『私たちが目指す授業とは』
あと2年で創立100周年を向かえる明星学園では、常に「研究」というものを大切にしてきました。
100年前に絶対主義的教育目標とその実現を目ざす前近代的な画一主義の注入教授、とりしまり主義的訓練等に対して批判していくことは、並大抵のことではありません。しかし明星学園の創立同人である赤井米吉は、「その新たなる教科課程は従来のそれの如き厳格なる鐵鎖であってはならぬ。土地に応じ、学校に応じ、又児童個人に応じても可柔性あらねばならぬ。」と、それまでの教育とは違った道を模索し始めました。
我々が重要視しなくてはならないのは教育の「方法」と「内容」です。
「方法」については時代の流れとともに「受動的注入」から「主体的思考」へと変わってきました。さらに我々は学校を「教化」のための機関ではなく、生活・学習の共同体、つまり教師も子どももお互いに刺激し合い、共に学んでいく場であるとも考えています。
そしてその教育の「内容」もまた、目の前の子どもたちの現状に即して考えられなければならないものです。ドルトン・プランの翻訳を手がけた赤井米吉ではありましたが、結果から言うと、赤井はこの案のもつ精神から、そこに多くの善きものがあることを認めつつも、明星学園において全面的に実施することを躊躇しました。その理由の一つは、このプランが教育の内容について語らず、学習の方法・形態の変革のみを問題にしている点にあります。赤井はこの学園において、教材研究こそ起こすべきだと考えていたのです。
「方法」についても、「内容」についても、重要なのは、教育の科学的研究であります。そしてその「研究」は実際に授業を行ってそこから立ち表れる課題を見出すことによって行う研究であるはずです。
明星学園では1960年代から、その研究を客観視するためにも「公開研究会」を開催してきました。
今年度もコロナ禍の中の公開研究会、オンラインという形となりますが、皆様とともに研究をできる場があることの喜びを感じます。どうかそれぞれの分科会では、忌憚のないご意見を頂戴できればと存じます。
明星学園小学校校長 照井伸也