8年生 美術「リアルってなんだろう〜レジ袋のリアルを考える〜」
中学校ニュース
秋の公開研究会で『13歳からのアート思考』の末永幸歩さんのお話を伺って、生徒たちの常識を揺さぶりたい、自分らしい視点を持って制作をしてほしいと強く思い、8年生の3学期は「リアルってなんだろう?」という課題に取り組みました。
テーマは「レジ袋」としました。初めにレジ袋にどんなリアルな面があるか、五感を使って観察しました。レジ袋を膨らませてみたり、くしゃくしゃにして音を聞いたり、シワの具合を観察したり、水を入れてみたり、それに穴を開けて水が出る様子を面白がったり、光を透かせてみたり、ドライヤーで吹いてみたり、頭に被ってみたり、髪の毛に擦り付けて静電気を発生させたり‥どんどん新しい視点、面白いことを発見していきました。
そして、そこから自分らしい視点(自分が楽しんで制作できる、作品にしたら面白そう、人とは違うなど)を選び、表現方法を考えていきました。木箱を使った立体か平面か、普段使い慣れた透明水彩だけでなく、アクリルガッシュ、色鉛筆、鉛筆、ペンなど画材も自分で選びます。自由度の高い条件の中、生徒たちは制作の過程で沢山の選択に迫られ、その都度自分らしい決断をして作品を仕上げました。最後には思考のプロセス(決断の軌跡)をレポートにして作品と共に提出してもらいました。
『ふくろにはいるねこ』レジ袋にねこがはいっているという現実
『クラゲ』レジ袋がファッションに変わるという現実
『雷の木』レジ袋が擦り合うことで静電気ができるという現実
『3円レジぶくろ』レジ袋にお金がかかっているという現実
『ソラトブフウセン?』レジ袋のフワーという現実
『うみは広いなきたないな』レジ袋のごみがカメに絡まっているという現実
『海に浮かぶ危ない物』レジ袋の破れている所と、魚がレジ袋を食べるとか、レジ袋が海に沈んでいるという現実
『めんどくさくなった人』レジ袋の「めんどくさい」という現実
『海ガメとビニール袋』人間によるレジ袋問題の現実
『レジ袋の亡霊』レジ袋はレジ袋をじゃま扱いしだした人に恨みを持つという現実
『ポリメット』 レジ袋を通して物を見ると色の雰囲気が変わるという現実
『help me !!』レジ袋の心が叫びたがっているという現実
レジ袋そのものの性質(透ける/シャカシャカ音がする/風に吹かれて飛ぶ/静電気が発生するなど)に注目した作品、レジ袋と私たちの生活(海洋汚染/エコバッグに替わられる/ポイ捨てなど)に注目した作品、人間が作り上げたのに悪者にされたり、道の片隅に捨てられたレジ袋の気持ちを考えた作品など多様な視点が生まれました。最後の授業での鑑賞会では「こんな視点もあったんだ」「〇〇さんらしい視点だからよかった」「リアルにもいろいろあるんだ」と視野が広がったように感じました。
生徒たちの自己評価では「自分で全て考えて自分の好きなように描ける課題で楽しかった」「前学期より集中して、いい作品が出来た。多分、作品の視点が新しくて楽しかったからだと思う」「難しかったけど、その分、達成感があった。同じ視点でも人によって表現の仕方が違って面白かった。〇〇くんの視点(レジ袋を頭に被るという視点)は自分の視点ばかり考えていたから忘れていたこと(初めの頃の授業でみんなで被ったこと)を思い出してよかったし、楽しかった。」と、自分らしい視点を持って表現することや多様な視点に触れることの楽しさを感じた意見が多く聞かれました。
さらに興味深かったのが、この課題では技術的なことは求めていないのに、「もっと透けている感じを表現したい」「次は影を意識して・・・」「濃い色を使えるように」「はみ出さないで塗る」など技術面の感想が多く見られたことです。自分が表現したいものがあったからこそ、それを伝えるには・・・と考えてくれたことがとても嬉しかったです。
踏まれたゴミとしてのレジ袋を表現した生徒のレポートには「靴で踏まれたなら靴の跡もつくだろうと思い、体育館履きに色を塗ってハンコのようにして跡をつけた。あまり色が濃すぎてもリアルじゃないと思い、塗り方に気をつけた。」「難しかったのは踏まれた感じの表し方だった。足跡をつけたとはいえ、それが道端に落ちていたらちょっと不思議に思う。だから長時間踏まれ続けたレジ袋を想像した。だから少し破いたりした。これは個人的にいいアイディアだと思った。」と書かれていました。
探究実践の授業でSDGsのプロジェクトがあったり、SDGs落語を聞く機会があったりと、美術以外の教科ともつながることができました。レジ袋を「罪人」としてコミカルに作品化した生徒のレポートには「この課題で学んだことは、結局ビニール袋とかゴミを捨てているのは人間なんだから人間が悪いんだよな。ビニール袋は捨てられただけで悪いのは捨てた人間だな。」とあり、レジ袋という狭いテーマから、私たちの「暮らし」という広い視野を持つことができ、深い学びに繋がったように感じました。
8年生はこの課題を通して自分らしく表現することに自信がついたようです。この気持ちを大切に、9年生ではいよいよ卒業制作に挑みます。どんな多様な視点が生まれるのか・・・生徒たちの「自分だけの答え」が今からとても楽しみです。
美術科 吉野
テーマは「レジ袋」としました。初めにレジ袋にどんなリアルな面があるか、五感を使って観察しました。レジ袋を膨らませてみたり、くしゃくしゃにして音を聞いたり、シワの具合を観察したり、水を入れてみたり、それに穴を開けて水が出る様子を面白がったり、光を透かせてみたり、ドライヤーで吹いてみたり、頭に被ってみたり、髪の毛に擦り付けて静電気を発生させたり‥どんどん新しい視点、面白いことを発見していきました。
そして、そこから自分らしい視点(自分が楽しんで制作できる、作品にしたら面白そう、人とは違うなど)を選び、表現方法を考えていきました。木箱を使った立体か平面か、普段使い慣れた透明水彩だけでなく、アクリルガッシュ、色鉛筆、鉛筆、ペンなど画材も自分で選びます。自由度の高い条件の中、生徒たちは制作の過程で沢山の選択に迫られ、その都度自分らしい決断をして作品を仕上げました。最後には思考のプロセス(決断の軌跡)をレポートにして作品と共に提出してもらいました。
『ふくろにはいるねこ』レジ袋にねこがはいっているという現実
『クラゲ』レジ袋がファッションに変わるという現実
『雷の木』レジ袋が擦り合うことで静電気ができるという現実
『3円レジぶくろ』レジ袋にお金がかかっているという現実
『ソラトブフウセン?』レジ袋のフワーという現実
『うみは広いなきたないな』レジ袋のごみがカメに絡まっているという現実
『海に浮かぶ危ない物』レジ袋の破れている所と、魚がレジ袋を食べるとか、レジ袋が海に沈んでいるという現実
『めんどくさくなった人』レジ袋の「めんどくさい」という現実
『海ガメとビニール袋』人間によるレジ袋問題の現実
『レジ袋の亡霊』レジ袋はレジ袋をじゃま扱いしだした人に恨みを持つという現実
『ポリメット』 レジ袋を通して物を見ると色の雰囲気が変わるという現実
『help me !!』レジ袋の心が叫びたがっているという現実
レジ袋そのものの性質(透ける/シャカシャカ音がする/風に吹かれて飛ぶ/静電気が発生するなど)に注目した作品、レジ袋と私たちの生活(海洋汚染/エコバッグに替わられる/ポイ捨てなど)に注目した作品、人間が作り上げたのに悪者にされたり、道の片隅に捨てられたレジ袋の気持ちを考えた作品など多様な視点が生まれました。最後の授業での鑑賞会では「こんな視点もあったんだ」「〇〇さんらしい視点だからよかった」「リアルにもいろいろあるんだ」と視野が広がったように感じました。
生徒たちの自己評価では「自分で全て考えて自分の好きなように描ける課題で楽しかった」「前学期より集中して、いい作品が出来た。多分、作品の視点が新しくて楽しかったからだと思う」「難しかったけど、その分、達成感があった。同じ視点でも人によって表現の仕方が違って面白かった。〇〇くんの視点(レジ袋を頭に被るという視点)は自分の視点ばかり考えていたから忘れていたこと(初めの頃の授業でみんなで被ったこと)を思い出してよかったし、楽しかった。」と、自分らしい視点を持って表現することや多様な視点に触れることの楽しさを感じた意見が多く聞かれました。
さらに興味深かったのが、この課題では技術的なことは求めていないのに、「もっと透けている感じを表現したい」「次は影を意識して・・・」「濃い色を使えるように」「はみ出さないで塗る」など技術面の感想が多く見られたことです。自分が表現したいものがあったからこそ、それを伝えるには・・・と考えてくれたことがとても嬉しかったです。
踏まれたゴミとしてのレジ袋を表現した生徒のレポートには「靴で踏まれたなら靴の跡もつくだろうと思い、体育館履きに色を塗ってハンコのようにして跡をつけた。あまり色が濃すぎてもリアルじゃないと思い、塗り方に気をつけた。」「難しかったのは踏まれた感じの表し方だった。足跡をつけたとはいえ、それが道端に落ちていたらちょっと不思議に思う。だから長時間踏まれ続けたレジ袋を想像した。だから少し破いたりした。これは個人的にいいアイディアだと思った。」と書かれていました。
探究実践の授業でSDGsのプロジェクトがあったり、SDGs落語を聞く機会があったりと、美術以外の教科ともつながることができました。レジ袋を「罪人」としてコミカルに作品化した生徒のレポートには「この課題で学んだことは、結局ビニール袋とかゴミを捨てているのは人間なんだから人間が悪いんだよな。ビニール袋は捨てられただけで悪いのは捨てた人間だな。」とあり、レジ袋という狭いテーマから、私たちの「暮らし」という広い視野を持つことができ、深い学びに繋がったように感じました。
8年生はこの課題を通して自分らしく表現することに自信がついたようです。この気持ちを大切に、9年生ではいよいよ卒業制作に挑みます。どんな多様な視点が生まれるのか・・・生徒たちの「自分だけの答え」が今からとても楽しみです。
美術科 吉野