の歩みが繋がっています。私が見た景色にも、この1年間彼らと過ごした時間が詰まっているのです。ばちを振り降ろして太鼓を鳴らす姿を見ていると、走馬灯のようにこの1年間の記憶が今の姿と重なって見えるのです。この景色は、7年生という山を一緒に登り切ったからこそ見えるのです。

このように、山を登るということは比喩的に使われることも多くあります。「Climb Ev’ry Mountain」は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の劇中歌ですが、この映画でも様々な困難が待ち受ける人生そのものを山登りに喩えています。新入生のみなさんはこれまでどのような山を登ってきて、これからどのような山を登るのでしょうか。明星学園中学校という山、7年生という山、部活動という山、苦手な教科という山など、数えだしたらキリがありません。挑む山によっては簡単に登れてしまう山もあれば、苦しく困難な山も待っていることでしょう。一人で登れる山もあれば、共に登る仲間が居るからこそ、頂上に到達できる山もあることでしょう。どんな山でも一歩一歩しっかりと自分の足で登っていけば、いつかは頂上に辿り着けます。一度失敗してもまたやり直すこともできます。他の山を登って経験を積んでから再挑戦することもできます。様々な山に登って、そこから見える景色を存分に味わってください。

最後に、保護者のみなさまにはお願いがあります。小学校から中学校に進むと様々な変化が訪れます。子供のステージが変われば、大人の子供への接し方のステージも変わります。子供たちは今まで以上に、自分の足で山を登ろうとするでしょう。そこでは困難もあることでしょう。その時に、手を引っ張ってあげるのではなく、おんぶしてあげるのでもなく、代わりに登ってあげるのでもなく、少し遠くから見守っていてください。もしくは、たまに後ろからそっと支えたり、踏み出せないでいるときは一押ししたりしてあげてください。大人の視点から見ると、こうすればいいのにともどかしく思うこともあるでしょうが、大人の視点で道を示してあげるのではなく、子供たちの考えを引き出してあげてください。そして、何か困ったことがあったときには、我々にご相談ください。まずは1年間、生徒・保護者・学年の先生たちと共に7年生という山を登っていきましょう。そして、約3年後に迎える卒業式で、彼らがこのひな壇でどのような景色を見ているのか、そしてどのような姿で「Climb Ev’ry Mountain」を歌っているのか、一緒に楽しみにしましょう。

2026年度7年学年主任 佐藤翔哉

 

新入生のみなさん ご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます

皆さんは今、新しい環境にワクワクしている人もいれば、不安な気持ちでいっぱいの人もいると思います。実は私も最初の頃は「友達できるかなぁ」とか「ちゃんとやっていけるかなぁ」とか色々考えていました。

でも大丈夫です!最初はみんな同じように考えているはずです。学校生活が始めると少しずつ話せる人が増えていったり、何気ない会話で笑えるようになったりして、気づいたら学校って楽しいなと思えるときがきっときます。明日からの学校生活で新しいことに挑戦する機会もたくさんあります。最初は少し勇気がいるかもしれませんが、その一歩が大きな経験や思い出につながっていきます。

学校生活が始まると、授業や宿題、テストそしてクラスメートや部活動での人間関係で悩むこともあります。そういう時は、1人で抱えこまずに周りを頼ってください。この学校には、皆さんを支えてくれるすてきな先生や先輩、仲間がいます。きっと誰かが手を差しのべてくれます。

このような経験を乗り越えていく中で自分自身が一回りも二回りも成長していくのを感じられるはずです。周りの人を気にせず、できるだけ自分のペースで自分らしい学校生活を送ってください。そして、皆さんが3年間をこの学校で良かったな。と思えるようなそんな時間にしてほしいと願っています。

最後になりますが、これからの毎日がたくさんの出会いと笑顔にあふれ、楽しい学校生活になることを願っています。

明星学園中学校 自治会長

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