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卒業式〜卒業生の言葉〜(1)

中学校ニュース
 先日、中学校卒業式が行われました。
卒業という節目の日は、朝の空気がキリリと心地よく、お日様も一緒に祝ってくれている
卒業生の門出を祝う善き日となりました。今回は、卒業生の言葉を3回シリーズでお伝えしていきます。
(式典での読み上げた順番通り)


 ここで過ごした3年間で、気づいたことが一つあります。それは、努力をしても必ず報われるわけではないということです。
寧ろ、報われないことのほうが多いのかもしれません。どれだけ努力しても届かない、果ては運にまで見放される。
この先、生きていけば、そんなことはたくさんあるんだと思います。それでも、私たちは実るかもわからない努力を続けるしか術はありません。
まだそれほど多くはありませんが、挫折も味わってきました。挫折すると努力が怖くなることもありました。成功する保証もないのに努力を続けることは、決して楽なことではありません。
 数年前までの私は、何事も完璧にやることが当たり前だと思っていて、自分の失敗を許すことができませんでした。
結果が出なければ必死になって、過剰なほどの努力を重ねることを繰り返していました。
当時は自覚していませんでしたが、常に息苦しさを感じていたし、頑張ることや完璧であることに疲れていたんだと思います。
それに気づかないくらい私の見ている世界は小さく狭いものでした。
 結果だけ見れば、当時のほうが完璧に近かったのかもしれません。
ですが、苦い思い出ではありますが、挫折は私の世界を広げて人生を豊かなものにしてくれたように思えます。
それまでの私は、とても狭い世界で生きていました。この学校に来てからは、本当にたくさんの経験をして、世界は驚くほどに、どこまでも広がっていきました。
自分がやりたいと思うことを追いかけて、たくさんの成功と挫折を経験しました。いつの間にか、完璧であることに固執することは無くなっていきました。
それに気づいたとき、自分は初めて好きになれたような気がしました。
自分の好きで堪らないこと、やりたいことを追いかけているとき、辛く苦しいものだったはずの努力を、むしろ楽しんでいたことにも気づきました。
 知らず知らず、自分で自分に強制していた完璧と努力はただ自分を追い詰めて、やがてはどれだけ努力しても結果を出せなくしてしまうものでした。
勿論、辛い努力をしなければいけないことも沢山あります。完璧であるための努力は習慣のように染みついて、もう欠かすことはできなくなっていました。
それでも、いつの間にか以前のような焦りと不安は消えていました。それは、結果に関わらず自分のことを認めて、肯定してくれる人たちに、この場所で出会えたからだと思っています。
 沢山の経験をして、沢山の人に出会い、初めて自分を好きになれたこの3年間は私にとって、とても大切で、二度とない時間でした。
この先も、きっと沢山の経験をしながら、少しずつ大人になっていくんだと思います。
その経験ひとつひとつが自分を形づくっていることを忘れないように、いつも自分と向き合いながら今を生きていく。私は、そんな生き方がしたいです。
 最後になりましたが、沢山の経験と広い世界、色鮮やかな景色を見せてくれた方々、支えてくれた仲間に、この場を借りて心からの感謝と敬意を表します。

ありがとうございました。



(中学校副校長 石井)