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【八ヶ岳】晴天の中、7年生が八ヶ岳の硫黄岳(2760m)を目指して歩いてきました!

中学校ニュース
【八ヶ岳】
コロナ禍を経て4年ぶりに、明星学園の伝統行事のひとつである7年生の登山行事を実施することができました。今年は、7月19日(水)~2泊3日で、八ヶ岳(硫黄岳)を歩いてきました。出発前日まで、お天気を心配していましたが、3日間、よい天気での登山となりました。

1日目
登山口である美濃戸口に到着すると、八ヶ岳実行委員の7年生の司会と挨拶から始まる出発式。班を担当してくれる先生の紹介もして、いざ登山開始です!気持ちのいい風が吹く中、宿泊する赤岳鉱泉を目指しました。
3時間~4時間かけて、みんな無事に赤岳鉱泉に到着!着いてしばらくすると、肌寒いくらいの体感にびっくり。この日は、私たちが到着してから小屋周辺は、霧に包まれました。
2日目
いよいよ硫黄岳を目指します。山岳ガイドの坂元さんから登山で気を付けることとエールをもらって、出発です。
ゆっくりゆっくり高度を上げていきました。苔むした樹林帯に足を踏み入れると、「ジブリの世界だね!」「苔がモフモフしている!」「木漏れ日がきれいだね」「授業でやったとおり、針葉樹が多いね!」(教員としてはうれしい一言!)様々な声が聞こえてきました。もちろん「あとどのくらいで着くの~?」という声も。
2時間ほど歩いて、赤岩の頭に。一気に山の展望が広がり、「すご~い!!」の一言。硫黄岳山荘までの稜線も綺麗に見えました。山頂まではあとひと踏ん張り。
硫黄岳の山頂はとても広い。爆裂火口のすごさも目の当たりにしました。お腹もすいてきたので、休憩もそこそこに昼食を食べる硫黄岳山荘へ向かいます。
この山頂から硫黄岳山荘までの稜線歩きが楽しい!高山植物の女王と言われるコマクサを見ながらのんびり歩きました。
お昼は、赤岳鉱泉で用意してくれたちまきです。「こんなにおいしいちまきは初めて!」「あんなに高い(遠い)ところまでなんて無理~」と言っていた場所に、一歩一歩歩みを進めてたどりついた場所でのごはんは格別なおいしさだったようです。
下山後のフリータイムは、赤岳鉱泉の談話室で、「神!」なラインナップの漫画を読みふけったり、トランプや将棋を楽しんだり。そして、外では、小屋でお留守番をしていた7年生が薄く切って準備してくれていたジャガイモでポテトチップスやチーズフォンデュ、ホットサンドを作ったりして、小屋時間も大いに満喫しました。他学年の先生たちとも交流の輪が広がる絶好の機会ともなりました。
そして、夜は楽しみにしていたステーキ!
前日は、消灯時間を過ぎてもなかなか寝なかった7年生たちも、21:30過ぎには静かに就寝となりました。

3日目
お世話になった小屋の皆さんにお礼を言って下山です。1人1人、2日間山を歩いてきた自信がついたようで、長くてつらかったはずの道が、全然違ったものに見えてくるようです。リズムをつくって、スムーズに下山することができました。
この3日間は、山を歩くだけではなく、食事の配膳の準備を毎回手伝ってくれた班長さん、出発式や下山式の司会進行、食事の挨拶をしてくれた八ヶ岳実行委員さんも、気持ちよく動いてくれて、7年生たちがとても頼もしく感じました。

7年生は、「八ヶ岳の思い出」という作文が課せらせています。提出されたものは文集にする予定です。ひとりひとり、何が心に残っているのか、この3日間にどんなことを感じ、何を考えたのかを読むのが楽しみです。

最後に。4年ぶりの登山行事が再開され、代々の明星学園の先生から引き継がれている「明星学園は、“柔らかな鍛錬主義”の学校だ」という言葉の意味を改めて考えさせられました。2760mの硫黄岳を全員で目指すことは、決して簡単なことではありません。これまで同様に、今年も全体を9人前後のグループ16班に分けて、各班に教員が1人つく体制で臨みました。班の中には、体力がある子もそうでない子、登山に前向きな子もそうでない子など様々な子がいます。それでも、車もロープウェイもないので、自分の足で歩き切るしかありません。

今回も、「もうこれ以上は無理!」と声をあげる7年生がいました。でも、その子の班の担当の先生は、1本道の狭い登山道になってからは、遅れることなくペースをつくって歩くことができていたことを見ていました。もちろん楽ではないかもしれないけれど、山頂を目指せると判断し、その子には、そのように声をかけました。結果、その子は、自分の足で山頂にたどり着くことができました。今は、無理やり登らされたと思っているかもしれませんが、諦めずに乗り越えられた、自分で歩ききることができたという経験は、いつかその子の自信につながっていくのではないかと思います。これも一人だったら途中で挫けてしまっていたかもしれません。でも、「もう倒れそう…」と弱音をはくと、「下山したらスイカが待っているよ!」などと声をかけてくれる仲間がいる。そして、もう少し歩いてみようと思いなおし、一歩を踏み出す。そんな風に大自然の中を仲間と一緒に歩く経験は何ものにも代えがたいことだと感じました。きっとひとりひとりにたくさんのドラマがあったはずです。まずは、無理かもしれないと思ってもやってみる、時には仲間の力も借りて。そういう経験を重ねて、自分の「自由」の幅を広げていくことにつながるのでしょう。それが代々の先生方が言われてきた“柔らかな鍛錬”のひとつなのではないかと感じた3日間でした。

(7年八ヶ岳行事担当 小畑典子)